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原則4:先払い、人間だけが未来をイメージできるから💓

原則4:先に支払って、後で消費する Pay Now,Consume Later

 おこずかいが足らないなぁ、でも欲しいなぁと思うと、私たちはクレジットカード(クレカ)で今すぐに買って、後から支払う。あるいは、懐がさみしいわけではなくても、ついついクレカで後払いしてしまう。Zoom「幸せなお金の使い方」講座の参加者 トキエさんは、お金をなるべく触らないよう少額でもクレカを使うそうだ。そういえば、私もパンデミック以降はクレカで支払うようにしている。

  クレカに加え、昨今はワンクリックで明日に届く「先に消費して、後から支払う」スタイルが習慣になりつつある。これについて「幸せをお金で買う 5つの授業」の著者リズさんとマイクさんは警鐘を鳴らす。「先に支払って、後から消費する」ほうが幸せになれることを、サイエンス・オブ・ハピネスの研究が明らかにしているからだ。

 旅は、先払いの典型だ。列車や飛行機のチケット、宿の代金を予約とともに支払うことが多い。好もしい席、人気の宿を確約したい時、パッケージツアーであればなおさらだ。旅行のほかにもコンサートや学校の入学金、リカレントのセミナーも先払いがもっぱらだ。

 確かに、旅は出かけるまでが楽しい。もちろん、旅の途中も楽しいけれど、出かけるまでに調べて尋ねて、比べて迷って、わくわくして、そのわくわくが旅の楽しさを増幅することは間違いない。1000人以上を対象としたオランダの調査は、旅行前の数週間のほうが、旅行後の数週間よりも大きな幸せを感じることを明らかにしている。

 先払いによって幸せが増すのは、何故か?  

 キーワードは「不確実さ」である。未来は不確実だから、私たちは曖昧な詳細を好きなように埋められる。先払いによって、私たちは未来のイメージをふくらませる時間も買うのである。そして、ああかもしれないこうかもしれないとイメージをふくらませては楽しむのだ。食べるのに待たされた人のほうが、同じチョコレートを美味しく感じるという実験結果もある。未来をイメージできる生き物は人間だけ…だからこその「おあずけ」効果だ。

 では、万一、期待どおりでなかったら? 私たちには期待と現実のギャップを埋めて、期待どおりに現実を経験しようとする能力があるそうだ。さらに、イメージをふくらませる時間がギャップを埋める能力も高めてくれるという。「おあずけ」効果は偉大である。

 だから、消費を先送りするのは、「おあずけ」に価値がある時だけだ。リズさんとマイクさんは必需品の先払い先送りは奨めないとして、「支払った金額から最大の幸福を得られる」のは、次の場合と述べている。

・先送りによって、ポジティブな期待がふくらむような魅力的な詳細を見つける機会があり、待つ間のわくわくがより大きくなるようなとき。
・未来の消費を考えると、よだれが出るほど楽しみになり、最終的に消費した際の喜びが増すとき。
・宇宙旅行のように、消費経験自体はかなり短時間で終わってしまうとき。

 さて、先払い先送りが幸せを増やすと分かっていても、目の前にある魅力的なモノの「現在の威力」に負ける。リズさんとマイクさんによれば「未来は過去よりも魅力的」ではあるが、「現在ほど心を浮き立たせるものはない」と説明する。さらに、「支払いの苦痛」と名付けられた痛みを後回しにするため、ついつい後払いを選んでしまうと語る。

 けれども、ふたりは、先払い先送りによって「遠い将来のことを考えられる」し、「自身の幸福にとってよいものを選びやすく」なり、消費するときに「支払いをとうの昔に済ませていたことが、最後の報酬をもたらす」と結論づけている。さらに、万一先払いを回収できなかったとしても、かつての支払いの痛みは少ない…とも。そして、現実的には「現在の威力」を大事にしながら、一部の消費を先送りするようと奨励する。

 女子たちはぜひ、エステの先払い先送りするとよい。洋服はいつでも取り換えられるが、素肌は取り替えられない。少し高額な先払いではあるが、1回2~3万円の施術が大きく割引され、先払いを回収するために定期的に通う習慣も生まれる。緊急事態宣言でサロンが休業中の今は、先払いで使い続けている美容器具で、プロの施術を穴埋めしよう。

 なお、心が健康な人は、怯えや不安から逃避するためにバラ色の未来を思い描くという。「未来について楽しい考えをもつことができる能力は、心が健康であることの重要な特質」だと、リズさんとマイクさんは述べる。逆もまた真なり。明るい未来をイメージすれば、パンデミックの中でも、幸福感を高めることができるかもしれない。

引用:「幸せをお金で買う」5つの授業
   エリザベス・ダン マイケル・ノートン(2014 中経出版)

     「ハーバード流 幸せになる技術」
   悠木そのま (PHPビジネス新書)

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