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2020年8月の記事一覧

日韓の上半期の出生数

速報値は前年同期比2%減なので「少子化加速か」は大げさで、減少トレンドにおける小休止局面と言える。 速報値、概数、確定数の違いについては厚生労働省の解説(⇩)を。 速報の数値は調査票の作成枚数であり、日本における日本人、日本における外国人、外国における日本人及び前年以前に発生した事象を含むものである。 そのうち、日本における日本人についてまとめたものが人口動態統計月報(概数)であり、この月報(概数)に若干の修正を加えたものが人口動態統計年報(確定数)である。 より深刻な

家計消費と輸出主導の景気後退

4-6月期の国内総生産は実質原系列が前年同期比-9.9%、実質季節調整系列が前期比-7.8%だった。 今回のコロナショックと2008年9月のリーマンショックを比較する。グラフでは説明を省略しているが、横軸は2020年Q1と2008年Q3を0として前後の±12四半期を示している。縦軸は-6~-1の6四半期の平均が100である。 リーマンショックでは2四半期かけた落ち込みが今回は1四半期で生じていることが、その急激さを示している。 リーマンショックの景気後退は企業部門が主導

給与所得と配当等所得

国税庁の統計から、所得税(源泉+申告)の給与所得と配当等所得の推移をグラフにする。 バブル崩壊~ITバブル崩壊の約10年間は、給与よりも配当が相対的に減少した。この「失われた10年」は企業が不振の典型的な不景気であり、実質賃金も1996年をピークに減少に転じた。 実質賃金の減少は2015年まで続いたものの、マクロ経済は2002年には「失われた10年」を脱して戦後最長の景気拡大入りした。2002年から2018年にかけて給与所得は1.2倍だが配当等所得は5.9倍となっている。

消費税と社会保険料

政府が消費税減税に慎重なのは、基幹税としての存在が大きくなっているためである。 1989年の導入以降、法人税と入れ替わる形で消費税の存在が大きくなっている。 社会保険料は消費税以上に大きい。 対GDP比で見ると、所得税・法人税の負担は1980年代に比べて低下しているが、社会保険料・消費税は増大する一方である。 このような課税政策の背景にあるのが金融資本主義である。「労働に対する税金である所得税」は社会保険料に相当する。 国家は課税政策のバランスをとる能力を失っている