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新規事業を立ち上げるために必要な5つの基本スキル

新規事業は想いや気持ちだけでは立ち上げることはできません。

最低限必要なスキルや技術というものがありますが、会社では通常業務に追われてそのような技術は教えてもらえません。

また、最近は新規事業を立ち上げた経験がある人材が社内でいなくなってしまっていて、教えたくても教えられないということも起きています。

私は、MBA取得後に某大手コンサルティング会社で戦略コンサルタントをしていたましたが、その時にコンサルとして最低でも習得すべき5つの基礎スキルを叩き込まれましたが、いま振り返ってみると、実はこの5つのスキルは、新規事業を立ち上げるときに非常に役に立ったと思っています。

新規事業だけに限ったスキルではないので、幅広く応用もできるはずですので、ここで紹介します。

1.情報収集スキル

情報収集スキルは、必要な情報をいろいろな手法でいろいろな媒体から入手するスキルのことです。

インターネットが普及した今では、Googleなどの検索エンジンで情報収集することが多いと思いますが、当然すべての情報がネットに乗っているわけではありません。

著作権の関係で、書籍化された情報はネットで探すには難しいので、国会図書館などを活用したりすると結構時間がかかってしまいます。

また、必要な情報がどこに転がっているかを探すこと自体に時間がかかってしまうこともよくある話です。

またネットに頼りすぎると、どの情報が正しい情報なのか?信頼できる情報なのか?混乱したりして、情報におぼれてしまうこともあります。

こんなときは、ネットで探すことがむしろ逆効果になっているといえるでしょう。そんな時は、専門の調査会社にお願いしたほうが効率がいい場合も多いものです。または、近くの専門家に直接聞くなどして情報を集めることのほうが、結果的に時間を短縮できることも多いと思います。

情報収集スキルは、ネット検索のスキルだけではなく、どこに知りたい情報が転がっているかを知っていること、業者をつかって探す能力、人的ネットワークなどの総合力といえます。

2.ファシリテーション・スキル

ファシリテーション・スキルとは、会議を進行させるスキルのことですが、中でもさまざまな意見を引き出して議論を活性化させる技術のことです。

基本的には、議事進行をする司会とは別物と考えてください。

このスキルはブレーンストーミング(ブレスト)などの、人数をあつめてアイデアを出すための会議などでつかわれる技術です。

ひとりでうなってアイデアをだすよりも、多くの人の意見を聞いていろんな視点でアイデアを集めたほうが、よりよいものができるという発想のもと、うまく会議を進行して会議を活性化させることができるスキルなのです。

たとえば、アイデアを発散させるために発言していない人に意見を出してもらうように促すとか、わかりにくいアイデアを一言で要約してみるとか、ほかの業界の事例やケーススタディを紹介してみるとかがあります。

そのためには、ホワイトボードをうまく使って進めることも重要です。

ファシリテーターとして誰よりも先にホワイトボードの前にたつことが求められます。そしてもっとも重要なのが、どんな発言でも批判や否定をしてはいけないということです。

どんなに突飛なアイデアでも真剣に受け止めて、前向きに検討することで斬新なアイデアを促すことにつながるのです。

よくある失敗は、会議を強引にまとめようとしてしまうことです。ファシリテーションが求められような会議では、あくまでもアイデアをたくさん出すことがゴールなので、まとめることは必要ではありません。

3.論理思考、ロジカル・シンキング

論理思考はロジカル・シンキングとも呼ばれますが、物事を論理的に考えて構造的な問題点を発見したり、結論と原因の相関関係をひも解く技術です。

論理思考を身につけるメリットはたくさんあります。

ビジネス上の課題発見がそれです。たとばこのスキルを身につけることによって、うまくいっていない業務において情報や部品の流れなどの物事の前後関係を論理的に分解していくことで、問題点(ボトルネック)を見つけることができるようになります。

他にも、あるビジネス・モデルが他に応用しても同じように有効であることを突き止めることができるようになれれば、ある程度将来を予測することもできるようになってきます。

そのためには、そのビジネスモデルを分解して、自分の業界に当てはめるような論理的な構造に置き換えることができるスキルが必要になってきます。一般に「抽象化」ともいわれますが、これは典型的な論理的思考の技術なのです。

ただし、よくある話なのですが、論理思考がこのようにとても便利なスキルなので、なんでも論理的に考えればいいと考えになってしまう人がでてくることがあります。

しかしこのような姿勢は、逆に言えば論理的な正しさや確実な事実が集まるまで決断しないということになってしまいかねません。

そうすると、逡巡しているうちに、競合に先を越されてしまうということになってしまいかねません。というわけで、事実と理屈を重視しすぎる間違った考えはにならないように、気を付けなければなりません。

4.ドキュメンテーション・スキル

ドキュメンテーション・スキルは、アイデアをビジュアル的にわかりやすく表現したり、効果的にアピールして読者を惹きつける資料化技術のことです。

ビジュアル的に表現できるスキルは、なにもパワーポイントをつかうスキルや図表を素早くつくることができるスキルには限りません。

スライドの順番や効果的なメッセージを表現する力なども関係してきます。よく1つのスライドに1つのメッセージだけ書くようにするといわれているのは、このスキルのことです。

素人が作成すると、言いたいことがありすぎて、どうしても盛り込みすぎの資料になってしまいがちです。

しかし聞き手は、短時間で理解できる容量には限りがあります。したがって、メッセージを効果的にしかも理解しやすく、矛盾なく表現する能力が求められるのです。

そこにはコピーライターとしてのスキルも少なからず関係してくるはずです。図表も同様です。一目見て論理的なモレやダブりがないとわかるにはフレームワークを使うことも大切です。

したがって、ひととおりのフレームワークを理解して使えるようになっておく必要もあるのです。

5.プレゼンテーション・スキル

プレゼンテーション・スキルは、聞き手に自分の主張をわかりやすく伝えて、説得したり納得してもらい合意をひきだす技術のことです。

人前で発表するのが苦手な人もいると思います。私もそうでしたが、苦手意識は繰り返し練習することで劇的に改善することができます。

プレゼンテーションのゴールは、聞き手に自分のアイデアに納得してもらうことです。

そのため、資料の出来不出来はあまり関係ありません。それよりも、場の空気をいい方向に誘導するスキルが求められます。

もともと素養があればいいのですが、たいくつな発表だと思われてしまうと、たとえ資料が論理的に完璧でも却下されてしまいます。

そのため基本的なスキルとして、発表の反復練習、発表する姿勢や言葉遣い、レトリック(言葉での表現方法)、エビデンスの準備などはしっかりやっておきましょう。

それでもどうしても聞き手との相性が悪い場合があります。そんなときには、たとえば聞き手によって相性の良い発表者に代わってもらうとか、聞き手の中に一人サクラを入れておいてプレゼンが終わったらそのサクラに意見を求めたりして、プレゼン全体を有利なほうに持っていくなどの準備工作もときには必要になってきます。

プレゼンの出来不出来が、資料の出来不出来や発表者の相性に左右されてはいけません。プレゼンテーションの最後のゴールは、合意をしてもらうことであるべきだからです。

まとめ

これらの技術はそれぞれ単独で力を発揮するわけではありません。かならず、それぞれが何らかの形で相互に依存しています。

たとえば、ドキュメンテーション・スキルは論理的思考がしっかり身についていないと能力を十分発揮できません。

図表を作成する能力にはもれダブりなく論理的に考える力が必要ですし、人前で会議を進めるファシリテーション・スキルが高い人ほど、聞き手を説得するプレゼンテーション・スキルが高いものです。

新規事業を立ち上げるには、まず仮説に基づいて情報を集めながら、一方ではブレストなどをうまくつかって効果的に周りからアイデアを引き出しつつ、論理的にアイデアの精度を高めて効果的な資料にまとめ上げて、最終的には魅力的にプレゼンして新規事業の承認を得なければなりません。

このようにこれらの5つのスキルを向上しながら、自分のやりたいことを事業という形にすることができれば、イントラプレナーとしてとりあえずは及第点なのではないでしょうか?

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