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2005年映画『雨よりせつなく』感想

2005年映画『雨よりせつなく』(当摩寿史監督)観賞。
主演はモデルの田波涼子さんと西島秀俊さん。悲しい過去を持つ倉沢と恋人の綾美。同じ広告代理店に勤める二人がとあるきっかけで近づき、淡く恋に落ちて行く。大人なのに初めて恋をするような二人。ある日、綾美は倉沢の過去の恋人の話を聞き、それが今でも忘れられないものと知って別れてしまう。

事故で恋人を亡くしていた倉沢は、ラジコンの飛行機を海で飛ばすところを恋人に見せたかった。しかし恋人の死によって見せられないまま終わってしまった。その夢を綾美が果たした。それでいいのに。その後、綾美は別れを選んでしまった。どうしてだろう。倉沢はここまで打ち明けてくれたのに。悲しい過去は忘れなくていいはずなのに、と私は思った。あのまま別れたことで綾美は倉沢を過去の中に置き去りにしたと思えてしまった。
過去の恋人ごと倉沢を愛することはできなかったのだろうか。そんなに脆い恋だったのだろうか。
映像は静かだ。けれどどこか綺麗ごとに思える。現実で仕事をバリバリこなす女性であるはずの綾美なのに恋人の想いは受け入れられなかった。もどかしかった。しかし、この作品が作られたのは2005年なので今とかなり価値観に差はあったと思う。作品としては美しいがタイトルのように「せつない」のではなく、新たな関係を作る勇気を出せずに終えた風に揺れるラジコンの飛行機のようにふわふわした恋愛だったのだろう。私が年を重ね過ぎているせいかもしれない。

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