『I hear you』

みなさん、同情と共感の違いってわかりますか?

洋書の読書に挑戦し始めました。
コーチングやコミュニケーション、リーダーシップに関する洋書を読んでいこうと思います。
第1冊目はMichael S. Sorensenの『I hear you』です。

本書では相手の話を聴くときに、感情を検証するのが良いとしています。
(Validationを「検証」と訳しています)
検証の内容としては『7つの習慣』に書かれてある「共感による傾聴」の第三段階にあたります。

第三段階:相手の気持を言葉にする

他の傾聴本と同じように、すぐにアドバイスをするのではなく、まずは相手の感情を理解しましょうとしています。
このとき、相手の感情や言っている内容に同意する必要はありません。
あくまでも相手がどう感じているのかが大事で、内容そのものに良し悪しの判断をしてはいけません。
これはコーチングなどでもトレーニングさせられる点ですね。

Validation Methodの4ステップ

本書の共感による傾聴のステップは以下のようにまとめられています。

1.Listen Empathically
2.Validate the Emotion
3.Offer Advice or Encouragement (if appropriate)
4.Validate Emotion Again

1.Listen Empathically
ここは全集中で聴くとか、解決を試みないなど一般的に言われることがメインですが、ひとつ参考になったのは「短い言葉で反応する」というのがあります。
短くて簡単な言葉は、聴いているよ、何も判断していないよ、安心して続きを話していいんだよというメッセージになります。

・本当?
・わかるよ。
・それはイライラしただろうね。
・おめでとう、すごいね。

2.Validate the Emotion
相手の話が一区切りしたところで、相手が表現した感情をリピートし、そう感じたことを受け入れるとしています。
相手の感情がよくわからなければ、「そのことをどう感じたの?」と聞きましょう。

自分が過去に経験したことがあるのかどうかを素直に相手に伝えるのが良いそうです。
相手がそう感じることがわからなければ、「自分は経験したことがないのでわからないけど」と素直に認め、わかったふりや知ったかぶりは止めましょう。

3.Offer Advice or Encouragement (if appropriate)
コーチングでは当たり前のことですが、アドバイスを与える前に相手に許可を取りましょう。
相手は聴いて欲しいだけかもしれません。頼みもしないフィードバックは害にしかなりません。
自分に何を期待しているのか、アドバイスをしても良いかの確認は大事です。

また、"but"ではなく"and"を使う。"You"ではなく"I"を使うなど、相手を攻めているような形にならない配慮も必要です。
「あなたは間違えている」ではなく、「私はそうは思わない」という感じに。

4.Validate Emotion Again
最後にもう一度、自分が聴いて理解したことを伝えましょう。
そして、話しづらいことを伝えてくれたことに感謝しましょうとしています。

これはサンドイッチ・フィードバックに似ているなと思いました。
サンドイッチ・フィードバックは、以下のような感じで、フィードバックしたいことの前後に褒める、認める、ねぎらうを加えるものです。

1.パッと見て良い点を褒める or 作業してくれたことに感謝とねぎらい
2.こうするともっと良くなるという点を伝える
  (何がダメかは伝える必要はない)
3.全体を通して良い点を伝え、感謝する

フィードバックを好意的に受け取ってもらう一つの手法です。

共感力を高めるには

本書で参考になったのは、共感力を高めるために日々できることは何かということでした。ざっくり言うと以下の5つです。

1.相手の話の背景などに興味を持つ
2.相手をよく見る
  (自分が想像している以上に、相手の状況は良くないと考える)
3.我が子として見る
4.自分の感情を認識する
  (自分の感情がわからなければ、他人の感情なんかわからない)
5.自分の感情の良し悪しの判断を止める
  (そのまま認識する、受け入れる)

この中で、4番目の自分の感情を認識するは、時折「今どう感じている?」と自分に問いかけ、その気持を言葉にしてみるというものです。
ここでポイントとなるのは、「良い」「悪い」ではなく、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」「寂しい」など、ちゃんと感情にしてみるといことです。

タイマーをかけるなどして、日々の生活の中で、その瞬間に何を感じているかを考えるトレーニングをしてみようと思いました。

その他

あと、これ大切だなぁと感じたのは、今相手の話を聴く時間がないときは、ちゃんとそのことを伝えましょうと。
あとで時間を作ることを伝えるだけで、相手は安心して信頼を維持してくれるそうです。
特に在宅などでメールやメッセンジャー中心のコミュニケーションになると、忙しいからと後回しにしたり、急ぎで雑に扱うことも出てきます。
一言「あとで見るね」と伝えるだけでも、相手は無視されたとは思わないし、なかなか返してくれないとヤキモキすることもなくなるでしょう。

さて、最初に問うた同情と共感の違い。
本書では以下の例で説明していました。

穴に落ちた人を見かけて、
・同情:穴を覗いて「大丈夫?」「何かいる?」と声をかける行為
・共感:自分も穴に降りて「これは辛いね、君はひとりじゃないよ」と伝える行為

コーチとして、また7つの習慣・実践会ファシリテータとして、共感力高くクライアントの声を聴けるよう精進します。


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