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社会

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2021年3月の記事一覧

ジェンダーギャップ指数は北欧イデオロギー押し付けの道具

日本が女にとって地獄のような国であることの根拠とされるジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index)の2021年版が公表されたので検証する。 結論を先に書くと、GGGIは「ギャップ=差別」と誤解させるミスリード狙いの恣意的に作られた指数であり、ランクアップを目標にする合理性は全くなく、むしろ百害あって一利なしである。GGGIを公表している世界経済フォーラムは、ダボス会議で知られるグローバルパワーエリート集団であることを念頭に置く必要がある。 ジェ

カズオ・イシグロとイギリス社会の分断

カズオ・イシグロの指摘は目新しいものではない。 俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています。東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです。 私は最近妻とよく、地域を超える「横の旅行」ではなく、同じ通りに住んでいる人がどういう人かをもっと深く知る「縦の旅行」が私たちには必要なのではないか、と話しています。自分の近くに住ん

日本の1月の出生数

韓国とフランスの月次の出生動向を記事にしたついでに日本もグラフを示す。 10年前の2011年1月比では-30.6%である。 昨年12月と今年1月の前年同月比は日本が-7.3%と-14.6%、フランスが-7.2%と-13.5%でほぼ同じになっている。

報道ステーションCM炎上とカズオ・イシグロの懸念

報道ステーションのCM炎上は、カズオ・イシグロが警鐘を鳴らす「感情優先社会」の好例である。ただし、先日の記事でも指摘したように、感情を優先する「バカ」は「感情を通してコミュニケーションをする創造的な仕事をする人間」が多いリベラルの側に多い。 ブレグジットにしても、トランプ主義の台頭にしても、中には半分ジョークを交えながら、「この世には本当にバカがいるもんだ」と怒る人もいます。しかし、私たちはその先にあるものを考えないといけません。そこで起こっている重要なことに気がつかないと

米女子サッカー選手の主張からわかるgender pay gapの一因

一つ前の記事の続き。 この主張に男女のpay gapが生じる一因がある。 米サッカー界のスター選手、メガン・ラピーノ氏は、アメリカの「同一賃金の日」である24日、ホワイトハウスで、かねてより主張している男女の賃金格差是正について改めて訴えた。 「私は低く評価され軽視され、拒絶されてきました。女性だからという理由で」 男のスター選手であれば、自分の報酬をもっと増やすためには「もっと強くなる、上手くなる、成功する」とレベルアップを考える。構造的・制度的な原因があるなら、スト

米女子サッカーの被害者ビジネス

被害者ビジネスのプロ。 ラピーノ氏は女子サッカー・ワールドカップやオリンピックで、チームメートと共にアメリカに優勝をもたらしてきた。しかし、こうした成績にも関わらず、男性選手よりも給与が低いと訴えた。 ラピーノは自分は男と"do the same job"なのに報酬は少ないのは差別だと言っているが、シャピロに突っ込まれているように、それならば男子サッカーに挑戦すればよい。 女子サッカーはナショナルチームでも強豪男子中学生よりも弱い。 👇皮肉られている。 他の国でも同

シンガポールの中華系とインド系の出生率は0.9台に

シンガポールは政府が結婚・出産・育児支援に積極的な国だが、2020年の合計出生率は過去最低の1.10となった。うち中華系は0.94、インド系は0.97の超低水準である。 20代の出生率は下がり続けているが、30代の上昇幅は小さい。このことは、最終的に産む子供数が減少傾向にあることを示している。 1990年代後半からのTFRの低下は30代前半の未婚率の上昇と対応している。女の高学歴化とキャリア志向の強まりが未婚化・晩婚化→少子化の根本原因ということになる。

フランスの出生数が(COVID-19の影響で?)急減

フランス本土(France métropolitaine)の1月の出生数(速報値)は前年同月比-13.5%で、昨年12月の-7.2%に続く大幅減少となった。フランスの出生数は2015年から減少傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症がそれに輪を掛けたと見られる。 「12か月間で70万人割れ」は第二次世界大戦終戦後に出生数が回復してから初めての事態である。 「不確実性が高まる→出生を先送りする」なので、パンデミック前の日常生活が戻れば急回復に転じる可能性も十分ある。 …

韓国の1月の出生数

韓国統計庁の速報によると、1月の出生数は前年同月比-6.3%の25003人で、62か月連続で前年同月を下回った。 (季節変動が小さくなったことに注目) 文在寅政権は少子化対策を重視してきたが、朴槿恵政権後半から続く減少傾向が反転する兆しは全く見えない。 つまり、このような見方は的外れということである。 韓国で出生率が低い原因の大部分は、女性が仕事と生活の両立に苦労していることによる。

カズオ・イシグロの「感情優先社会」はリベラル産

これだけを読むと"feelings, not facts"はトランプを支持した反リベラルの人々の特徴と思ってしまいそうだがそうではない。「大事なのは事実や真実ではなく、何を感じるかだ」はリベラルの側から出てきた観念であり、それが反リベラルの側にまで広がっただけである。 ・・・私たちは「大事なのは事実や真実ではなく、何を感じるかだ」という考えを浸透させすぎたようです。 アメリカでは国民の約半数が、トランプが先の大統領選で勝ったと感じるからそう信じる人が出てくる、という異例の事

リベラルが狂暴化した理由

寺圭の記事には「自己矛盾」とあるが実はそうではない。「攻撃や排除」はリベラルにとっては正しい行動である。 政治的・道徳的価値観を異にする者の言論・表現活動に対して「政治的ただしさ」を背景にした攻撃的で排他的な言動をとっていることなど、まさしく現代のリベラリストや人文学者たちが陥っている自己矛盾を、イシグロ氏は端的に指摘している。 彼らは、自分たちの世界観や価値体系にリベラル以外の声を反映するどころか、リベラル以外の価値観に基づく表現や存在そのものを、現在のみならず過去に遡

男差別は正しい差別

先日の記事の続き。要点を先に書くと、 「男は狼なのよ」と言われるように、男は女にとって本質的に危険な存在なので、男女平等と女の安心を両立させるためには差別と紙一重の"equal but separate"が必要になる。女のゼロリスク志向は男の社会的排除につながるので、過度に追求すると経済社会のサステナビリティは失われる。 女の人口が3400万人弱の国で一人が殺された程度で、パンデミック対策を無視して警官隊と衝突し、それをまた「女が社会で抑圧されている証拠」とヒステリックに

アメリカ進出→ポリコレ改宗

アメリカに進出するので、"Diversity, Equity, and Inclusion"を教義とするアメリカのリベラリズムに改宗して、遅れた日本社会をpolitical correctnessで糾弾する芸風に転向したのだろう。アメリカでは「被害者」が強力なカードになるので、被害者カードをゲットしておく狙いがあるようにも見える。 進歩的な西洋の側に立って未開の日本を叩くのは日本のリベラルの伝統芸である。 日本のさまさまな産業が外資系によってのっとられていくことも、過渡的

「オリンピッグ」は"女性蔑視"でも"差別的"でもない

「女を下に見た」という印象を持たれただけで男が自己批判に追い込まれて地位を追われる赤狩りや文化大革命を想起させる異常事態が続いているが、この件は客観的に見れば"女性蔑視"でもなければ"差別的"でもない。 "女性蔑視"ではあり得ないのは、女一般を豚呼ばわりしたのではないからである。これが男の芸人なら"男性蔑視"と騒がれたはずがない。 水島広子は(日本の)女の特徴として「自分の領域」と「相手の領域」の区別の欠如を指摘しているが、この「渡辺直美を🐷にする→自分が🐷にされるのは気