#高安動脈炎闘病記 1

  1. 心臓、逆流の音がします

2月の頭の、いかにも2月っぽい天気の日だった。
年末から喉の調子が悪く、近所の耳鼻咽喉科に通っていた。とても親切で喋り口のの柔らかく、紳士なおじさん先生だった。
僕は冬になるとよく風邪をひく。何ヶ月も長引いて激痩せしたこともある。
なんでそういう痩せ方したのにまた太ってしまうのか不思議に思ったこともある。
今回もひと月ちょっと喉の痛みがおさまらない。咳も出る。
おじさん先生は内科で肺のレントゲンを撮ってもらいましょう、耳鼻科ではみれませんからと。
数年前にできたこの町の新しい商業施設。
耳鼻科の2軒隣には内科があった。
先生の紹介もあり、すぐに内科を受診した。

耳鼻科の先生より若く、二枚目な先生が診てくださる。聴診器を当てた瞬間表情が曇った。

心臓、逆流の音がします。
今日、このあと時間ありますか?
大きい病院でしっかり調べる必要があります。
こちらでもエコーとレントゲンをしましょう。紹介状をすぐに書きます。行ってください。

あっという間の出来事だった。
気付けば自覚症状の無かった熱まで出始めている。

事の重大さにはまだ気づかない僕は、車を走らせながら、パートさんに病院、長引きますって言わなきゃだとか、笑い話にするくらいのつもりで頭を巡らせていた。

この辺で1番大きな病院につき、救急の窓口に行く。熱発しているので、発熱者用の待合室に通される。
血液検査をはじめ、いろいろな検査をした。
抗生物質が原因でなのかお腹を下した症状もあることを伝える。翌日に大腸内視鏡の検査を受けることとなった。
町の内科で言われた心臓の逆流の話は、総合病院でも同じ所見だった。
専門医の診察をまたするので、16日に来てくださいと言われ、この日は帰った。
翌日、腸の検査。約3年前から疑いのあったクローン病の所見があるとのこと。
その時は軽症ということもあり、専門薬を服用し寛解していたのだが、ここ最近の不調からまた悪さをしていたようだ。
国の指定難病であるクローン病だが、幸い自分の症状は軽かったためこれまでは服薬だけで済んでいた。今回は、前回発覚した時よりも酷くはあったが、また専門薬を飲むことで安定してきた。
それよりも気になるのは16日に受ける心臓の診察だった。
実は、16日は有休を取っていた。
大好きな、オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームに行くために、かなり前から休みを入れ、航空券を取っていた。飛行機の時間は午後。午前中に診察を受ける予定だ。

しかし、16日が近づくにつれて身体の調子が芳しくなくなっていく。
より息は上がるようになり、自宅のアパートや会社の階段がよりキツく感じるようになってきた。足はむくみ始め、明らかに異常が出始めてきた。
仕事をなんとかやり過ごし、夜な夜な東京の準備をする。4日間の滞在中の着替えと事前に買ったグッズを、この日のためにコストコで買ったデルセーパリの大きなキャリーバッグに詰め込む。開くつもりはないが、立場上パソコンも持っていかないといけない。
経験したことのない倦怠感と翌日からの期待をルイボスティーで流し込み、準備を終えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?