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日本でも中国くらいライブ配信が当たり前になる?

こんにちは、PRIME代表の阿部伸弘です。
PRIMEはライバーマネジメント事業を軸としたITスタートアップです。
学生時代に起業してから10年、SNS領域でスマホアプリを作り続けてきました。
2017年以降は、ライブ配信者を生み出し育成するライバーマネジメントに特化しています。

ライブ配信についてよく知らない方に向けて業界の情報発信をしています。
第1回はライブ配信の概要について書いたので、良かったら見てください。

本日は、ライブ配信業界の成長について書いていきます!


中国のライブ市場

ソーシャルライブ市場を牽引してきたのは、間違いなく中国です。
中国ではライブ関連のアプリだけで現在200個以上存在すると言われています。
日本でも知名度の高いTiktok以外にも、短時間動画にライブコマース機能がついた「快手」。
中国最大のオンラインQ&Aコミュニティである「知乎」や、
学問・ビジネスコンテンツである「得到」アプリにもモジュールでライブ配信機能がついています。
ちなみに中国では釣り配信が人気カテゴリーだったりします。

中国のライブ配信と言えば、ライブコマースですよね。
アリババグループの淘宝(タオバオ)等はご存知の方も多いのでは。
2019年時点で、中国のライブコマース市場規模は約7兆円、
ユーザー数は約5.5億人と言われています。
中国のインターネット利用者人口の62%を占めている状態です。
2020年は16兆8000億円、2021年には32兆円規模に上り、
ライブ配信だけでも2021年の市場規模は1.7兆円と予測されています。

スクリーンショット (9)参照:iResearch (単位:億円)

中国では10年以上前からライブ配信が存在していますが、
最初からライブコマースが流行っていたわけではありません。
流行のきっかけは雑談などのエンタメ領域で、
時間をかけて「投げ銭文化」が浸透しています。
また中国ではブランドのニセモノ商品が出回っているため、
ライバーに対して信頼や共感が生まれた結果、
「このライバーがオススメする物ならニセモノでなく信頼して購入することができる」
というライブコマース文化に発展しました。

中国でライブコミュニケーションが他国よりも速く広まった理由はいくつか考えられます。
1つ目は、中国では2003年からのインターネット規制により、独自のSNS文化が発展したこと。
世界ではシリコンバレー発のFacebookやTwitterなどのアーカイブコンテンツが世界で広まっていましたが、中国では使用できない。
そんな中で2016年に動画コミュニティアプリのTiktokが登場し、新しいSNS市場が開拓されました。

2つ目が、中国の社会的背景
中国は一人っ子政策による男女人口比率の歪みにより「男性余り」状態です。
かつ中国には地理的に離れた場所とのコミュニケーションに慣れていることもあって、
会えなくてもいいから話したいというニーズがありました。
ライブ配信は特に女性の活躍が著しく、男性が女性との会話を楽しむことができるプラットフォームとして、熱狂的なユーザーが生まれました。
また地方と都市部で所得格差が激しく、チャイナドリームを求めて地方の若者が精力的であったことも挙げられます。


日本のライブ市場

スクリーンショット (59)参照:日本経済新聞

日本は中国に3~4年遅れて追随する形で市場が拡大しています。
2020年の日本ライブ配信人口は200万人で、市場規模は635億円。
2024年にはライブ配信人口670万人、市場規模2,084億円と予測されているので、動画配信市場予測の3000億円に追いつく勢いです。

現在日本のライブ配信市場は年1.3倍ペースで右肩上がりに伸長しています。
2020年、Pocochaを運営するDeNAでは、ライブ配信事業の拡大により株価が一時ストップ高まで上昇しました。
YouTubeもアーカイブコンテンツが主流ですが、今後はより臨場感のあるライブコンテンツが増えていくことが予想されます。

2020年はコロナウイルスの影響で生活様式や働き方に変化をもたらしました。
YouTuber等で個が活躍する新しい生き方も珍しくなくなり、在宅ワークも一般化。
副業としてライブ配信を選択する方も増えました。
家での過ごし方が多様化し、想定よりも早くオンライン上のコミュニケーションは当たり前になりました。
リアルで実施する予定であったイベントがオンライン上で開催されたこときっかけに、ライブ配信を見るようになった方も多いのではないでしょうか。

スクリーンショット (32)参照:DeNA 2021年3月期 第3四半期 IR説明会資料


一方で緊急事態宣言などで仕事に困る方が激増。
コロナきっかけの失業者は8万人を超えています。
そんな中で、ライブ配信は新たな働き口となりました。
ライブ配信は、コミュニケーションスキルが短時間で成果になる希少な職業です。
地方で働き口がなかったり、家庭の都合で時間の制約から仕事を選べないという方もすぐに始めることができます。
突出した専門性がなくても、努力次第ではありますが、生活するのに十分な収入を得ることができます。

ライブ配信は、モノ消費やコト消費から、人と一緒に生み出すトキに参加したいという欲求が生んだ「トキ消費」を加速させました。
トキ消費は非再現性・参加性・貢献性が3要件と言われますが、ライブ配信はトキ消費の特徴が詰まっているんです。

スクリーンショット (58)参照:博報堂WEBマガジン│センタードット モノ、コトに続く潮流、「トキ消費」はどうなっていくのか

もちろんですが、テクノロジーの進化が市場の伸びを促進しています。
4Gと5Gの通信速度の違いは、数字上約20倍。
通信速度が上がるほどコミュニケーションの遅延がなくなるので、心理的にリアルに近い体験ができるようになりました。
オフライン時間の価値が問われる時代だからこそ、ライブ配信はコミュニケーションをどう科学していくかが重要になってきます。

日本でも中国くらいライブ配信が当たり前になるのか?


日本のライブ配信業界について、みなさんはどうお考えになったでしょうか?
ライブ配信事業に新たに参入する会社が次々に生まれ、業界が一丸となって新しい文化をつくり上げている今、私は日本でライブ配信が当たり前になると考えています。
まだライブ配信を見たことがないという方は、実感が湧かないかもしれません。
しかし、ライブ配信がエンタメ以外の側面を持ち、多様なジャンルでライブ配信サービスが生まれていることから、意外な場面や動機で身近になっていくことも想定されます。
生活様式や働き方の変化といった「個」に焦点を当てた文化の普及、オンラインコミュニケーションの浸透やテクノロジーの発展により、好条件は揃いました。
これからどんな進化を遂げていくのか、楽しみです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
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また次々新着記事を書いていきますので、フォローもいただければ幸いです。

次回は、ライバーマネジメントについて書いていきます!

他参照:17Media 上場目論見書、日本貿易振興機構JETRO「中国のライブコマース、2021年に2兆元規模へ」

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