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高尾歳時記 2024年7月20日

おととい7月18日、関東甲信越の梅雨明けが発表されました。

今年の梅雨はそれらしい天気の日もありましたが、から梅雨でした。梅雨明け早々、本日7月20日は全国的に暑い日になり、東京地方では猛暑日になりました。気象庁によると、府中で最高気温36.7℃を記録したほか、 八王子は36.1℃、東京都心で35.0℃と、厳しい暑さになりました。

あさって7月22日は二十四節気の大暑。一年のうちもっとも暑さが厳しい時期とされます。したがって、いまは暦どおり暑くなる時期ということなのですが、それにしても暑すぎです。NHKの天気予報などによると、20日の気温は例年と比較してだいたい5℃ぐらい高いそうです。ちなみに、東京で観測史上もっとも高い気温が観測されたのがちょうど20年前の今日、2004年7月20日で、39.5℃でした。

今年は年明けから気温が高い傾向が続いています。高尾山の花も影響を受けていると思われ、例年と比較するとそれぞれの花の開花時期は遅めで、かつ、咲いている期間が短めの傾向があります。ただし、毎年の開花状況やその多寡は気温のみに依拠するというような単純なものではないので、様々な要因が複合的に絡んでいるはずです。一部はどんどん減少しているように思える一方、今年はハナネコノメの花が大豊作になったように、なにか色々作用しているのでしょうね。

気温が植生に及ぼす影響も気になりますが、今日みたいに暑い日は、野外の運動で体をこわさないよう注意が必要です。本日午前10時時点で、高尾山山頂の気温はすでに33℃。湿度も77%と高く、日差しも強かったため、高温多湿の環境の運動に習熟していないひとには危険な天候でした。今日みたいな日は、速乾性の放熱ウエア(コットンのように汗を吸ってびしょびしょにならず、すぐに蒸発させて、その際の気化熱で体の表面温度を下げる)を着込むとともに(暑い日、コットンなど天然繊維のウェアで激しい運動をするのは気温が高いときの熱放散ができず、また日没や夕立ちなどの気温低下時に気化熱で体が極度に冷やされ低体温症になるリスクがあるため、極めて危険です。ジーンズにコットンTシャツかなんかで山を登っている人がいますが、しゃれにならないのでやめましょう)、いざとなったらあたまから水をかぶれるようハイドレーションに水を大量に詰め込んで持っていきます。なによりも、日常的に身体の暑熱順化をはかりきちんと熱放散ができるようにしておかないと、今日みたいな日は厳しい。暑すぎたのか、高尾山の人出は週末としては若干少なめでした。

猛暑でしたが、高尾は梅雨明けの花が咲き始めて、季節は確実に秋へと向かってます。今日も花の多いところを巡ってきました。

ヘクソカズラの花が咲き始めています。葉っぱや実を指ですりつぶすと悪臭がするのがその名の由来ですが、そのような植物はほかにもごまんとあるところ、あまりにも気の毒な名前だということで、サオトメカズラという雅名もあります。事実、このようにかわいらしい花をつけるのですが、この雅名はあまり市民権を得られていないようです。
イモカタバミは人家近くや河原で普通によくみかけます。南米由来の帰化植物。
ハグロソウがあちこちで咲いています。主に、あまり日の当たらない、沢沿いなどの湿った環境でみかけます。
アキノタムラソウは、夏が深まるとあちこちでみられるようになるシソ科の花。個体数は多い。
ツユクサは初夏から初秋にかけて、長い時期あちこちで観察できます。万葉集など、古来から日本人に詠まれてきた花です。
あっ!キツネノカミソリです。走りの一輪を見つけました。梅雨があけると主として沢沿いの水が豊富なところでぽつぽつみかけるようになります。
アカショウマ。梅雨時期にみられる花です。もうそろそろ終盤。
梅雨が明けるこの時期の主役は、なんといってもヤマユリ。
直径20cmをこえる、大輪の花を咲かせます。
自重に耐えられず、地面にお辞儀している個体もあります。
あっ!こちらも走りの一輪。ツリフネソウです。高尾の個体数は比較的多い。高尾では少ないのですが、黄色い花を咲かせるキツリフネという種もあります。
アジサイといえば梅雨の花ですが、高尾では梅雨明けに花を咲かせるアジサイがあります。タマアジサイです。梅雨の時期、硬く丸い花芽をじっと育てます。
そして梅雨が明けると、くす玉が割れるように開花します。
まるで打ち上げ花火が開いて光の粒が四散するようなフォルムは、動いていないのになぜか動きを感じます。すばらしい自然の造形。
キツネノボタン。暑い時期、日の当たらない沢沿いなどの湿った環境で多く観察できます。
ダイコンソウ。根生葉が大根の葉のようなのでこの名がついたのだとか。こちらも日の当たらない沢沿いなどの湿った環境で多く観察できます。
ナガバハエドクソウも同じく、日の当たらない沢沿いなどの湿った環境で多く観察できます。一見なんの変哲もない花ですが、名前や生態を知るといろいろと興味がわいてきます。
清らかで冷涼な沢の流れ。今日みたいに暑い日は、沢に入って涼をとります。ひんやりしてきもちいい。
こどものころ、夏休みに沢で遊んだ記憶がよみがえります。
沢につかりながら、しばしぼうっと。
夏の緑の深い森からくる木漏れ日。水がきれいな景色って、贅沢です。
モンキアゲハがひらひらと舞い降りてきました。地面の水分を吸いにきたようです。蝶々も暑いんでしょうか。
キンミズヒキは終盤。
赤い花のミズヒキ。こちらはこれからが盛りの時期です。
空は真っ青。
こちらはカタバミ。日本人にとって、もっとも身近な花のひとつ。
(小仏)城山に到着。富士山方面の遠景。空の低いところに雲がかかって、富士山はみえませんでした。
同じく城山山頂から、都心方面。霞が強く、遠景は限定的。
オオバギボウシは真っ盛り。あちこちでみかけます。
早春にでるオオバギボウシの若芽はウルイと呼ばれ、食用になります。
一丁平の森は夏模様。
イワタバコの花が盛りを迎えています。
美しい落葉紅葉樹の森を歩きます。
高尾山山頂に到着。富士山方面の遠景。引き続き空の低いところには雲がかかって、富士山はお預け。
同じく高尾山山頂から丹沢主脈方面。稜線の遠景は良好でした。

【参考資料】
国立天文台HP 暦計算室 令和 6年(2024) 暦要項


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