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【PR NOW#002】ブランド主体のクラスター創造について

こんにちは。
総合PR会社プラチナムです。

前回のPR NOWでは、New normal時代における「PRクリエイティブの変化」のポイントとして、【C to B to Mのコミュニケーション】についてお伝えしました。

今回は、もう一つのポイントとなる【ブランド主体による特定クラスターの創造】について、弊社代表取締役の吉柳さおりよりお伝えしたいと思います。


【ブランド主体による特定クラスタ―の創造】


今回のコロナ禍においては、震災時のような企業の取り組みの全面自粛とは異なり、今回は一部業界を中心とした自粛となったこともあり、単なる寄付などやCSR視点でのソーシャルグッドに終わらず、かといって商業的過ぎもしない、ブランドと生活者の間にwin-winを創出するバランス感覚も重要となりました。

そこで注目されるのが、ブランドを中心としたコミュニティの形成です。
生活者インサイトを顕在化するハッシュタグの設計や、オンライン上で同じ趣味関心や価値観を持つ人々が集まる為の場づくりといった、繋がりたい人を繋げる為の仕組みなどは、その手法のひとつです。

【特定クラスター創造のポイント】
1.繋がれる「場」をブランド主体で作る
パンデミックは、人々の共同体意識を高め、集団主義的傾向を高めます。
そのような中で、消費者の動機は、個人的な利益から、他の人と共有して楽しむことができる製品、サービス、体験へとシフト。
また、エッセンシャル消費が進む中でコンシューマーはより自身の大切にしている価値観をより深く掘り下げる(ギーク消費が進む)傾向があります。
このような中でブランドが主体となって、クラスターが特定の価値観で繋がり、一体感を得られるオンラインイベントなどの場を作ることが重要になってきます。
この時にも、コンシューマーインサイトを的確に捉えるPR的な視点が重要です。

2.上からのメッセージではなく、関係を生み出す言葉

場を作ることに加えて、ハッシュタグおよびテーマコピーの設計はブランドとコンシューマーを繋ぐための、潜在的な欲望を顕在化させるうえで重要です。
ハッシュタグやテーマコピーのを設計する上で注意するべきなのは、上からのメッセージを発信しないことです。
企業やブランド側から価値観を固定させるような「●●しよう!」という投げかけも今の空気とはあっていません。
コミュニケーションを通じて関係を作るべき対象がメディアからコンシューマーへと移り替わる中で、クラスターに対する共感を得るためには、そのクラスターがどのような価値観を重視しているのかを的確に汲み取り、自発的なアクションを促すことで人々を巻き込むことが求められます。
以前からPRの手法の一つとしてキーワードを創出するというものがありますが、今はメディアの関心を引く言葉や、上からのメッセージではなく、よりコンシューマー(クラスター)の関心を的確に捉え、共感を得、巻き込む為の言葉の設計が重要になっているのです。


【レゴジャパン「
#LetsBuildTogether

ブランドを中心とした共感が集まる場づくりを行った事例として、緊急事態宣言下にLEGOさんと共に実施したソーシャルキャンペーンとオンラインイベントをご紹介いたします。

新型コロナウイルスの影響で、前代未聞の外出自粛となっている状況下、人々は“家でいかに楽しくすごすか”に強く意識を向けていました。

『LEGO』の名前は、デンマーク語の『Leg Godtよく遊べ』が由来であり、その名の通り、年齢構わず“遊ぶ”ということを誇りにしており、未来へと繋がる遊び方を提案するというビジョンを掲げているのですが、この状況をLEGOというブランドの価値観で捉え直すと、家で楽しくすごす方法を考えることは、外出自粛の今だからこそできるクリエイティブな行為であり、「未来に繋がる新発明」とも言えるのではないかと考えました。

そこで、“仕方なく家で遊ぶ”よりも、“家だから楽しいという新発明を”という想いで、「家だから楽しいって、きっと新発明だ」をコピーとしたステートメントを発信し、人々が発見した“今だからこそできる家遊びの魅力”など、家ですごすことが楽しくなるような様々なアイデアをハッシュタグ「#LetsBuildTogether #一緒につくろうをつけてSNSに投稿するキャンペーンを実施しました。

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「#LetsBuildTogether」のSNSへの投稿数は、3500件に迫る勢いとなり、投稿される内容は非常にポジティブで、特によく見られるのは“親子で一緒につくった”という内容の投稿でした。

さらに、「こどもの日」「レゴの日」である5月5日にオンラインイベントを開催。
「#LetsBuildTogether」のハッシュタグに集まったレゴに限らない様々な「おうち遊び」のアイデアを紹介したほか、出題されたお題について参加者全員がそれぞれの得意な表現方法で形にするプログラムなども実施され、親子をはじめとした幅広い年齢層が参加し、約6,500人の視聴者と独自の発想を共有し合いました。

皆が自宅で退屈な時間を過ごす中で、ブランドが主体となり、そのブランドだからこそできる、共感の集まるハッシュタグ創出や、オンラインイベントの開催といった場づくりが、人々のブランドと関連した行動を促し、同時に家族でのコミュニケーションが広がるきっかけになりました。
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今回は、LEGOさんとのお取り組みを中心にご紹介しましたが、
企業やブランドが主体となったコミュニティ創造への取り組みは、コロナ禍を契機により増えてきたように感じます。

今後も、日々変わっていくNew normal時代のPRについて、
この「PR NOW」で定期的に発信していければと思いますので、
企業やブランドのPR、マーケティング活動に是非ご参考いただければ幸いです。

<吉柳 さおり>
大学在学中にPR会社ベクトルにアルバイトとして入社し創業に参画。2002年にベクトル取締役に就任。04年にPR事業会社プラチナムを設立し代表取締役に就任。慶応義塾大学にて非常勤講師としてPRの講義を開催。SpikesAsia PR部門グランプリ、日本PRアワードグランプリ、Cannesなど受賞。

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