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心理学あれこれ

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ジョハリの窓の基礎知識

ジョハリの窓とは、心理学者のジョセフ・ルフト(Joseph Luft)氏とハリントン・インガム(Harrington Ingham)氏の両名によって1955年に考案された概念です。 これは、自己と他者から見た自己の領域を表すものです。 対人関係の進展や自己理解に利用されていて、ビジネスにおいての能力開発にも効果を発揮すると言われています。 ジョハリの窓は、自分自身の特性を「4つの窓」(開放、盲点、秘密、未知)に分類したものです。 「自分による自分の分析結果」と「他人による

ビジネスではコールドリーディングよりもホットリーディングが有効

コールドリーディングとは会話術のひとつで、相手の情報を事前に知らなくても、仕草や話し方、何気ない会話などから相手のことを言い当てることです。 これにより、「あなたよりもあなたのことを理解している」、「あなたを見抜く力がある」など、相手に信じてもらうためのテクニックです。 コールドリーディングの「コールド」とは、事前準備なくとか、即興でという意味です。 何も事前に知らないのに、そのひとのことを言い当て、「この人は私のことを理解している!」と相手に驚きと感動を持ってもらうことで

組織は、些細なものごとに対して、不釣り合いなほど重点を置く

パーキンソンの凡俗法則(Parkinson’s Law of Triviality)をご存知でしょうか。 イギリスの歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(Cyril Northcote Parkinson)が1957年に発表したもので、どんな言葉かというと。。 というものです。 一般的には「凡俗」を省略して、パーキンソンの法則(Parkinson’s law)と呼ばれます。 複雑で理解が難しく、重要な事柄を見過ごす一方で、簡単に理解・把握することができる

「失敗した」という事実を、「経験を積んだ」という言葉に置き換えると、だいたい上手くいく

努力しているのに上手くいかないという悩みを抱える人は多いです。 頑張っているはずなのに思い通りにならなければ、モチベーションが低下することもあるでしょう。 やる気が失われてしまうと新たに頑張る意欲がわかず、負のループに陥る可能性もあります。 しかしながら、考え方を少し変えることによって、失敗しても前に進めるようになれることを知っておくと良いです。 失敗してしまうこと自体が悪いわけではありません。 一般的には成功の確率は失敗の量に比例していくものなので、大きな成功をおさめ

組織のインクルージョンに欠かせないアンコンシャス・バイアス

インクルージョンは現代社会のビジネスシーンにおいて欠かせない概念になりました。すでに米IT企業が相次いで研修を導入しており、日本でもそれに倣う風潮が見られています。 この流れを決定づけたのは、オーケストラのオーディションという事例が認知されたことです。以前のあるオーケストラ団体では、女性の演奏者の数はわずか1割以下しかいませんでした。 こう言われると、男性のほう演奏技術において優れていると思われがちです。 また、女性はあまりオーケストラに向いていないと考える人もいるでし

ファーストチェス理論で即断即決?

ファーストチェス理論とは、直感を信じることを主とするものです。 チェスで、「5秒で考えた打ち手」と「30分で考えた打ち手」では、86% 同じ打ち手であったことから由来しています。 つまり、どれだけ長く思考しても、“最初に思いついた手段”に戻ってくることは、往々にしてあるということです。 この理論は、実証されているものの、Twitter上では、嘘とホント、どちらの観点からも発信しているひとが多いので、見ていると面白いし、勉強になります。 ファーストチェス理論は、すべての

ファーストチェス理論とは

ファーストチェス理論とは、直感を信じることを主とするものです。 チェスで、「5秒で考えた打ち手」と「30分で考えた打ち手」では、86% 同じ打ち手であったことから由来しています。 つまり、どれだけ長く思考しても、“最初に思いついた手段”に戻ってくることは、往々にしてあるということです。 この理論は、実証されているものの、Twitter上では、嘘とホント、どちらの観点からも発信しているひとが多いので、見ていると面白いし、勉強になります。 ファーストチェス理論は、すべての

アサーティブコミュニケーションのためのDESC法とは?

「アサーション」とはコミュニケーションスキルのひとつで、「人は誰でも自分の意思や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己表現のことです。 最近では、企業や学校など、様々な場面でアサーショントレーニングやアサーティブコミュニケーションが行われていて、研修や実践を通して、お互いを尊重しながら率直に自己表現できるようになることを目指しています。 今日、紹介するDESC(デスク)法は、「Describe:描写する」「Explain:説明する」「Specify:提案す

プレゼン資料のクオリティを高めたいならストループ効果を意識すること

ストループ効果とは、「文字の色の情報と文字の意味が持つ情報、それぞれ2つの持つ情報が矛盾している場合に、答えを導き出すまで時間が掛かってしまう現象」のことを指します。 色から読み取れる情報と、意味から読み取れる情報が一致しない場合に、ひとは直感的に情報を理解することができないのです。 この理解するまでに時間がかかってしまう現象をストループ効果といいます。 例えば、「文字の色を答えてください」と言われ、黒色で「黒」と書かれていた場合、すぐに「くろ」と答えられる。 例えば、

ドア・イン・ザ・フェイス (Door in the face)

マーケティングや営業を学んだ方なら何度か聞いたことがあると思います。 断らせてから譲歩するという手法のドア・イン・ザ・フェイス (Door in the face)。 直訳すればドアの前に顔があるという意味ですが、なぜこれが断らせてから譲歩するなのでしょうか? ドア・イン・ザ・フェイスの由来は「shut the door in someone’s face」あるいは「slam the door in someone’s face」という慣用句からきています。どちらも「話す

ダニングクルーガー効果って知ってますか?

ダニングクルーガー効果は、認知バイアスのひとつで、能力の低いひとが実際の評価と自己評価を正しく認識できずに誤った認識で自身を過大評価してしまうという困った現象のことです。 つまり、実際の評価と自己評価とのズレが生じる、または認識に誤りが生じる現象を指します。 これは、米国心理学研究者のダニングとクルーガーにより1990年に発表された考え方で、自己認識が不足している場合、人々は自分自身に対する適切な評価を下せず、コミュニケーションにおける多くの障壁を生むことを仮説として提唱

コミュニケーション能力が高いひとの特徴

20年くらい前、求人誌の募集要項をクライアントからヒアリングして、ライティングするお仕事をしていました。 その時に、よく使っていた(今もよく見かけますが)のが、「コミュニケーション能力が高いひと募集!」です。 当時は、ストレートに書いてしまうと、求人誌の掲載規定にひっかかってしまうので、試行錯誤して表現を工夫して伝えていましたが、今は普通に使えるんですかね? この、「コミュニケーション能力が高いひと」とはどのような特徴があるのでしょうか。 よく、「コミュニケーション能

アファメーションは、集中力維持に効果を発揮する

仕事で少しでも能力を高めるためには、いくつかの方法を実践するのが良いかもしれません。 そのうちのひとつがアファメーションです。 アファメーションとは、呪文のように自分にポジティブな言葉を言い聞かせることです。 例えば、仕事ができないと悩んでいる人ならば、自分は仕事ができる人間だと毎日何回か繰り返すことで、自然と自分の能力を発揮するようになります。 自分の潜在意識が高まり、結果的に仕事の出来が上昇すると言うわけです。これは仕事に限らずスポーツ選手などでも行っており、有名

マインドフルネスと心理的柔軟性

日本でもマインドフルネスが広く普及していますが、最近ではACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という心理療法が注目を集めています。 アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:Acceptance and Commitment Therapy)とは、マインドフルネスの考え方をベースに「心理的柔軟性」(Psychological flexibility)を生み出すことで「心の健康」を維持・回復させる療法のことです。 「Acceptance and Commi