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社会

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2020年6月の記事一覧

ニューズウィーク日本版の「イエス・キリストは黒人」はおかしい

この日本語記事がおかしい。 市民活動家のショーン・キングは、白人のイエス・キリスト像は「白人至上主義の一形態」であるとし、ツイッターで撤去を呼びかけた。現在のパレスチナで生まれたイエス・キリストが白人だったはずはなく、黒人だった可能性が高いというのは専門家も認めるところだ。 強調した箇所は原文にはない。 Earlier this week, activist Shaun King added white Jesus monuments to the growing li

韓国のフェミニズム・リブートと超少子化

韓国の4月の出生数は53ヵ月連続で前年同月比マイナスとなる-10.4%、1~4月は前年同期比-10.9%と大幅な減少が続いており、過去1年間の合計は30万人を割り込んでいる。 2019年の合計出生率は0.92だったので、このペースが続くと今年は前代未聞の0.8台になる可能性が高まっている。 韓国の異常な低出生率については過去記事で検証済みだが、とりわけ重要なのがフェミニズム汚染である。出生数の急減とフェミニズム・リブートのタイミングに注目。 政府が男女対立の原因をつくっ

『13TH』と不都合な真実

小田嶋隆が褒めちぎっている『13TH』だが、コメント欄で指摘されている通りで、活動家の一方的な主張と印象操作で構成されたプロパガンダ以外の何ものでもない。 今年見たドキュメンタリーフィルムの中では間違いなくベストだったと申し上げて良い。 トランプが「白人が黒人を堂々と差別できた時代」を取り戻そうとしているかのように印象付ける一方で、クリントン夫妻は誤りを認めて差別解消のために働く人物として好意的に描いている。 事実関係についても多くの誤りがあることが指摘されているが、南

Incel Lives Matter

男の1/4が子無しになる男女平等先進国のノルウェーで、心理学者が「インセルに目を向けよう」と訴えている。全文を読めことをお勧めする。 これがインセル。 …… groups of men that stand outside of society. Not because of religiosity or ethnicity, but because they perceive themselves as unattractive. Some of them call t

トランプ対ポリコレ~反差別運動の本質

アメリカの反差別運動が文化大革命を想起させる気違いじみた展開になっていることは、前回の大統領選でのトランプの警告の正しさを裏付けている。 I think the big problem this country has ― is being politically correct. I've been challenged by so many people, and I don't frankly have time for total political correct

色白好きは普遍的

アメリカでは美白製品も人種差別的とされてしまったが、 日本で「色の白いは七難隠す」と言われるように、色白を好む傾向は白人が世界を支配する前から普遍的に見られるらしい。「白人優位」の反映ではないことになる。 But what seems to be firmly established is that the cross-cultural bias for lighter skin does in fact exist and that it arises for reas

差異が差別を生む

パレスチナ問題や旧ユーゴスラビア紛争が示すように、異質な人々を平和裏に混住させることは難しいが、アメリカで黒人差別が解消されない根本原因も異質さにある。 リベラルは人種による差異や人種の存在そのものを否定するが、 1990年のことだが、私は1人の日本人記者、2人の米国人と雑談をしていた。その際に、「なぜ日本人の子どもは算数に強いか」というテーマになった。日本人記者は、 「理由は簡単だ。人種(race)だ」 と言った。私は、この言葉を聞いた2人の米国人たちの表情が一瞬凍り付

非婚化・少子化の真犯人

非婚化・少子化のメカニズムについては[社会]にまとめているが、記事数が増えて探しにくくなってきたようなので、この記事では初見の人を対象にポイントを絞って書いてみる。 下は「少子化社会対策大綱」の一部だが、この分析そのものは正しい。 少子化の主な原因は、未婚化・晩婚化と、有配偶出生率の低下であり、特に未婚化・晩婚化(若い世代での未婚率の上昇や、初婚年齢の上昇)の影響が大きいと言われている。 若い世代の結婚をめぐる状況を見ると、男女共に多くの人が「いずれ結婚する」ことを希望し

2019年の合計出生率は1.36~希望出生率1.8の実現を阻む壁

2019年の出生動向を概観する。 出生数は86.5万人(前年比-5.8%)で減少ペースが加速したが、これには「令和婚」狙いで一部の婚姻が先延ばしされた影響があると見られる。 合計出生率も1.36に急落したが、婚姻が2019年にリバウンドしたことから、2020年には多少の回復が見込まれる。 長期的には、20代の出生率の大幅低下が響いている。 コーホート出生率は1.4程度から上昇する兆しがなく、平成世代ではさらに低下する兆候もあるので、「希望出生率1.8」の持続的実現の可

台湾も超低出生率/日本の「高出生率」の背景

台湾の出生率台湾の2019年の合計出生率(TFR)は1.05だった。2004年以降、辰年の2012年を除くと1.2を下回る超低水準が続いている。 主因は晩婚化・非婚化である。1990年には20代後半の女の7割弱が既婚だったが、2019年には2割強に激減している。 晩婚化・非婚化の主因は男女平等政策・男女共同参画である。 戦後、台湾経済発展の過程において、女性の果たした役割は大きく、重要な貢献を成していることがわかる。伝統や慣習といった台湾に個別要素の影響が考えられるが、