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4回のピボットを経てスピンアウト。「ユニーリサーチ」で挑むリサーチのDX

プロダクトフォースの浜岡です。
ユーザーインタビューを「最短当日・従来調査コストの10分の1以下」で可能にするユーザーインタビュープラットフォームuniiリサーチ(ユニーリサーチ)を開発しています。

企業が直接ユーザーにインタビューの依頼ができる、セルフ型リサーチサービス

4回のピボットを経て、2021年7月にサービスをリリースし、2023年4月1日にLIFULL社からのスピンアウトをしました。

これからスタートアップとしてリスタートとなりますが、このタイミングで、なぜリサーチの素人だった自分がリサーチサービスを手掛ける事になったのか。4回のピボットをどのように乗り越えてきたかを振り返りたいと思います。

新規事業に取り組んでいる方、まさに今ピボットを考えている方などに少しでも参考になれば良いなと思っています。
そして少しでも良いなと思ってくださった方がいれば、noteの拡散やスキをいただけると嬉しいです!メンバー(業務委託)も募集をしています!

スタートは好奇心から

新規事業挑戦のきっかけは、当時勤務していた株式会社LIFULLの新規事業提案制度「SWITCH」でした。LIFULLはビジネスコンテストを毎年開催していて、全社員が応募可能。当初は自分も「何か新しいことをしたい」という好奇心から事業立案に挑戦。(誰もが挑戦できる環境を用意しているLIFULLは本当にいい会社です。)

一度は落選しましたが、2回目に教育系事業で挑戦をしたところ入賞し、一定の予算で事業検証をさせてもらえることになりました。

迷走期:4回のピボット

LIFULLには事業創出のフレームワークが用意されており、CPF(カスタマープロブレムフィット)→PSF(プロブレムソリューションフィット)といった段階を進むごとに審査ゲートが用意されていて、事業の蓋然性を高めた上で事業化が出来るようになっています。
自分はCPF→PSFの過程でなんと1年間も迷走を重ねることになりました

迷走の理由は以下の3つ。よくある失敗を全てやってしまいました。

迷走理由1 顧客不在
自分が「こんなサービスがあったらいいのでは」という思いつきから始めていたので、当初はインタビューどころか、アンケートさえ一切していませんでした。デスクトップリサーチで出てきたそれっぽい都合の良いデータを組み合わせたプレゼンをしただけだったので、初期のアイデアは顧客は不在だし、自分がユーザーでさえありませんでした

迷走理由2 アイデアに固執する
新規事業といえば「インタビュー」。失敗を重ねる中でユーザーに聞くということが大事なんだと、段々と理解はし始めました。
ただ、今思えば顧客に「○○があったら使いたいと思いますか?」「○○にいくら払いますか?」「欲しいと思いますか?」といった意見を聞いたり、ユーザーに答えを教えてもらおうとしていました。
インタビュー=事実情報の収集
という基本的なことが出来ていませんでした。
意見や答えを求めれば、好意的な言葉が出やすいのは当然ですし、自身もアイデアを肯定する意見を無意識に取り入れていたように思います。(よく言われる「確証バイアス」)

迷走理由3 マネタイズ検証を後回しにする
この理由で手痛い失敗をしたのは、3つ目のアイデア。学生と社会人を結ぶコミュニティサービスの時でした。
この時は、100名ほどのコミュニティ参加者を集め、エンジニアも当時はいなかったのでフェイスブックのグループ機能を活用し、サービスが成り立ちそうかの検証を3か月ぐらいかけて行いました。無料から始め、サービスの質が高まったタイミングで有料化できそうか確かめるつもりでしたが、結果は惨敗。いっこうに有料化の糸口が見えないままサービス終了。
「まずは無料ではじめ、後から有料化」というのは良く聞く話。ただ実際はアイデアが否定されるのが怖くて、有料化を後回しにしているだけだけでした。

1つ目、2つ目のサービスは顧客不在で、3つ目と4つ目はアイデアにすがり、マネタイズ検証を後回しにすることで失敗。
1年があっという間に過ぎました。(あっという間といいつつ、精神的には顧客がどこにもいないこの時期が最もつらかったです。)

CPF期:着想は自分自身の経験から

4つのアイデアが失敗に終わった頃にはすでに1年が経過していて、もう時間的な猶予がありませんでした。そんな時に思ったのは「なんでこんなに面白いほどに失敗するんだ?」ということでした。
自分たちの答えは、「顧客理解が足りていないから」。そこで自分たちと同じような新規事業担当者の方々にインタビューをしたところ、顧客理解の落とし穴は誰しもが経験していることでした。必要なインタビューが十分に行えていないケースが大半で、その裏側にはコストや人脈といった構造的な課題があることがわかりました。

インタビューにおける課題

初めて自分自身の実体験と他の人々のペインが結びつき、課題が生じる構造も理解ができた瞬間で、「ユーザーインタビュー」の領域なら課題解決が出来るかもしれない。そんな仮説が出来ました。

PSF期:プロダクト無しで、受注が生まれた

仮説ができたとはいえ、あくまで仮説。結局また当てが外れることも考えて、次は最初からマネタイズ検証をすることにしました。
具体的に行ったのは、コンセプト(課題・ソリューション・価格提示)を盛り込んだ営業資料を用意して、対象顧客企業に問い合わせ営業をかけるという、プロダクトをつくらない検証。準備期間は10日ほどで行いました。

受注できた場合すぐにサービス提供が出来るように、利用規約も準備

結果的にメールの返信率は10%を超え、さらに大手企業含む5社から有料で受注をすることができました!
(当時は機縁法と呼ばれる、人脈伝いで該当のユーザーを探し当てる方法でサービスの提供を行いました。)
顧客はスピードとコストを両立した、ユーザーインタビューのソリューションを求めていて、そのニーズを満たせるサービスは現状まだ無いことがわかりました。これがユニーリサーチの原点になりました。

ちなみにこのプロダクトをつくらない検証方法は、プレトタイプと呼ばれるもので、『NO FLOP』という書籍を参考にしました。名著です。

事業化:プロダクトはまだつくらない

マネタイズ検証によって顧客課題が明確になった後も、いきなりプロダクトをつくるのではなく、アナログなサービス提供から事業を開始しました

具体的には以下のユーザーインタビュー提供工程(ざっくり書いています)をすべて自分たちで手作業で行いました。

「クライアントの要望を聞き、要件を整理し、条件にあったユーザーを集め、日程調整を行い、インタビューの場を設定し、謝礼支払いを実施する」

テキストで書けば2行で終わる話ですが、実際にやってみると大変で、トラブルも沢山起きました。
自分たちはリサーチの素人だったので、
・各工程の重要要素は何か?
・どういった点が大変なのか?
・それらを効率化するにはどのような方法が考えられるか?
といったことをサービス提供をする中で学んでいきました。

これはネットもAIも教えてくれない、何よりも重要な1次情報でした。
アナログなサービス提供から学んだことが、ユニーリサーチのUI・UXのベースになっています。プロダクトを急いで作ろうとしないことが最善だったと今では思っています。
結果的に共同創業の小賀野(CTO)が初めてプロダクトをつくったのは、チームジョインから1年後でした。それでもついてきてくれたことに心から感謝です。

創業(スピンアウト):人生をかけて業界課題の解決、社会変革へ

検証を経て2021年7月にリリースしたユニーリサーチは、大変ありがたいことに900社以上の企業様に利用されるまでになりました。最初のPMFのハードルは超えたと言えると思います。とはいえ、まだまだ我々が目指すビジョン・ミッションの達成には程遠い状況です。

プロダクトフォースはプロダクトづくりに挑戦する方々の支援を通して、より良い社会の実現を目指す会社です。

我々はまずリサーチ領域の課題解決に取り組んでいきます。リサーチ領域だけでも課題は山積みですが、プロダクトづくりの過程すべてをカバーしていくとなると、やるべきことは膨大です。「人生をかけて取り組む必要がある」、そのように考えるようになったことがこの度のスピンアウトの経緯です。(スピンアウトを認めていただいた、LIFULLの皆様に改めて感謝を申し上げます。)

社内新規事業から、社会変革を目指すスタートアップへ。
覚悟をあらたに、日本のプロダクトづくりのレベルを上げていきます。
少しでも我々のミッションに共感いただける方は、ぜひ一緒に働きましょう!気軽に以下よりご連絡ください!

・浜岡Twitter
https://twitter.com/unii_hamaoka

・プロダクトフォース採用ページ

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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