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【パワポ研の決算資料探訪②】スマレジ社の決算説明資料は派手さはないが「伝えられる」資料

企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ二回目を迎えることができました(前回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も新興企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「スマレジ社」です。

「POSレジって何?」という人もいると思いますが、そこも含めて決算説明資料で解説されています。

2020年4月期 通期決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4431/ir_material_for_fiscal_ym1/82533/00.pdf

早速見ていきましょう。

スマレジの事業内容

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画像とイラストと文字で、ソリューションの概要を端的に表しています。この場合伝えたいのは「利用シーン」と「ソリューションのイメージ」そして「具体的なソリューション内容」です。この三つが抑えてあるので「おおよそ」が分かるワケですね。もっと詳しく知りたい人は、ソリューションのHPをご覧ください、ということで決算資料には不要な情報を記載していません。

売上高・営業利益・営業利益率推移

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これも端的に分かりやすいですね。背景が白と棒グラフの黒で上手くメリハリが出ており、数字のジャンプ率も適切です。デザイン自体はオーソドックスですが、決算スライドとしての機能は十分に果たしています。色使いも、余分な色を使わず青系で統一してあるので、目がチカチカすることもありません。

従業員数の推移

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これも先ほどのスライドと同じく、最低限の情報量と工夫で推移が分かるようになっています。メッセージを要約すると「それぞれのポジションの従業員が増えてます」ということで、これは一目で明らかです。増えた理由や増えた結果の画像(例:社員の集合写真)を貼ることももちろんできますが、ノイズになるリスクもあります。その意味で、メッセージを伝えるという文脈においては必要十分なスライドです(もう少し文字が大きくてもよいかもしれませんが)。

スマレジ4の進捗

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このスライドで言いたいのは、「リリースが近い」ことと「既にお客さんがいる」ということです。左パネル(左側)と右パネルに二分割して、それぞれで十分に伝えられています。特に、丸で囲っている部分の視認性が高く、分かりやすいですね。他の文字は読まなくても、言いたいことが伝わる仕様だと言えます。

解約率の推移

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本来的には表現が難しいスライドですが、とても分かりやすく纏まっていると思います。解約率(チャーンレート)は月毎のグラフに直してしまうと改善・改悪の推移が分かりにくくなってしまいます(下の折れ線グラフ)が、長期的に確認すると改善・改悪が浮かび上がります。元データとサマライズしたデータ(上側)をバランスよく示すのは、簡単そうに見えて難易度が高いため、デザイン的に参考にしたい一枚です。

新型コロナウイルスによる影響と当社の取り組み

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コンテンツの中身はここでは議論しませんが、パキっと「前提」と「やるべきこと」が分かれていて、構造が分かりやすいスライドですね。
スライドライティングの初歩として「余計な囲みはなくせ」とよく言われるのですが、ここでは逆に薄い青や黄色で囲うことで、効果的に「やるべきこと」がハイライトされています。イラストもかわいげな雰囲気で記載されており、キャッチーな一枚になっています。

少し気になったところ

一方で、「もうちょっと見やすくなるかも……」と思うようなスライドについても少しだけ紹介します。例えば以下のスライドです。

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余白がそれなりに余っているのに、ちょっと文字が小さいような気がしますね。他でも言及しましたが、文字が少し小さいスライドが散見されました。文字が小さくなる理由として、大きく「余白があるのに文字が小さいパターン」と、「情報量が多すぎて文字が小さくならざるを得ないパターン」の二種類が挙げられると思いますが、いずれも重要な情報を読み手が読み飛ばしてしまうリスクがあるので、少しだけもったいないなと感じました。

まとめ:派手さはないが、「伝えられる」資料

全てのスライドを個別に紹介することは叶いませんが、共通して以下の特徴があるスライドが多いです。

・派手でない:基本的にはビジネスパーソンがパワーポイントで作れる範囲
・それでも、メッセージは伝わる:メッセージを伝える情報量と質は担保

この原理原則を全てのスライドで貫くことで、派手ではないですが読みやすい資料になっていると言えます。
これはシンプルなように見えて、情報設計や色の絞り込み、余白の調整などが必要で、このレベルのパワーポイントをさっと作れるビジネスパーソンはそれほど多くないと思われます。

前回のGoodpatch社は本業がデザインの会社なので、なかなか簡単に真似ることのできるスライドではなかったかと思いますが、今回のスマレジ社は一般的なビジネスパーソンがすぐに取り入れられる要素の多いスライドだと思います。
「何を言っているかよく分からない」「どこを見ればいいのか分からない」という決算資料になっている会社は、まずはこういった「必要十分に伝わる」というところを目標に置いてもよいかもしれません。

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