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【必見】プライバシーテックについて!あいつぐ個人情報保護問題。データの適切な活用と保護における対策として注目されています。

こんにちは!PreVenture編集部です!

今回のキーワードは「プライバシーテック」です。2022年4月施行の改正個人情報保護法や、EU の一般データ保護規則(GDPR)などパーソナルデータ保護に関する法規制を背景に、安心・安全なデータ活用に注目が集まっています。その結果、生活者のプライバシーに配慮した形で安全なパーソナルデータ活用を行うことができる技術「プライバシーテック」 の市場が拡大しています。

今回の記事ではこのプライバシーテックに関して迫っていきます!

プライバシー

プライバシーとは、「個人の秘密を他者に侵害されない権利」および「個人が自身の情報をコントロールする権利」を指す言葉です。

プライバシーによって守られるべき情報は、個人を特定できるかだけではありません。私的な内容を書いたメッセージを誰かに送るとき、そのテキストはプライバシーにより守られるべき情報だと判断できます。いわゆる「個人情報に該当しないもの」の中にも、守られるべきプライバシーは存在するのです。

プライバシーの権利は一概に個人の情報に限られないと言うことはしっかりと理解しておく必要がありそうですね。

プライバシーテックとは


プライバシーテックとは、個人のプライバシーを保護するためのテクノロジーです。

私たちの生活は、個人データを活用した便利なサービスの普及により大きく変わりました。しかし、同時に個人データの取り扱いについての懸念も高まっています。特に近年の日本では、個人データのプライバシー保護に関する意識が以前に比べて高まったと言われています。

デジタル社会においてプライバシーの保護は不可欠な要素です。私たちが安心して情報を利用するためには、個人データの適切な活用と、個人情報の保護が重要です。

プライバシー保護のツール

プライバシーテックは、企業が個人データを活用する際にプライバシーを保護するための技術ツールを提供します。これにより、企業は顧客の信頼・ブランド力を築き、競争力を高めることができます。

プライバシーテックは、個人データの匿名化暗号化、データセキュリティの向上などを通じて、個人情報の保護とプライバシーの尊重を実現します。そのため、企業や個人はプライバシーテックに注目し、適切なデータ活用と個人情報の保護を両立させることが求められています。プライバシーテックの進化は、私たちのデジタルな未来において個人のプライバシーを守る重要な役割を果たすのです。

資金調達事例

プレイバシーテックが盛り上がっていることを紹介してきましたが、本当にそれってただしいんでしょうか?ここではその正当性を確認すべく、近年の資金調達事例を紹介します。

Acompany社が博報堂と業務提携を締結

2022年12月20日、株式会社博報堂DYホールディングスと、生活者のプライバシーに配慮したデータ活用技術プライバシーテックのサービス提供・開発を行う株式会社 Acompanyは、プライバシーテック領域における業務提携を発表しました。
今回の業務提携では自社データを安全にマーケティングに活用したい企業に対して、データそのものを外部に提供することなく“次世代の安心・安全なデータ活用”を可能にするプライバシーテックを用いたデータマーケティングサービスの提供を共同で進めていくと発表しています。

https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/assets/uploads/202212201000.pdf

JMDCとLayerX、医療データのプライバシーに関する共同研究を開始

医療ビッグデータ業界のパイオニアで8億1,000万件以上のレセプトデータと3,700万件以上の健診データ(2022年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開している株式会社JMDCと、プライバシー保護技術「Anonify」で組織横断のデータ利活用を目指すPrivacyTech事業などを開発・運営している株式会社LayerXは共同研究を発表しました。
今回の共同研究では、LayerXが有する「プライバシー保護データマイニング技術」により、プライバシー保護における説明の妥当性を、より数学的にプロセスの妥当性が説明可能なものへと高めていくことを目指していくとのことです。


Priv Tech が5,550万円の資金調達を実施

2022年9月13日、プライバシーテック領域をリードするPriv Tech株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:中道 大輔、以下Priv Tech)は、エンジェル投資家等を引受先とした第三者割当増資を実施し、5,550万円の資金調達を実施したと発表しました。
2022年からインターネットをビジネスに取り入れる全ての企業にとって、パーソナルデータの活用とプライバシーの保護の両立が強く求められるようになってきています。そんな中でPriv Techは事業拡大を狙っています。

プライバシーテックが必要な背景


では、近年ここまでプライバシーテックが重宝されている原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではプライバシーテックが必要とされている背景や、実際にプライバシー保護が問題しされた事例をご紹介します。

名だたる企業が個人情報関連で炎上。

近年、リクナビやLINE、Yahooやベネッセなど、名だたる大企業での「炎上事件」が多発し、企業や経営者に責任が問われることが増えています。

リクルート

リクルート
就活サービス「リクナビ」において「本人の同意なしに内定辞退率をリクナビ掲載企業に提供したこと」が発覚し一部で報道される。リクルート社が個人情報保護委員会より指導を受ける
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/190826_houdou.pdf
リクルートの対応
https://www.recruit.co.jp/r-dmpf/01/

LINE

中国企業から個人データを必要以上に閲覧可能にしていたこと」が発覚、問題となる。
LINE社による対応
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3675

yahoo japan

yahoo japan
登録情報システムの不具合により、自身のyahoo ! Japan IDが他のIDと書きかえられている可能性があることを発表。最大約39万件の個人情報が流出したと報道され問題となる。
Yahoo japan社による対応
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2020/08/06b/

ベネッセ コーポレーション

ベネッセ コーポレーション
個人情報が社外に漏洩していることが発覚。顧客情報流出事件として報道された。
ベネッセ コーポレーションによる対応
https://www.benesse.co.jp/customer/bcinfo/01.html
この事件は裁判となり、被害に遭った顧客ら約5700人が同社や関連会社に1人あたり5万5千円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が2023年2月27日に下された。判決が出るまでに、9年もかかり、総額1300万円の損害賠償を命じられる結果となった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE242UP0U3A220C2000000/

このように、データを扱う企業は、データの流出や悪用されるリスクを背負っています。企業側が意図していなくても、データの保護に不備があると、それらに対する対応策への投資にコストが掛かり、ブランドの低下などによる損失などが発生してしまいます。

ベネッセの事件に関しては、経緯は派遣社員による、個人情報の持ち出しでした。委託業者の下にさらに下請け企業が存在し、個人情報が流出してしまいました。裁判では、委託先の関連会社のセキュリティー対策が適切か確認していなかったなどとして、ベネッセ側に監督義務違反があったと指摘されています。

企業の規模感が大きく膨大な数のデータを持っている企業ほど発覚した時のリスクが高くなっています。個人情報をしっかりと保護していくためにも、プライバシー保護への投資が必須となっています。

個人情報保護法改正が繰り返されている

2022年4月1日、個人情報保護法が改正されました。改正法は個人の権利利益を重要視した内容に見直されました。個人情報保護法は過去に何度も改変されており、今後も回生がされると考えられています。特に、今後の日本ではプライバシーデザインに関わる規制強化が予測されています。

個人情報保護法が繰り返される原因として、株式会社野村総合研究所のレポートでは以下の理由が挙げられています。

  1. パーソナルデータの管理やリスク評価が十分に実施していないのにデータを活用し、炎上してしまうケースが多くあるため

  2. 2012年のGDPR草案を契機にグローバルでプライバシーの法規制の強化が進むため

  3. グローバルに法規制の強化が進んでいるから。

これらのことを根拠に、個人情報保護法の回生はどんどん進んでいくことでしょう。

個人が企業を監視する時代に

SNSの発展により、個人が企業を監視する時代が到来しました。今や企業の不祥事はインターネットを通じて瞬く間に広がっていきます。これは言い換えると企業に関わらず個人も他人に監視されていると言えます。各人、各企業がプライバシーをより厳格に守っていく必要があるのではないかと考えられています。

プライバシーガバナンスの時代
ー法改正とGAFA規制に向けたプライバシー投資のあり方ー
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/mediaforum/2022/forum338.pdf?la=ja-JP&hash=3C2C0B83004EFDBBC63F4650EE36D6F92B18966C

小林慎太郎
株式会社野村総合研究所

プライバシーテックの現在地

ここまで、個人情報保護の取り扱いについて、各企業で対策が求められていることについて確認しました。

ここでプライバシーテックの現在地について確認します。国内市場、グローバル市場でプライバシーテックはどのような立ち位置にあるのでしょうか。

日本の様子

日本のプライバシーテック市場の市場規模は2027年で1073億円に上ると予想されています。これは2022年比の3倍以上の数値になると予想されていて、今後注目が集まることは間違いないと考えられます。

日本では度重なる法改正、プライバシー保護規制を意識した個人データ活用策の検討が行政・民間共に始まっています。今後押し寄せるプライバシーテックの波になんとしても乗ろうという行政・民間の態度が感じ取れます。

海外の様子

海外のプライバシーテック市場も同様にかなりの急成長を見せています。Fortune Business Insightsの調査によるとUSのプライバシーソフトウェア市場は2022年の時点でおよそ3150億円の規模があり2029年にはおよそ3.46兆円にまで成長する見込みがあります。年平均成長率(CAGR)は40.8%と驚異的な成長が予想されており、非常に期待できる市場となっています。

海外ではユニコーン企業も出現


ここで、プライバシーテック領域の海外発ユニコーン企業を紹介します!

LiveRamp社

LiveRamp社は企業におけるデータ活用を安全で容易なものにすることをめざし、マーケティングから法務まで幅広いサポートを提供しています。データ接続を安全かつ効果的に接続できるプラットフォームを構築しており、日本市場にも進出しています。

2023年5月22日時点の時価総額は約18億円となっています。


OneTrust社

トラストインテリジェンス及びプライバシーソフトウェアの提供を行っているOneTrust社は時価総額50億円となっています。同社のサービスは同意を管理するプラットフォームです。OneTrust社は、プライバシーテック領域を牽引する世界的なリーディングカンパニーです。

日本国内の、コンサル企業とパートナーシップを結びながらサービスの導入を進めています。

このように、すでに時価総額が10億円を超えるユニコーン企業も誕生しています。この規模でも市場を席巻している企業はなく、新規のプレイヤーでも十分に勝ちに行ける市場であることが特徴です。

今後の注目ポイント

これからのプライバシーテック領域はどこに注目すればよいのでしょうか。

適切なデータ活用と適切なデータ保護

現在の世界ではGAFAが大量の情報を収集し、それぞれの企業が大量の情報を集め今後のビジネス・プロダクト開発に利用しようとしています。

実際にWebサービスのデータはほとんどGoogleに集約されており、今後もデータの集中は進むでしょう。メール、ウェアラブル端末、スマートホームなどをはじめとしてIoTデータの蓄積を着実に進めており、これに対してGAFAに規制が入り始めています。各国の企業は消費者から信頼を獲得してGAFAからデータを取り戻すためのリアクションが求められることになります。

前述の通り、プライバシーテックは今後確実に市場規模を広げていく業界となっています。日本では今後の法改正に注目しつつ、米ユニコーン企業とスタートアップの競争にも目を向けていくのがいいのかもしれません。日本市場、海外市場ともに目を向けていきましょう。

国内スタートアップ企業

最後に国内のスタートアップ企業を紹介します。

株式会社Acompany

株式会社Acompanyはプライバシー保護とデータ活用を両立させると言うミッションのもと、プライバシーテックサービス「AutoPrivacy」の開発・提供、コンサルティング事業を行う企業です。後述する株式会社LayerX、EAGLYS株式会社とともに、プライバシーテック教会を設立した企業で、現代の日本のプライバシーテック業界を牽引する企業となっています。


株式会社LayerX

株式会社LayerXは請求書処理、経費精算、稟議申請、法人カードなどの支出管理をなめらかに一本化するサービスである「バクラク」を運営している企業です。この企業は第3事業として「差分プライバシー」や「合成データ」、「秘密計算」といったプライバシーテック領域の先端技術を土台に、LayerXが独自で開発した複数のアルゴリズムを集約したサービスであるAnonifyを開発しています。

https://layerx.co.jp/news/pr210617a


まとめ

いかがだったでしょうか?今回はプライバシーテックについて注目してみました。資金調達の事例からもわかる通り今後の市場規模は確実に拡大していきます。日本の法改正、GAFAの動きなど、国内海外どちらにも広く目を向ける必要があるのかもしれません。

最後に。。。

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