pratique

社会学専攻。研究にかんする雑感や研究生活の諸々の記録が主。

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最近の記事

「人と人との差異」は本当に自分の研究のモチベーションになる不動点で、数年前は「差異に驚かないこと」が目標だった。今は、わざわざ他人に押し付けたりすることと考えを表明することは違うという思いから、「そっとしておくこと」と「思考すること」の間で両者の功罪を考えている。

    • 院試の感想・反省

       8/3の一次試験、8/5の二次試験とで院試が一通り終わったので反省点をつらつら書いていこうと思う。試験前の準備、筆記試験、口頭諮問それぞれについて書くことがある。

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      • セックスワークの倫理

         「倫理」というのは、ここでは日常語におけるそれ、つまり「倫理観」や「道徳」といった語感の示すところのものではない。ここでいう倫理とは、実践を形成するハビトゥスであり、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』というときの「倫理」であり、ある種の態度や姿勢、生き方の指針、エートスのことだ。  もっと定義しよう。僕らは誰しも、生きていくうえで何らかの軸を持っている。中学受験をして、いい高校、いい大学に入って、いい企業に就職する人は、将来設計を稼得能力に大きく依拠しているだ

        • 社会学の語法

           唐突だが、「制度」という言葉の意味を考えてほしい。「制度」とは、日常語では「政治制度」とか「法制度」というように、社会の中で主に公的機関などによって確立された、特定の機能を担っているシステムの総体を指す。したがって、私たちが通常「制度」と言ったときには、それが十分な根拠に基づいて設立されたもので、状態も安定しており、基本的には持続的なものとみなされている。  しかし、社会学の術語としてそれを使うときにはこの限りではない。むしろ、社会学において「制度」とは、特定の社会内で歴

        「人と人との差異」は本当に自分の研究のモチベーションになる不動点で、数年前は「差異に驚かないこと」が目標だった。今は、わざわざ他人に押し付けたりすることと考えを表明することは違うという思いから、「そっとしておくこと」と「思考すること」の間で両者の功罪を考えている。

          勉強=努力の続け方

          学びの習慣仮説というのがあった。その詳細はさておき、生涯にわたって勉強を続けている人の方が、実り豊かな生になるだろうというのが僕の生きていくうえでの中心的なスタンスだ。この場合の勉強はもちろん学校的な勉強に限らずもっと一般的な勉強の話。仕事の勉強、人間関係の勉強、趣味の勉強……などなど。でも、どうもそれをうまく続けられる人と続けられない人がいるようだということに高校くらいから気づき始めた。僕が構造的な見方を割と強く持っているので、こう言うとどうしようもない話といえばどうしよう

          勉強=努力の続け方

          勉強を続けること

          ‪今振り返れば、自分は昔から欲や理想があまり冷却されることがないなと思っていた。それにはまず諦めが悪い性だったことがある。何でも自分なりに努力してなんとかしてしようとしてきたし、その努力がだいたい叶ってきたからだと思う。大学受験にしても、同じ大学の他の学生よりは社会経済的に不利な境遇にあったなかで工夫を凝らして一定の成功を収めたことは、条件の違いだけから言ってもその努力を評価したい。人間関係にしても、幼少期からこだわりと異質性が目立っていたなかで苦しい思いもして、恋愛や親密な

          勉強を続けること

          欲について

          欲というのは不思議なもので、満たしたいと思っているその瞬間に、とても重厚感がある。欲を満たす前、ただその欲を満たすことを考えている時間は、欲を実際に満たせているわけでも満たし終えたわけでもない。満たせた方が幸せのはずである。にもかかわらず、満たした後にはなぜか満たす前に思っていたほどには満たされなかった、ということがある。決して満たされなかったわけではない。ただ、欲を満たす前には、欲を満たすときの感懐の子細がフラットに把握できないのかもしれない。その意味では満たした後も同じで

          欲について

          話がしたい、というときに

          時に、純粋に「話がしたい」と思うことがある。ご飯を食べながらお喋りをするというわけでもなく、お酒を飲みにいってそのアテにというわけでもなく。ただ会って、カフェとか家とかどこか比較的静かな場所で顔と顔を突き合わせて、時間を気にせずに話したいと思うことがある。いつもそうというわけではないのだけれど。 何か目的があるわけじゃないけど、その人と会って、1つのことに深く没頭していたい。それが「話をする」というごく単純なことだととてもいい。こういうことは単純であればあるほどいい。そうい

          話がしたい、というときに

          能力と性

          努力か非努力(才能、環境)かも、男女どちらが不遇なのかも、最も活発に議論されることだという印象がある。他のあらゆるテーマも可能性として存在するのに、なぜこの2つはかくも人々を焚きつけるのか。それは、それらがまさに私たちが有利に生きるのに必要な認識の根幹に関わる問題だからだろう。 私たちは、幸せになるためには自分の存在理由を確かめなければならない。幸せに生きようとする人は誰でも、自分を認め、安心し、自尊心や自己肯定感を獲得することで、程度の差はあれ幸福を達成している。 人が

          能力と性

          社会学的思考・入門①——関係論的に思考する

          他の学問でも使うけれども社会学に特徴的な考え方だと思うものを個人的理解で少しずつまとめる。 関係論的思考様式の端緒として代表的なのはマルクスの価値形態論である。貨幣は購買力を持ち、通貨として様々な用途に用いることができるため、通常それ自体が価値や能力を備えていると思いがちだが、実際にはそこに価値を持たせているのは人々が承認した交換制度である。貨幣それ自体が価値を持っているというより、社会がそれに通貨としての価値を認めているから価値が生まれる(この意味ではウェーバーのカリスマ

          社会学的思考・入門①——関係論的に思考する

          やる気が出ないときの対処法

           寒くなってきて無気力状態の人も散見される頃合いなので、やる気が出ないときに何かしらの作業を継続的に行うための僕なりの対処法を書く。自分の場合は勉強が中心になるが、今までの経験でわかっていることも含めてメモ書き程度に押さえておく。 「5分でもいいからとにかく始める」 気持ちが入らないときは形から。今これをやるべきかなとか無駄じゃないかなとか余計なことは考えず、姿勢を正して机に向かい、本を読む。その見開きページだけでもいい。そうしているうちに気づくと没頭できる。このとき、簡単

          やる気が出ないときの対処法