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(前編)最先端の動画の世界へ!クリエ・ジャパン社渡邊氏に聞くパーソナライズド動画活用の極意とは一体?

出典元:VIDEO SQUAR インタビュー記事

■導入
現在、マーケティングツールとして、様々な業界から熱い視線が注がれているのが「動画」です。その動画業界の中でも、近年注目を集めているのが、今回の記事で取り上げる「パーソナライズド動画」です。パーソナライズド動画っていう名前は聞いたことあるし、何となくは分かるけど、どんな効果が出るのかわからないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は日本でパーソナライズド動画の生成エンジンを作っている株式会社クリエ・ジャパンの代表取締役COO渡邊克彦様にお話を伺ってきました。パーソナライズド動画に秘められた大きな可能性と、その活用方法について迫りました。

■まず、はじめにクリエ・ジャパンについてお伺いしたいと思います。

2010年に立ち上げた会社で、クリエ(Crea)という社名は「Creative(クリエイティブ)」に由来しており、「様々なものを創造していきたい。」という思いから立ち上げました。

創業当初は現在のパーソナライズド動画とは違ったアート系SNSサイトのビジネスからスタートし、同時に大手企業のビジネスコンサル的な仕事も行っていました。アート系SNSは業界大手のサイトになりましたが、業界的に大きなビジネスへの発展性が見込めないことから去年その事業は売却し、現在は2015年4月にリリースした日本では初めてのパーソナライズド動画事業に注力しています。

■パーソナライズド動画を事業として始めたきっかけは何だったのですか?

ITベンチャー企業ですので、常に新しい事業アイデアはないかアンテナを張っています。その中で「動画」は情報の伝達の上で極めて有効な手段で、インターネットの通信環境が発達するなかで、今後ますます重要になってくると思っていましたし、パーソナライズド動画も、アメリカでは既に10年少し前から導入されていて注目していました。

そんな中、ビジネスコンサルティング案件でパーソナライズド動画のニーズがあり、最初は海外のソリューションを利用しようと思いコンタクトをとったのですが断られてしまいました。どうしたものかと社内で検討したところ、弊社のCTOが作れると言ってくれたので、自社開発して提供しました。その後に事業化できるレベルにまでバージョンアップしてパーソナライズド動画生成エンジンPRISM(以下、PRISM)として公開致しました。

■まだ、パーソナライズド動画を知らない方もいると思いますので、パーソナライズ動画について簡単に教えてください。

パーソナライズド動画とは、「視聴する個人個人に合わせた動画」のことです。通常、動画の制作は人の手によって編集するので工数がかかります。ですので、例えば、動画の冒頭にお客様のそれぞれの名前を入れるにしても、数名でしたら簡単に作れますが、仮にその数が数百、数千、数万など多くなると、大変手間が掛かり物理的に現実的ではないです。

しかし、パーソナライズド動画の場合、ユーザの属性に基づいて、システムのサーバ上で、動画や画像、テキスト、音声といった動画素材を任意に組み合わせて動画を作ることができます。人ではなく、システムがすべて行うため、個々人に合わせた数千、数万、数百万といった大量の動画を作成することができます。

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■それによって、提供者側は、どのような効果が得られるのですか?

そもそも動画は、圧倒的な情報伝達力を持つものですが、その伝達力は一説によると、静止画と比較すると5000倍もあるとも言われています。ただ、これまでの動画は、提供者側が「こんな動画が良いだろう」と主観的に考えて作ったものを多くの方に見て頂くものでした。
パーソナライズド動画の場合には、見る側であるユーザの多様な属性に応じて動画素材を組み合わせて内容を作るため、相手にとってより最適化された内容にすることができます。

相手の属性に合わせた興味のある内容を、圧倒的な情報伝達力のある動画で提供することより、見る側に対して「自分ごと感」を強く演出することが可能になります。実際、平均再生率(動画全体の尺のうち視聴された割合)も高く、ある事例では88.5%と、ほぼ全員が最後まで視聴している状況にあります。これは特別な数字ではなく他の事例でも同様な数字が出ています。

■パーソナライズド動画PRISMの特徴を教えてもらえますか?

PRISMの特徴ですが、まず開発の思想、ビジネスの考え方にあると思っています。先行しているアメリカでの状況を見ると、ナショナルクライアントレベルの大手企業に限定されており、その要因としては中小企業には手を出しにくい価格になっていました。大規模なプラットフォームを抱えているので当然必要コストがかかってくるのでやむを得ないと思うのですが、今後、動画の活用が当たり前になる世界が見えてきている中で、一部の大企業だけではなく中小企業でも活用できる一般的なソリューションにしたいと考えました。そのため、パーソナライズド動画の開発に際してのその実現方法はいくつか考えられたのですが、コストを抑えられる仕組みということを一つの方針にしました。

また、パーソナライズド動画に限らないことですが、マーケティングソリューションはそれ単独で全て完結する訳ではなく、様々なソリューションと連携することにより、より大きな効果を発揮します。そのため、シンプルなシステム構成で他のソリューションとの連携や拡張が容易である、ということももう一つの開発方針としました。開発当初から既に何回かのバージョンアップを行い、現在ではクライアントのさまざまなニーズに対応した「マルチ対応パーソナライズド動画」に進化させることができそれが特徴になっています。

■「マルチ対応」についてもう少し具体的に教えてもらえますでしょうか。

細かく説明すると切りがないのでいくつかポイントをご説明します。先ず動画の生成、配信方法を利用方法に応じて複数用意しています。基本の「mpeg4動画ファイル生成、配信」に加え、「リアルタイム生成、配信」「ファイル結合配信」を選択いただける他、この組み合わせのハイブリッドも可能です。

mpeg4は最も一般的な動画ファイル形式ですから、メールでのURLの添付やQRコード化など、エンドユーザに対して様々な方法提供が可能です。
「リアルタイム生成、配信」は動画を作りながら視聴してもらう、あるいは見せながら動画を作る方法で、例えばWebでお客様にお名前を入力してもらい、そのお名前を動画に即時に反映して視聴いただくということも可能です。他社においては動画の生成速度が速いために短尺の動画であれば数秒で作れるのでリアルタイムと謳っているところもありますが、弊社の方式では、例えば60分というような長尺のものであっても対応可能です。

「ファイル結合配信」は、例えばキャンペーンなどで数百万とかの大規模なユーザを対象に一斉に動画を生成する必要がある場合にお勧めしています。mpeg4の場合にはユーザ毎に動画ファイルを作成し、ストレージに保存するため、数百万規模の場合には現在ストレージコストが安くなったとは言えコストが馬鹿にならなくなります。ファイル結合配信は、ユーザ毎に一本の動画ファイル作成するのではなく、見せたいシーンの動画ファイルを順番に結合させながら配信する仕組みですので、共通の内容の動画はファイルを一つ持っていればよいだけになり、これによりストレージコストを大幅に削減が可能です。この方式は弊社独自のものになります。

これら全ての生成、配信方法において、実際にユーザが視聴した動画ファイルを後から確認することが可能です。パーソナライズド動画の実現の方法として、ユーザのプレーヤー側の方で文字等を合成する方法もありますが、この方式ですと動画ファイルが残らない上に、ユーザのブラウザ環境によって挙動が変わってくるので実際に視聴した動画内容を確認することができません。これは問合せ対応などのカスタマサポート上大変に重要なことだと思っています。

また、動画を見ているときのUX(ユーザー・エクスペリエンス)を高めるために、インタラクティブプレーヤーも実装しました。これにより対話式パーソナライズド動画というものもできるようになっています。これらの全ての機能を利用目的に応じて選択いただけ、それを極めて低価格で提供できるのがPRISMの特徴になります。

~後編につづく~

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