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40歳間近で、バクテン教室に行った人。「3ヵ月で、できる気がする」

みなさん、バクってますか?

40間近で、バクりはじめたライターのすだです。

今日のお話は、1人で訪れた「バクテン教室」での出来事。

後ろ向きにジャンプしてクルンっと身体を回転させる、あのバクテンです。

え、ひとりで?
なぜ、バクテン?

たいした理由もなく「とりあえず行ってみた」だけなのに、喜怒哀楽のすべてが濃縮された1時間半。夜のくつろぎタイムにぜひ読んでみてください。

体育の成績が「2」の女

学生時代、私の体育の成績は「2」あるいは「3」でした。

個人対抗リレーは6人中4位か5位。ドッジボールは人の陰に隠れながらひたすら逃げ続け、ポートボールではボールにさわれず、逆上がりのテストでは成功した試しがない。

そんな運動音痴の部類に入る私が、なぜバクテンをやろうと思ったのか。それは「バクテンできたら、かっこいいから」です。

女性のバクテン、みなさんは見たことがありますか?
私は見たことがないんです。

バクテンをするのはいつも男性。

これ、女性がやったらかっこいいのでは……?
みんなにキャーキャーいわれちゃうのでは……?

それが私がバクテン教室にいこうと決めた理由です。

そもそも、どこでバクテンを習うの?

奇跡的に自転車で数十分のところにスポーツ教室があり、そこで「バクテン」を教えてくれることを知りました。

コースは3つから選ぶことができますが、私は説明をよく読まず、なぜか経験者コースに申し込んでしまったことを当日参加してから知りました。

1時間半くらいの練習で、費用は1回2,500円ほど。

教えてくれるのは金髪の若いお兄さん。
そして私と同じ時間帯に一緒にバクテンを習うメンバーは4名。

全員小学4年生でした。

仕掛けられた罠


申し込む前に「私みたいなおばさんが、1人で参加してもよいのだろうか」と悩んでいると、口コミに「丁寧に教えてもらえました(20代女性)」「良い運動になりました(30代女性)」と書いてあるのを発見。

なんだ、大人の女性もいるじゃないか。

そう信じていたのに、現実は小学4年生の中に1人のおばさんが混じるというカオスな空間が待っていました。

「え、誰かのお母さんじゃないの?」

子どもを見守りにきた保護者がザワついているのを肌でひしひしと感じながら、かかる集合の声。

なんてこともない顔をしている金髪の先生に頼もしさと戸惑いを覚えながらも「来てしまったものは、やるしかない」とようやく覚悟を決めました。

そして、柔軟体操が始まったのです。

アクロバットキッズ


柔軟体操をしながら、物珍し気に私を見ていた子どもたちも、15分ほどストレッチをしたり、筋力トレーニングをしたりしていると、もう「一緒に練習する人」と認識してくれたようです。

柔軟を終えたあとは、1人5分程度の先生とのマンツーマンレッスンが始まります。このマンツーマンレッスンを生徒分繰り返し、一巡したら二巡目、二巡が過ぎたら三巡目と1時間半の間、ひたすら繰り返していきます(途中、5分程度の休憩も挟みました)

私は自分の番が回ってくる間、部屋の壁にくっついている長椅子に座り、水筒の水などを飲んでいました。

たまたま隣に、私と同じく自分の番を待つ男の子が座りました。その子はお母さんと一緒ではなかったので、私は「どれくらいここに通っているの?」とたずねました。

「一年半」

彼は答えました。

それもそのはず、その彼だけはほかの子よりもずいぶん上達している様子で、助走をつけて走り始めたと思ったらそのまま側転。からのバクテンという高いレベルの練習をしていたのです。

着地だけがきれいにいかず、その微妙な調整をえんえんとする練習をしていました。

「一年半練習したら、そんなにうまくなるんだね」

といったら

「そんなうまくないよ」と謙遜していました。かっこいいなあ。

1時間半の練習で、人はどこまで頑張れるのか

間違えて経験者クラスの練習に申し込んでしまった私を尻目に、金髪のお兄さんは開口一番

「さっ、支えるので飛んでみましょう」

と私を促します。

「えっ、えっ。すみません、先生、私。初めてなんですけど……」

とうろたえながら伝えると、お兄さんは

「あっ、そうなんですね。でも大丈夫ですよ。とりあえず飛びましょう」

とのこと。

「飛ぶ」って、とりあえずで飛べるものなんだろうかという考えがよぎりながら「考えるな。感じろ」精神で、とりあえず飛んでみることにしました。

座っているお兄さんを背にして立ち、そのまま勢いをつけて両手を上げながら後ろへ向かってジャンプ!(もう何が何やら)

勢いがついたまま、後ろに飛んでいるだけです。

けれど飛ぶとすぐ、お兄さんが腰のあたりを支えてくれます。そしてそのまま腰を起点に、支えられる形で身体が回転し、ドスンと足がマットに落ちます。

お兄さんのおかげで、私は床に頭を打ち付けず、身体を後ろ向きに回転させることができます。


初めて「バクテンもどき」の動きをしたあと、私は思いました。


補助してもらうと、バクテンって普通にできるんだ。

格好は無様で、ほとんどできていませんが、上手に補助してくれる人がいると「バクテンのような動き」はとりあえずできるのだと、このとき知りました。

ちょっとした感動ものでした。

・着地が両足バラバラ
・飛ぶときの勢いが全然足りてない
・飛ぶときのタイミングが合ってない
・飛ぼうとしている方向は、頭上じゃなくて床方向

などなど、意識しなければならないところはたくさん。

でも、何度も自分の番がきて、何度も飛び続けることで

「これ、もう少し練習したらバクテンできるようになっちゃうんじゃない…?」

という感覚は、確実に生まれていました。

バクテンは夢のまた夢の話ではない


バクテンは運動神経がばつぐんで、体が細くて、スレンダーな人だけに許された華麗なる技だと思っていました。

しかし

実際にバクテン教室でゼロから練習をしてみた結果、雲の上の上の話ではなく、どうにかひと山超えたあたりに「バクテン成功」というゴールがあることが分かりました。

もしかするとバクテンは、最も効率的に人を驚かせることのできる一発芸と言い換えてもいいかもしれません。

もちろん100%のバクテンを披露するためにはあと数か月かかりそうですし、マット以外のところでやるのは危険もあります。

クリアしなければいけない点がほかにもありますが、それでも最初の「とても自分には無理だろう」という諦めの気持ちは消えました。

どうでしょう。

「いや、最近、ゴルフはじめてさ」

と同じように

「いや、最近、バクテンはじめてさ」

といえる社会に。バクテン同盟、組んでみませんか。


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