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生きる行脚

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大学3年生(2021年度)を1年間休学して、日本各地の漁師さん・農家さんのところで修行させてもらう旅、「生きる行脚」をしたときの記録。 これを読んでくれた人の心に火が点きますよう…
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2022年4月の記事一覧

魚。生き物をいただいて命をつなぐ。|生きる行脚#4@青森

 ポケットマルシェのアプリを開き、画面右上の水色の (検索) マークをタップする。カテゴリを「魚介類」、生産地を「東北」に設定する。それから「生産者一覧」をタップすると、東北の漁師さんたちが出てくる。場所と生産物を見ながら画面を上から下へとスクロールしていく。  「マグロ」の文字が目に留まった。生産者さんの名前は、野呂英樹さん。自己紹介を見てみると、青森県の深浦町というところで大型定置網という漁法でマグロを獲ったり、サーモンの養殖をされている、ということが分かった。  絶大

ホタテ養殖のインターンから「生き物」を感じ、生きることを考える。|生きる行脚#5@岩手

 「三陸でやってるホタテの養殖は面白そう。」という話を風の便りに聞いて(たぶん秋田の漁師さんが言ってたような気がする…。)、「ホタテかぁ。魚とはまた違った、じっとしてる海の生き物も見てみたいかも。」と思いやって来た、岩手県大船渡市三陸町越喜来。 ホタテの耳吊  僕が行かせていただいたときはちょうど1年の中でもトップクラスに忙しい、「耳吊」という作業を行う繁忙期と重なっていた。  耳吊を簡単に説明すると、稚貝(貝の赤ちゃん)の状態から1年ほどカゴに入れて育てたホタテをカゴから

「ふりだしに戻る」|生きる行脚#6@宮城

キ跡と意気込み  6月11日、この日がやってきた。岩手での修行を終え、新天地を求めて宮城へと旅立つ日だ。だけど、具体的な行き先は決まっていなかった。ポケットマルシェのアプリを使い、2週間以上前から数人の漁師さんに船に乗せていただけるようお願いをしていたがなかなか良い返事をいただけなかったり、返信自体をいただけずに時間だけが過ぎていった。そしてついに、行く先が決まらないまま岩手での修行を終えた。  ポケマルを使ってもうまくいかない、Twitterを使ってもうまくいかない、とい

見えているのは、ほんの一部。|生きる行脚#7@福島

 ここまで福島以外の東北5県に行っていたから、福島の農家さんのところにも行ってみたいな、なんて思いつつポケットマルシェのアプリを開き検索機能でカテゴリーを「米・穀類」、地域を「東北」に設定して検索してみる。  場所を見ながら画面をスクロールしていくと、地元「福島県福島市」の文字。株式会社カトウファームの加藤 絵美さん、という農家さんだった。商品ページを見てみるとお米の他にクラフトビールを作っているらしい、ということが分かり「福島市にお米とビールを作ってる農家さんなんているんだ

行き過ぎた資本主義を感じて、もやもやした話。|生きる行脚#8@日本社会

(※あくまで1つの農場での話で、個人的に感じたり思ったりしたことを綴っているということを心に留めたうえで読んでいただければと思います。)  「大規模」や「機械化」、「最新鋭」といった言葉には、あまり魅力を感じたことがなかった。だけど、自分が好きそうなものばかり見てるとそれしか見えなくなってしまうというか、自分の見る世界が広がらないような気がして、あまり好感を抱いたことはなかったものの、あえて大規模酪農をされている農場さんに実習のお願いをした。  積極的な意味で興味があって行

体の「生きる」と、頭の「生きる」|生きる行脚#9@佐賀

 9月いっぱいで緊急事態宣言が解除されてからどこにも行けず、何もしないまま実家で過ごした。 2週間、畜産農家さんをあたり続けていたもののいい返事がもらえず、行き先が決まらなかった。  このままだと、行き先が決まらないことを盾に家から一歩も出なくなるような気がして、怖くなった。 そこで直感的に 「受け身のまま何かが起きるのを待っててもたぶん何も起きない。今の状況に満足してないんだから、思い切って自分から何かをしてみなくちゃいけない。」 と思った。  だから、行き先が決まらない