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DE&I インタビュー[前半] DE&I 戦略推進を阻む要因

多数の企業での人事関連のマネジメントを歴任し女性エグゼクティブの登用に注力されてきた、合同会社ヘルム 代表の中薗眞理子氏。6 月の弊社主催セミナーでは「DE&I 推進はまさに戦略である」との言葉をいただきました。
今回、セミナーに続き、「DE&I 推進を阻む要因」とは何かについて、掘り下げてお話を伺う機会をいただきました。

弊社主催セミナー「DE&I になぜ取り組まなくてはならないのか?」中薗様資料より


1. 表面的な取組み ~社風の考察~

ー「社風」の重要性と構築方法

プロビティコンサルティング 代表 野田弘子(以下、野田):これまで、日本のひっ迫した経済状況を打破する成長戦略こそがDE&Iであること、そしてその実現がとても大変であることを訴えてきました。中薗さんが「DE&I戦略推進を阻む要因」で挙げられている項目はどれも、日本の多くの企業で直面している問題だと思います。

合同会社ヘルム 代表 中薗眞理子 様(以下、中薗):日本でDE&I推進を阻む要因の一つに、表面的な取り組みになっている「社風」の問題があると思います。いわゆる白か黒かという話題だけで「社風」についての本質的な分析が日本では進んでいないように見受けられるからです。
欧米では、企業において組織構築する上で「社風」が重要視されています。私がとても参考にしてる著書で、米国でロングセラーとなっている「The New Leaders 100-Day Action Plan(エグゼクティブ・リーダーのための100 日間アクションプラン)」では、着任者が最初にやることに「Company Culture(社風)」が挙げられています。
特に、本書で提言されている「BRAVE のフレームワーク 」(以下参照)は、行動や対人関係など社風の基盤作りにとても有効なもので、日本においても活用が進むことが期待されます。

「エグゼクティブ・リーダーのための100 日間アクションプラン」より

中薗)私はこの「BRAVEのフレームワーク」を使って、日本企業の10数名の社員に社風構築のセッション行ったところ、それぞれの社員が自分事として捉えられる「社風」が出来上がりました。自分事となることで、社風に基づき自ら考え主体的に行動していくことができるようになるわけです。このような参加型による「社風」の構築は 、日本のDE&I の推進力として大いに期待できると感じています。

ー社風を浸透させていくには

野田)社風構築していく上では、企業規模が大きい場合など、社内に社風を浸透させていくことも課題となってくるかと思います。中園さんは、日本企業だけでなくグローバル企業での役職も歴任され、国や人種、価値観など多様性への対応が求められる場にまさにいらしたわけですが、社風浸透の上での有効な仕組みやご苦労された点などありましたでしょうか?

中薗)欧米、アジア圏に展開する外資系企業にいた際は、国や言語が異なるだけでなく、時差もあるため会議を行うだけでも調整が必要でした。しかし、そういった中で社風が浸透していた背景の一つには、徹底したマニュアル作成があったからと考えています。上位の大原則から体系化されたマニュアルが細かく整備されていて、自分の机の上にも「デスクトップマニュアル」というものがあり、常に私の仕事が何かを確認できるほどでした。

野田)私も外資系企業にいた経験からとても共感できまして、外資系企業では、大事なことは文章で伝える、誰が見て伝わるように明文化するという認識がありますね。

中薗)その通りです。日本では、「空気を読む」「文と文の間を読む」というハイコンテクスト文化のため、口頭や飲み会などで重要なことが上司から伝えられるなど、暗黙的なコミュニケーションが根付いてしまっていることも、統一やコミュニケーションを難しくし、多様性を阻んでいる要因の一つになっていると感じます。

中薗)また、私が在籍したグローバル企業では、マニュアル化だけでなく、各国に赴任するインターナショナル・マネージャーが、本社の理念などを伝授する役割を担っていました。数年単位で各国を回るインターナショナル・マネージャーは、社風を浸透させるエバンジェリストであったわけです。

野田)企業において、マニュアル整備や人材育成は、膨大なコストやエネルギーがかかりますが、多様な人材や環境を有する企業では、社風を浸透させていくことがいかに重要なことであるかが伺える内容ですね。

<次回へ続きます:DE&I インタビュー#02「主体性の欠如」>


中薗様は、9 月10 日の弊社イベントにもご登壇予定です。
こちらもぜひご参加ください。

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