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被害者請求スキームがあまりにも酷く、治療家を二次加害者にしかねないという話

私もことあるごとに何回か出している「被害者請求スキーム」。

これは交通事故で受傷された患者さんは、主に自賠責保険を対応して治療・施術を行うのですけれども、多くが保険会社が窓口となる「任意一括請求」という対応をします。

複雑な損害賠償対応を、保険会社が行なってくれる・・・メリットとしてはそれなりあるのですが、デメリットとしては営利企業である保険会社の体勢から、支払を絞るために打ち切りなどがあることです。

この被害者請求スキームは
本来は安心して治療・施術を受けるべき患者さんが、保険会社の妨害によって自賠責保険をしっかり最後まで請求ができなくなっている事実・・・これを打破するために、従前から用意されている被害者請求という制度を使い任意一括請求を解除して、治療費も慰謝料も保険会社に邪魔されずに獲得しましょう・・・
といった内容が多いようです。

日頃、保険会社の対応などに不満を持っている医療従事者にとってみれば、払うものを払わない保険会社が悪いので、自賠責保険にしっかり請求して何が悪い!・・・という感情を揺することを同時に行っている印象です。

昨今はSNSの中でも、一部の団体や行政書士が、これを推奨して展開していますが・・・中身を見ているととてもじゃないけれども賛同できないし、冷静に考えれば医療従事者が患者さんから恨みを買われかねない・・・そんなスキームは看過出来ませんので、最近の傾向を交えての情報で今回は解説したいと思います。

①いつからどういう風にやり始めているか
②被害者請求を採用する前に考えなくてはいけないこと
③知れば知るほど本末転倒、患者さんは医療従事者の「金のなる木」では無い!

でお送りしたいと思います。


①いつからどういう風にやり始めているか

細かいことは勉強会だったりあちこちで申し上げておりますが・・・かいつまんで私の知る限りを申し上げます。

・私が最初に聴いたのは2015年の頃、一部の行政書士たちがこの請求方法で治療費を回収しましょうというセミナーを行っていた

・前述の様に、治療費の支払いトラブルを起こしているのは保険会社ので、その保険会社を任意一括請求という「請求管理から外し、自賠責保険に対して直接請求を行う」というもの

・保険会社を介さないで請求が行われるので、邪魔されずに自賠責保険から支払われる治療費が入ってる邪魔されずに自賠責保険から支払われる治療費が入ってるし、慰謝料も患者さんに入ってくる


といったような内容ですが・・・これは実際の自賠責保険に関わる業務処理を知っていれば、どこまで愚かでずさんな考え方か?が分かります。

まずそもそもが、自賠責保険の支払い可否に関しての決定は、すべてを任意保険会社担当が行っているわけではありません。
よく「自賠責のほうで認めて貰えもらえなかったので・・・」という保険会社担当のコメントを聞いたことがある人もいるかもしれません。

これはこれで間違っておらず・・・そもそもが・・・

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