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【最新版】最近話題の宇宙産業についてまとめてみました!どんな事業があるの?宇宙産業はこれからどうなるの?

こんにちは!PreVenture編集部です!

今回のテーマは「宇宙産業」!最近、宇宙に関するビジネスニュースが増えています。小型人口衛星のエンジンを本来の価格の3分の1で開発したIHI、3000基の衛星打ち上げを予定するAmazon、約1万基を超える衛星の打ち上げ予定のスペースX。アメリカ、中国など世界中の大手企業やベンチャー企業が宇宙ビジネスに進出、多額の投資を実施するなど、これまで以上に熱い盛り上がりを見せています。
 そんな宇宙産業ですが、詳しく理解している方は多くはないのではないでしょうか。そこで今回は宇宙産業の事業内容や、今後の展開についてまとめてみました。

宇宙産業とは

まずは宇宙産業の定義について確認していきます。

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宇宙産業の定義

宇宙産業というと「ロケット」や「はやぶさ2」は知っているけれど、実際にどのようなビジネスで成り立っているかはあまり知られていません。

ロケットのイメージが強い宇宙産業の市場規模約38兆円です。しかし、そのうちロケットの製造・打ち上げ企業が占める割合はわずか1.34%です。また、宇宙産業は国が主体的に進めているもので、人々の生活にはあまり関係ないと思われているかもしれませんが、宇宙産業全体に占める国の予算は約1/4程度で半分もありません。

宇宙産業が我々にはあまり馴染みのないものであると思われているのは、あまりに私たちの生活に馴染み過ぎていて、その恩恵に気づきにくいサービスが宇宙産業の大部分を占めています。ロケット以外にも衛星のデータを活用して地上でのサービスを向上させることなど様々な分野が宇宙産業には含まれています。

国際的に宇宙産業が活性化している要因

最近になって宇宙産業は特に熱い盛り上がりを見せています。ではなぜこんなにも宇宙産業は活性化しているのでしょうか。

宇宙産業はこれまで「官需」が大きく占めていましたが、民間の宇宙関連ビジネスは今まさに黎明期にあります。小型衛星による宇宙からのセンシングなどの利用需要の増加と、そのための小型ロケットの打ち上げコストが下がっていることが両輪となっているのです。数年前と比べると、有人ロケットを宇宙に発射することが民間企業でも成功できるようになり、宇宙がより身近になってきています。

このようなことが重なって、今の宇宙産業は活性化していると考えられます。

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宇宙産業の分野・領域

では、宇宙産業はどのような分野に分かれているのでしょうか?明確な基準はありませんが宇宙産業は大きく分けて「宇宙製造・インフラ」「宇宙利用」「宇宙探査」の3つで構成されています。

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①製造・インフラ

製造分野でははロケット、人工衛星、地上局などの製造を行います。特に最近投資が盛んなのが、小型ロケットや小型衛星などを製造する分野です。小型ロケットや小型衛星の開発企業が、続々と投資金額を獲得し計画が進んでいます。

また、打ち上げ後、衛星のデータを利用につなげるためのシステムを開発する企業も現れています。ここを支えるのが、主にインフラ分野です。

宇宙インフラは、地上のインフラと同様に、世界中の人々が利用するサービスの目に見えないバックボーンとなっています。地上のインフラと同様、宇宙インフラも利便性やサービス、国家安全保障・防衛のために今後ますます重要になってくる分野です。

データを利用しやすいようにプラットフォームを整備したり、画像を解析して利用者に提供する事業者も宇宙業界の中での存在感が強くなってきています。

②宇宙利用

宇宙利用は人工衛星の利用宇宙空間の利用の2つに分類されます。人工衛星の利用とは位置情報や気候変動などを調べるときに使う人工衛星のことを言います。

人工衛星を使い位置情報を調べるシステムは測位衛星システム(GNSS)として、アメリカのGPSほかに、ロシアのGLONASS、ヨーロッパのGalileo、中国のBeiDou(北斗)、インドのIRNSSなど、各国でインフラとして整備が進んでいます。日本でも現在、準天頂衛星「みちびき」を4機まで打ち上げ、独自の衛星測位サービスが始まっており、2023年度に7機体制になる予定です。

車の自動走行や測量など多くの分野での応用の可能性を秘めており、国内外でビジネス参入が期待されている分野です。
このときの人工衛星は、地球上のサービスの向上などを目的に使われています。

宇宙空間の利用はその名の通り、地球にない環境の下でモノを作ることを表しています。例えば、雲や天候に影響されない太陽光発電のような地球上ではありえない環境でエネルギーの蓄積を行うことなどがあげられます。

航空機や最近はドローンなどを使って遠隔操作で対象を調べる技術を、人工衛星を使って行うことで、より広範囲に地上だけでなく、海洋や大気など多くの現象を調べることができます。地球環境のメカニズムの解明を主な役割として利用されていますが、徐々に衛星データの解析からわかるデータが多くの分野へ活用され始めています。

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③宇宙探査

この分野は人類が宇宙へ進出することを目的とする分野です。
主に人類がロケットなどに乗車して宇宙探査を行う「有人宇宙探査」と人間の存在を必要としない探査機のみが宇宙へ行く「無人宇宙探査」の2種類に分かれます。

この分野は、他の製造・インフラや宇宙利用とは異なり、地球上のサービスを向上させることが目的ではなく、宇宙空間へ活動範囲を広げることを目的としている宇宙ビジネスの分野となります。

「宇宙利用」で紹介したのは地球へのサービスですが、こちらは人類が宇宙空間へ活動エリアを拡げていくためのビジネスになります。
したがって、今すぐにビジネスとして成立するものではありませんが、これまで国家機関だけが担い手であった「宇宙探査」の分野にも民間企業が参入し投資が集まっています。

宇宙産業の現状と課題

ここからは宇宙産業の現状と課題について解説します。


宇宙産業の現状

宇宙産業は世界的な成長事業です。宇宙産業の市場規模は全世界で約37兆円(約3290億米ドル)と言われ、2010年以降、年間5%の成長を続けています。その中でも宇宙に飛び出すための機器製造よりも、「衛星をどのように活用するか」といったサービスである衛生活用の面が強くなっています。

宇宙産業の課題

一見伸び代しかないように感じられる宇宙産業ですが、課題としてどのようなことがあげられるのでしょうか。日本の宇宙産業は「政府依存」「企業の投資が不十分」「競争力の欠如」という課題が三つ存在しています。この三点が複合要因となって負の連鎖を起こしてしまっているという課題があります。
このうち二つ「政府依存」と「企業の投資が不十分」という課題は日本政府と米国政府との意識の違いから生まれるものなのかもしれません。
米国政府は民間活用について、米国政府が要求する一定基準を満たし、米国政府にとって有益となるのであれば、それが例え、実績のないベンチャー企業であっても問題ないと認め、宇宙開発に手をつけることを許しています。これとは対照的に、日本は「国民の税金を使うため、可能な限り失敗を避ける」という意識があるため、同じ事業をするにしてもどうしても慎重になってしまい、「過去の実績」や「会社の規模」がまず考慮されるでしょう。
公共事業において可能な限り失敗は避け、無駄な税金を使わないという考え方は重要です。ただし、産業振興においては、失敗を許容し、前進していく意識がなければ、民間の活力が停滞してしまうことも忘れてはならないでしょう。

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民間企業の役割と宇宙産業の今後の可能性


今後、IoT化、AI(人工知能)や機械学習によるビッグデータ解析技術の高度化、クラウド化といったデジタル技術の革新により、衛星を活用する用途が今後ますます拡大するものと予想されています。

宇宙産業を新産業と位置づけ、あらゆる可能性を秘めていることを前提に、民間企業側から積極的に宇宙産業へ参画することも必要となるでしょう。実際に、イーロン・マスクのSpaceXが掲げる「2025年有人火星飛行・移住計画」や、ジェフ・ベゾスのBlueOriginが掲げる「数百万人が宇宙で暮らし、働く世界を作る」が実現するならば、大規模な産業が創出されることは間違いありません。

この「新時代」に向け、政府依存を脱却していくためにも民間企業の宇宙産業参入は必要不可欠です。そこで最後にすでに宇宙産業に足を踏み入れている、日本の宇宙産業ベンチャーを見ていきましょう。

日本の宇宙産業ベンチャー

先ほど、企業の投資が不十分とは言いましたが、宇宙ベンチャーへの投資金額は年々増加傾向にあり、VC、CVC、エンジェル投資家、政府系など、さまざまな方が宇宙ベンチャーに投資しています。投資観点でいうとコケたら大損だけど当たれば大きい、宇宙ベンチャーは成功すればホームラン案件なので、そういう対象として投資する方が増えています。

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もう1つの特徴として、宇宙技術そのものの意義を重視した動きが加速しています。たとえば、人工衛星で地球をモニタリングすることによって得られる環境データは、社会課題の解決に直結します。「SDGsのほぼすべてが、宇宙技術が解決できる、もしくは貢献できる分野である」ということで、すでに上場企業の何社かはSDGsやESGの観点で宇宙ベンチャーに投資しています。

Ispace(アイスペース)

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Ispaceは、2040年代には月にムーンバレーという人が住めるような拠点を作るべく、まずは月と地球の物資輸送サービスから始めようとしている会社です。これまでの累計資金調達額は約140億円で、月で水資源の探査などを行うためのローバーを月面に届けるべく、いま2機のランダー(月面着陸船)を開発中です。
日本航空(JAL)は航空機整備ノウハウを生かしてispaceのランダー組み立てを支援しています。
また、月に人が住みはじめると月面上や月と地球の間でも通信インフラが必要になりますが、KDDIと資本業務提携を結んで、通信システムの共同開発を行っています。

Axelspace(アクセルスペース)

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Axelspaceはすでに9つもの小型衛星打ち上げに成功している企業です。9機の小型衛星打ち上げに成功している企業は国内では他にありません。アクセルスペースは日本で最も先頭を走っている宇宙ベンチャーといえます。つい最近も、シリーズCラウンドで25.8億円の資金調達を完了したばかりで、2023年には10機体制で地球観測を行うという構想に向けて、着々と進んでいます。日本の宇宙ベンチャーで唯一、実証段階から社会実装段階に移行している企業です。 
世界を毎日撮影して膨大なデータを蓄積し、地図、気象、自動車、物流、農業、林業など、ありとあらゆる業界の方々のニーズに応じて抽出、解析することで、さまざまなビジネスインサイトを提供するアクセルスペースは、宇宙ビッグデータ産業の潮流に乗ったビジネスを展開している企業として注目です。

Astrocale(アストロスケール)

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Astrocaleは自動車が壊れたときにレッカー車でお助けに行くみたいな“宇宙版のJAF”を目指している会社で、地上でいうCO2排出を減らそうという観点とよく似た、「すでにあるスペースデブリ、宇宙ゴミを捕まえて減らしましょう」ということを掲げています。
社会的に大きな意義があるので、将来を見据えてESG的に出資している投資家の方々がいらっしゃる、非常に面白い事例です。すでにシリーズEで累計資金調達額は210億円に達しています。
ビジネスの進捗としては、3月にスペースデブリ除去技術実証衛星の打ち上げに成功して、これから技術実証をいろいろ進めていくフェーズなので、サービスインはもう少し先になりますが、宇宙ゴミの回収ビジネスの先には、衛星への燃料補充や部品交換といったサービスの提供も大きなターゲット市場になってきます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は宇宙産業についてまとめてみました。宇宙産業が活性化しているのも、データ活用の需要が伸びていることに起因しています。小型衛星からのデータを回収することで、交通状況・天候・農業など様々なことに活用できます。そして、そのデータの収集・活用に関するサプライチェーンに多くのベンチャー企業・スタートアップ企業が参入しています。このように、宇宙産業は多くの可能性を秘めています。

最後に。。。

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