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DE&I インタビュー[後半] DE&I戦略推進を阻む要因

合同会社ヘルム 代表 中薗眞理子様へのインタビュー「DE&I推進を阻む要因」の後半です(前へもどる「1.表面的な取り組み~社風の考察~」)。

弊社主催セミナー「DE&I になぜ取り組まなくてはならないのか?」中薗様資料より

2. 主体性の欠如

―トップダウンで決まる「社風」と「会社のため」という意識

プロビティコンサルティング 代表 野田弘子(以下、野田):社風が表面的な取り組みになっているとの話では、社員一人一人が社風を自分事として捉えられていないことが課題であり、またその解決に社員参加型の社風構築が有効との考察をいただきました。
また、日本の場合は、社風がトップダウンで決まっていく企業が多いことも、社風を自分事として捉えにくい背景にあると思いますが、いかがでしょうか。
合同会社ヘルム 代表 中薗眞理子様(以下、中薗):そうなんです。日本では、経営者などトップダウンで社風が決まることが多いですね。また、自分の意見を抑えトップや上司の意見を優先させる社員も多いため、トップダウンで決められた社風は「絵にかいた餅」になってしまいがちで、社風が自分事とは考えにくいものになってしまいます。なかには、経営者が自身の成功体験から社風を決めているケースもあり、そうすると時代に合わない部分も生じてしまいます。

野田)上司部下の関係を外資系企業と比べたとき、日本では「会社のため」という意識が強く、自分の意見を控えてしまう場面がありがちですね。


―推進の鍵は主体的な行動

中薗)
私が日本企業に勤めていた時の2人の部下の話です。
一人目の部下は指示通りに動くため仕事が早く進むのですが、間違いがあった場合もそのままになり、後で大きな手戻りが発生することがありました。
もう一方の部下は、納得するまで考えるので開始するまで時間がかかるのですが、理解後は主体的に行動できるので、結果的に任せた仕事の質やスピードが飛躍的向上していきました。

中薗)部下の例でお話しましたが、プロジェクトや施策などを推進・拡大していくために、自分で考え主体的に行動できるメンバーが重要となってきます。そのため、「会社のため」「上司が言うから」ではなく、自分で考えて責任を持って行動できる社員を評価していくことが上司や会社に求められていると言えます。

野田)DE&Iの女性活躍推進の施策なども、まさに当事者の女性の主体的な参加なくしては、意味のある施策にはならないわけですね。


3. DE&Iへの理解不足

―女性に対する固定観念(アンコンシャスバイアス)

野田)
最近ではDE&Iの話題を耳にする機会が増えてきましたが、企業のDE&Iへの理解についてはどのように感じていますか。

中薗)DE&I、なかでも女性活躍促進に取り組まれている企業が増えていると感じますが、当事者の女性は、能力や実績があっても「わたしなんて」と自己評価が低いケースが割と多いんですよね。

野田)女性の多くは、周りに合わせたい、目立ちたくないと思っていることが多く、自らの能力を発揮できていないように感じます。

中薗)そうなんです。そういった意識の根本には「女性は男性に守られるべき」などの女性に対する固定観念が無意識に刷り込まれているのではと思っています。
下図の「職場における女性に対するステレオタイプの見方」にある例のように、女性が男性と同じことをしていてもネガティブに見られるケースが多いんです。これでは目立ちたくないと女性は思ってしまうわけです。実際にこの表を女性に見てもらうとうなずいて苦笑いされます。

※画像をクリックすると拡大します
出所:ManagIng Diversity : A Complete Desk Reference & Planning Guide (Lee Gardenswartz and Anita Rowe著、McGraw-Hill社刊行) 

野田)女性や男性に対して職場での偏った思い込みがあることに気づき、認識をアップデートしていくことが大事ですね。また、性別の他にも、高齢者だから、外国人だからなど、様々なアンコンシャスバイアスがあります。自分が当たり前と思いこんでいるバイアスに気づくことが、DE&Iの理解につながっていくと言えます。

4. 三日坊主

―DE&Iの取り組みの継続

野田)DE&I戦略推進を阻害する要因の最後に「三日坊主」とありますが、これはどのようなことでしょうか?

中薗)これは言葉通りDE&Iを三日坊主にしない、DE&Iの取り組みを継続させることを意味しています。イベントや会議を開催して終わりにせずに、定期的に会議を行いその結果を経営層に報告していくなど継続する仕組みが重要です。
また、最近では、企業がDE&Iプロジェクトの担当に女性を任命するケースも往々にしてありますが、十分な説明や教育、必要な権限なく担当者にしてしまうと、プロジェクトは当然上手くいきません(女性だから上手くいかないのではありません)。
また、DE&Iのプロジェクトを行う場合には、担当者に対して、プロジェクトに参画することで本人が得られる成長やメリットも十分に説明することで、モチベーションが上がり主体的な行動に結びついてきます。

野田)DE&I戦略を推進していくためには、「社風」を自分事として考え、主体的に行動や発言ができること。そして性別などの思い込みを持たずにお互いを理解し合うことが大切であることがよく分かりました。また、女性へのキャリア教育やアンコンシャスバイアスの理解など教育や研修の重要性を改めて感じました。貴重なお話をいただきましてありがとうございました。


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