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大学院生に愛を

大学院生や博士号をとったばかりの若い研究者を国が支援する仕組みとして、日本学術振興会特別研究員(学振DC, PD)という制度がある。高給とはいえないが一応生活費が出るので、若者が研究を続けるためにありがたいシステムだ。

ただ、貰える人数が少なく、採択率が20%を切る極めて狭き門だ。採択されるためには、しっかりした実験計画を立て、優れた研究であることをアピールする申請書を書き、科学者による厳しい審査(ピアレビュー)をパスしなければならない。
逆に言えば、学振DC、PDに採択されると言うことは優秀な研究者の証しになる。

今年は、私の研究室から3人の大学院生(DC2)とポスドク1人(PD)の計4人が採択された。今まで一度にこんなにたくさん採択されたことはなく、私もとても嬉しい。

WillowRiverさん、RedMountainさん、SaltRiceFieldさん、Islandさん、本当におめでとう。普段の頑張りと勉強が報われたね。今後は思う存分研究して、世界をあっと言わせる発見をして欲しい。

ところで、日本以外の国では博士課程の学生には給与が出るところが多い。昔から私は大学院生(博士課程)には給与を支払うべきだと主張してきたが、国のお役人には「学生は学費を払って教えを乞う立場であり、給与などもってのほか」と言われた。

だが、大学院生は大学生までの学生とは異なり、ある程度自律的な研究を行って研究室というチームを支えるセミプロである。同級生が社会に出て稼いでいるのに自分は親のすねをかじっているという状態に、忸怩たる思いを抱くこともあろう。

博士課程への進学率の低下や、優秀な留学生の確保が難しいことの原因にもなっている。日本の研究を活性化するためには、博士課程進学者にはすべからく生活費が支給されることが必須だと考える。

国もようやく認識し始め、今年新たな支援制度を開始した。全員が受け取れるわけではないが、吉報だ。今後さらに拡充され、支援が行き渡るようになることに期待したい。

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