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期待の奥にある本当の感情。気が付くことの効果、そして呼吸の練習

「ありがとう」って言ってほしい

つい最近にも似たようなお話があったので、今日は誰かに「期待すること」について、とある感情の側面からのことを書いてみたいと思います。

「ありがとう」が無い。
感謝してないんだ。それは良くないことで改めた方がよいことだ。

家に居ることが多い、とある方の家族間での実例です。
「間違ってる、そう思うんです。」という言い分です。
いろいろ聞いていると最終的にはその相手に対しての言い分は、してもらったということがあるのだから「ありがとう」って言いなさい!ということなのですが、それはどうも「あなたは間違っているのだから、だから正しくありなさい」っていうことが前提になっています。
さらに、それを指摘した自分は間違っていないから責められる立ち位置にはいないぞ、という「正しいから安心という砦」に陣取った上で相手にもの申しているという状態のようでした。
だからこそ「はい。わかりました。その通りだね。ごめんなさい。」というような相手からのレスポンスを心の中で予定し、期待していました。
それで実際の相手の反応はどうだったのかということになりますが、彼女の期待していたものは相手からは出てきませんでした。どちらかというと、逆の方向性のものが出てきて、それを受け取ったようなのです。それで憤慨していたわけです。
ですが、状況を自分で話しているうちに、気が付いたことがあったようです。「私の話を聴いて欲しかった」という自分の中にあった感情です。
急に何かがこみ上げてきて、ぽろり。ぽろり。涙がこぼれます。
そしてゆっくり、やがて大きなため息へ。
気が付いた瞬間に寂しさがこみ上げてきてしまいました。
今回のことを話すということをきっかけに、これまで見つけてもらえていなかった、だけど存在はしていた自分の中の奥の方に居た「寂しいちゃん」が出てくることが出来ました。
「『私の』言うことを聞いてもらえない」
「正しいことを言えば相手は私の話を聞かなければならない」
そういう感情が自分の中にあるんだということに気が付きました。
発見するってコトは、とうとう自覚することが出来たということです。それはひとつの大きな進展です。


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期待している、その奥にあるもの

たくさんのお話を聴かせていただいていると、収入がとても多い方も通常の方も低い方も、経営者の方も会社員の方もフリーターの方も、このような同じような場面に出くわしています。凄い仕事をしているから、大きく稼いでいるから、あるいは自分は自由人だからそういう話には出会わないっていうこともどうも無いようです。
私達は独りではなくて、直接か間接的にかの違いはあっても、誰かに出会って、関わって生きていくことからは離れて生きてはいけない存在なので、誰かと関わるということ、関係性というものが存在している以上は「誰かに何かを期待して、欲しがる」ということは、相手との間に起きやすいコトのひとつだと思われます。

彼女の言い分としては、常日頃から確かに思ってはいたけれど、それは些細なこととして横に置き、日常の目の前のことをやり過ごしてしまって、気が付いたときには爆発していたということでした。
振り返ってみれば、小さく何度言っても相手にそれが聞き入れられたという実感が無く、あるいは言ってわかったと返事をしたことがすぐに忘れられたようになり「えっ?」「どういうこと?」って感じつつ何も言えなくて、何度も同じような風景に出くわしてしまううちに溜まっていったのだと思う、ということでした。


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期待はこんなところにも

とある方は食事の風景の中で「いただきます」「ごちそうさま」を言いなさいって注意しても家族は一向に言わないという毎日を改善したいと思うが上手くいかないんだ、ということでした。そんな食卓の風景があることが嫌でたまらない、ということをお話ししてくれました。
この方は、社会的には専門的な能力を発揮して現場の改革なども行い活躍している方です。きっと仕事の現場で顔を合わせる人たちはこの方がそのようなことで悩んでいるということには気が付かないでしょう。

その方が家族に言いたいことは「忙しくても毎食料理を作ってる」人にちゃんと感謝してよ、ということでした。さらに「この食材だって、たくさんの人の手を経由してここに到着したのだから、農家の方や売ってる方やたくさんの人が居てくれてこそ食べることが出来るんだから、そこに心を向けなさい。感謝しなさい」ということでした。
ですが、家族の誰もが思ったような反応をしないのだそうです。ですから「自分の家族には感謝する心が無い。」と嘆くという日々があったそうです。

この方の場合にもよく話を聴いてお話もたくさんしてもらうと、世の中にある当たり前の常識的なことであるだろう「正しさ」を借りているということが、自分に起きていることにご自身で気が付きました。

毎食ごと家族の皆に「いただきます」を「自分によこせ」と言っている、そんな自分がそこには居ました。生産者の方々にその想いを送ろうね、というありがとうの気持ちを届けたいということでは無かったということに気が付きます。
自分自身がそういう気持ちで過ごして、ハッピーでいるということではなかったのです。目の前に存在する食材や料理にありがとうって思って幸せ気分なんてこと体験していない自分に気が付きました。
食事という体験の時間そのものや料理自体に気持ちは向ってはいなかったようです。その方は「料理」にも「食事」にも実際興味をそれほど持っていないというのが本当のことでした。
思い出し、そして観察をしていくと、そこにあった起こしてきているこれまでの事実としては「常に自分がしてもらいたい」であって、自分から溢れ出る「誰かに何かをしたい」ではなかったのです。
やがて日頃から家族に対して自分が不満に思っていることや欲しがっているものが、少しずつ顕わになっていきます。それは追いかけていくと、目の前の家族を通過して、さらに遠い記憶の先にある昔の家族の風景の中にあったものなのかもしれません。

「○○にしてもらいたいのに」「○○にしてほしいのに」
「無い」「また無い」「やっぱり無い」「どうして無い?」「なぜ?」

そんな誰かに向けての言えなかった言い分がずうっと続いてきていたのかもしれないという可能性に少し繋がりかけているという体験をしているようです。
日常の中にいながら、自分のたくさんのことを見付けては受止めていく、そんな彼女のワークは続きます。


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呼吸ひとつで、気付きが増えていく

実際の現場では、様々なことを行いながらご自身での「気付き」に到着していきますが、小さく日常にどなたもが活かせるものとしては「呼吸」があります。「呼吸」にサポートしてもらうことが可能なのです。

それは、ゆっくり静かに呼吸するという練習時間をわざわざ用意して、それを継続するということです。

私達は、知らないうちに呼吸が浅くなってしまっているということが多いです。呼吸が浅いというだけのことでも、そのせいで私達は簡単に「焦ったり」「心配したり」「緊張したり」しています。
呼吸が浅いことには無自覚なままですが、そういう時に大切な判断をしようとすると、どこかにずれ込んでいったりしやすくなります。

自分の呼吸を意識してなどいなかったという場合には、自分が実はかなり緊張しているということに気が付いていなかった、ということもあります。
ゆっくり呼吸をすることを日常の中に採用していくと、やがて段々と時々の自分が緩んでいるのか緊張しているのかということがわかるようになっていくでしょう。自分の気持ちを受止めるということもより上手になっていきます。

練習なんて出来ないし、しないよ、続かないから。という方も、たとえば30秒でも1分でも大丈夫ですよ、とお伝えさせていただこうと思います。ここから先は、気になった方は実際にやってみてください。


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簡単な呼吸の練習


いつもしている呼吸よりも、ゆっくりと長い呼吸を意識します。

ゆっくりと口から吐きましょう。
(吐く方から先に)

ゆっくりと吐いて吐き出していきます。
(4カウントしながら吐きます)

(可能な場合には、自分の中にあるもう手離していいものが自然と吐く呼吸と一緒に離れていきます、というイメージを描いたり意識しましょう)

吐いてから、自然と今度は鼻から吸い込み始めます。

ゆっくり吸い込みましょう。
(4カウントしながら吸います)

(可能な場合には、新鮮な空気が自分の中に入ってきて、それが全身を巡って細胞のひとつひとつに届きます、というイメージを描いたり意識しましょう)

再びゆっくりと吐いていきます。
(ここからは繰り返しです)


全体で30秒~1分でもOKです。
もう少し長くしてみたいという方は3分とか5分続けてOKです。

「この呼吸を終わらせて、いつもの通常の呼吸へと戻します」
終わりにはそのように宣言をして終了しましょう。
それだけで大丈夫です。


慌てている時とか、頭に血が上っているぞという時など、何かで落ち着いた方がいいという時にも、ゆっくりとした呼吸が役に立ってくれるでしょう。
呼吸やイメージの描き方にはいろいろありますが、まずはほんの簡単な呼吸そのものを意識するということから始めていただくといいかなと思います。無自覚に呼吸していて知らなかったよ、という方は、意識的に呼吸するということを採用していただくといいでしょう。



写真と文 sanae mizuno
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