輝く命と透明な命。"その重さ" は・・・ どちらも同じ。
※この記事は、著者のBLOGであるameba・2022年3月4日を再編集したものである
さて、Perfumeの新楽曲の「Flow」が主題歌となっている『ファイトソング (RX系) 』。 この主題歌目当てでドラマを見始めたのだが、今ではその世界観にどっぷりと引き込まれている。
もっと言えば・・・・・ 先週放映された第7話・『全て明かす涙の夜と嫉妬の嵐!? キスしていいですか? します』では圧巻の内容で、特に木皿花枝を演じる主演の清原果耶氏の演技力に完全に心を奪われてしまった(笑顔)。
このような感覚は・・・・・ 今から29年前の1993年に放映され、当時は社会現象を巻き起こしたとも言われた、今だ語り継がれている伝説のドラマ『高校教師(RX系)』の二宮繭を演じた、桜井幸子氏の演技を観た以来の衝撃かもしれない。
特に、『ファイトソング』・第7話の " 冒頭15分間の秘密の告白 " のシーンでは、清原氏の演技に完全に引き込まれてしまって・・・・・・ 涙なしでは観れなかった。もちろん第1話の号泣のシーンも凄いと思ったのだが、第7話の方が清原氏の演技に説得力を感じる。こんなにすごい女優がいたのか・・・・・ 知らなかった。しかもこんなにも若い。
第7話の " 冒頭15分間 "のドラマの肝となるのは、やはり花枝が児童養護施設の仲間たちに病気のことを告白するシーン。 稲森いずみ氏が演じる、花枝の母親代わりとなっている磯辺直美が、
と問われて軽く頷いた後、両目から大粒の涙を流す花枝。この回のドラマの肝となっている "ここぞ " というタイミングで、両目から大粒の涙を流す。この演技力というか・・・・・・・ いや、小手先の技術とかではなく・・・・・・ 清原氏に "花枝 " とい女性が乗り移って、その人生を懸命に生きているといった感じの説得力が画面越しにも伝わってくる。凄い。清原氏は本当に " 泣きの演技 " の上手さが魅力の女優なのかもしれない。
たしか・・・・ とある俳優がこのようなニュアンスのことを語っていたことを思い出した。" 泣きの演技 " が一番難しい。演劇やドラマはフィクションとはいっても、実は登場人物にはそれぞれの人生が、今、確かにそこに存在している。俳優は " 身体 " という器を差し出して、登場人物にその人生を生きてもらう。これが演技というものの本質なのだ。
もし、" 泣きの演技 " の時に、『このタイミングで、涙を流そう』などと考えていたのなら・・・・・・ そのことは、登場人物が嘘の人生を送ってしまうことになってしまう。なぜなら本来、人が涙を流すという行為は、単純に感情の高ぶりが発露しただけのことなのだから。
『ファイトソング』・第7話の清原氏の " 泣きの演技 " は・・・・・・ 花枝という女性が今まさにそこに存在して、身に降りかかった不幸や困難に悩み、そして彼女の "その思い " というものが手に取るようにわかるような涙だったのだ。本当に引き込まれてしまった。しかし・・・・ こんなに凄い女優をオレは全く気づきもしなかった(苦笑)。
もちろん、これまで " 清原果耶 " という存在を全く知らなかったわけではない。 映画・『ちはやふる -結び-』にも出演しており、 オレは劇場でも何回も観たわけだが、正直に言えば彼女の印象はあまり強くなかった。
また、巷の話題となっていた連続テレビ小説 ・『おかえりモネ(G-NHK)』の話は耳には入ってきたのだが、ほとんど目にしたことはなく・・・・・・ ようやく目にしたのは、最終週の第24週のしかも最終回の2~3回前の放送だ。しかもたまたま観たという。しかし、そのシーンはかなりインパクトが強かった。全く観たことがなかったので設定もわからない状態だったが・・・・・・ 演じる清原氏が海に向かって、おそらく妹役と思われる女の子に、
この清原氏の演技で・・・・・ 一瞬にしてその世界に引き込まれてしまった。こんな素晴らしいドラマなら最初から観ておけば良かった(笑顔)。したがって、その後、最終回だけ最初から観た。最終回だけだが、素晴らしいドラマということが伝わってくる。
その清原氏が『ファイトソング』の主演を務める。注目はしていたのだが・・・ " キュンキュンさせる系 " のラブコメとなってくると・・・ おそらくPerfumeさんが主題歌を務めていなければ、観ていなかったドラマだった可能性が高い。そのようなドラマにこんなにもどっぷりと嵌ってしまっているのだ。いや " 清原果耶 " という女優の演技の虜になっているのかもしれない。
ということで、女優 " 清原果耶 " のバックボーンやルーツを辿ってみようということで、まず " このドラマ " を観てみることにした。
清原果耶氏のドラマ初主演となる『透明なゆりかご (G-NHK・2018年) 』だ。 清原氏の演じる准看護学科に通う高校生の青田アオイが、看護師見習いとして産婦人科医院で勤務する中で "産婦人科 " というものが有している光と影を見つめていくドラマだ。
ちなみにこのドラマはかなり高く評価されており、第73回・文化庁芸術祭(テレビ・ドラマ部門)大賞、第35回ATP賞テレビグランプリドラマ部門最優秀賞およびグランプリなどを受賞。また主演を務めた、清原氏も東京ドラマアウォード2019で主演女優賞を受賞している。
全話を一気に観たわけだが・・・・・ いや・・・・・・ なんて言っていいか・・・・ 言葉が出てこない。 " この感情 " をどこにぶつければいいのかが分らない。自分自身がなぜ泣いているのかさえも分らなくなってくるほど、切なくてたまらない。
『生まれる命と消える命が絶えず交差する場所』で。このドラマは " 命は地球よりも重い " といった短絡的でステレオタイプの薄っぺらいメッセージではなく・・・・・・ 理不尽で避けられない "現実 " というものをうやむやにせず、真正面から向き合ったドラマだ。胸を掻きむしられるような気分が襲ってくるが、一筋の希望の光も垣間見せてくれる作品でもある。
主演の清原氏の真っ直ぐで凛とした、そこはかとなく品位を感じさせる演技が光る。そして・・・・・ 彼女の真骨頂でもある " 泣きの演技 "が既に遺憾なく発揮され、どんどんと引き込まれていく。
『生まれる命と消える命が絶えず交差する場所』で。確かにそこには高校生の " アオちゃん " が実在していた。そして、その光と影に真摯に向き合いながらも懸命に生き、そして人生を歩む・・・・・・・ その息づかいまでもが聞こえてくるようだったのだ。
ドラマの内容も当然ながら清原氏の演技に宿る説得力にも完全に圧倒されてしまって・・・・・ 凄い。オレはこんな最高傑作ともいえるドラマを見落としていたのか。 " 人生の中でも一度出会うか出会わないか " といっても過言ではないくらいの本当に素晴らしいドラマだった。
さて、このドラマを昨日に全話を一気に見たのだが・・・・・・ これもある意味、必然というか啓示なのかもしれないとも思えてくる。
今、東ヨーロッパの国で・・・・・・ この瞬間にも幾千もの命が失われようとしている。きれいごとではなく・・・・・ " 命の本質 "というものを、このドラマは教えてくれているような気がする。" 命は地球よりも重い " といった短絡的でステレオタイプの薄っぺらいメッセージではなく・・・。
さて実は、来月の3月13日(日) にスカパーのファミリー劇場にて、CS波初の『透明なゆりかご』の一挙放送がある。もし観れる方々は・・・ 決して気軽な気持ちで観れる作品ではないのかもしれない。しかし・・・。
この世界情勢を鑑みた中で " 命の本質 "というものを見つめなおす。そして、若き実力派女優 " 清原果耶 " のバックボーンや演技力の真骨頂を見てみたいという方々には、強くお奨めしたいと思う、今日この頃なのだ(笑顔)。
[○追記・2022年3月4日pm19:35]
『透明なゆりかご』で印象的なのが、物語を締めくくるモノローグといっても過言ではないと思う。主人公を演じている清原氏の語るストレート且つシンプルな言葉が " 命 "や " 愛 " の普遍的な価値に鋭く切り込み、このドラマをより深く感動に導いていると思う。
例えば、第7話だ。子供のころから母親との関係がギクシャクし、思い悩んでいた主人公のアオイ。子供のころから自分の母子手帳を見てみたかったのだが、複雑な思いを抱えたままでなかなか見ることが出来なかった。その母子手帳を開くことでエンディングを迎える。
当初、産婦人科をテーマにしたこのドラマを、男性のオレが果たして共感できるのだろうかと考えていたのだが・・・・・・・ それは杞憂で全くそんなことはなかった。このドラマはむしろ性別を超えて・・・・・・ " 訴えかけてくる力 "を有している。それが圧倒的な感動をさらに増幅させているような気がするのだ。この " 訴えかけてくる力 "の源が各回のモノローグとなってるのだろう。
もしご覧になられる方々は、このドラマのモノローグにも注目して頂けばと思う。
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