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スタートアップPR:ストーリーを作ろう

前回のnoteで「PR=プレスリリースを書いて、メディアに送ること“だけ”ではない」と書きましたが、“だけ“じゃない部分の大切なポイントがストーリー作りです。いい会社にはストーリーがあります。いいサービスにもストーリーがあります。PR界隈の人と話すと「ストーリー(が大切)、ストーリー(から始めよう)」と言ってうるさいわけですが、その「ストーリーって何?」、「なんでプレスリリースじゃなくてストーリー?」について書いてみます。

記者の食いつきがよくなったり、ファンづくりができるスタートアップのストーリーは大きく分けると3種類あります。(ほかにもありますが、優先度の高い3つに絞りました。) この3種類のストーリーを取材や自社のホームページやSNSで伝えると、一味違うスタートアップとして差別化できます。


ストーリーの3タイプ
1, 社会課題の解決ストーリー
2, 企業の成長ストーリー 
3, 働き方・多様性ストーリー


1, 社会課題の解決ストーリー
スタートアップの創業の理由には、世の中にある何かしらの不自由を解決したいという強い思いがあるはずです。その不自由に自分なりの解決策を見つけて、その解決策のサービス化にまい進しているはずです。創業者であるあなたの中にある、事業を始めた最初の着火点を言語化することが最初のストーリーになります。
うまくストーリー化できない方は、なぜそれを課題だと思ったのか、なぜ解決したいと思ったのか、なぜ会社を作ったのか、なぜそのサービスを開発したのかといった“WHY”に一つ一つ答えてみてください。それをつなぎ合わせるとストーリーになります。

社会課題解決ストーリーがスタートアップ自体やそのサービスを「世の中ごと」にしてくれます。そして、それが納得と共感を生む始まりになります。取材を受けるようになったら、何十回、何百回になるかわかりませんが、このストーリーを繰り返し伝道師のように話してください。そして、相手の反応を毎回じっくり観察してください。相手の納得の度合いが深ければ深いほど、あなたの会社は成功する可能性が高いです。


2, 企業の成長ストーリー
スタートアップが有象無象から有力スタートアップとして抜け出すには、会社の成長を伝えるストーリーが必要です。そのためのコアストーリーがサービスや製品が採用された事例です。BtoBのスタートアップの場合、お客様企業が採用した事例がホームページに出てますよね。よく会社のホームページで見るアレです。

ホームページに出ている事例は大半が熱量を感じず、淡々と書かれていますが、広報が営業や開発チームと協力して事例の深堀りをすると、某NHKのプロジェクトX(古い?わかりますよね?)並みのストーリーがあったりします。

顧客企業に採用が決まった後、プレスリリースや事例に出したいという話をすると、顧客が嫌がるので出せないという話がよくあります。BtoB企業の場合は、事例紹介させてもらうことを契約時に入れ込んでもよいと思います。「事例紹介させてもらえるなら割引します」ということを経営陣、営業と合意して、事例作りを契約と同じレベルに押し上げましょう。それによって、顧客企業にも、自社の営業にも、広報にもwin-win-winにできる成長ストーリーを作りましょう。(営業と事例作りする広報なんて、まさにPRファースト、かっこいいです)


3, 働き方・多様性ストーリー
働き方改革やダイバーシティは2020年もキーワードです。スタートアップ独自の人事制度や働きやすさを生む柔軟な制度、多様な社員はストーリーの種になります。広報が人事と協力して、ストーリーの掘り起こし甲斐のある分野でもあります。

スタートアップは、ともすれば根性論で乗り切ろうすることもあります。スタートアップが成長して、社員が増えてくると、創業メンバーの根性論がそのまま受け入れられず、温度差が生まれ、社員がついてこないということも出てきます。
CEOが働き方ストーリーの発信を意識していると、根性論に限界が来る前に、ストーリー化できる人事制度を考えるようになり、先手が打てるようになります。企業文化づくり、社内コミュニケーションという社員に向けた発信の意味でもこのストーリーは大切です。


「なんでプレスリリースじゃなくてストーリー?」に簡単に答えると、
1, プレスリリースより上の3つのストーリーのほうが読み応えがあって面白いからです。
2, プレスリリース=ニュースは古くなるけれど、ストーリーは古くならないからです。
3, 理性だけでなく、感情にも訴え共感を生むからです。

スタートアップに限らず、広報担当者は、広報の第一歩としてプレスリリースを書こうとします。最近は、事業部の方にもプレスリリースが知られてきて、「プレスリリースを書いてほしい」と相談が来たりします。ただそこで、広報はプレスリリース生産機にならず、ストーリークリエイターになるのを目指しましょう!

まとめ
ストーリーを発信しよう。まずは3つのストーリーを発掘しよう。
1, 社会課題の解決ストーリー 
2, 企業の成長ストーリー
3, 働き方・多様性ストーリー

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