番号

ホーラが時計に番号をふっていくのを見ながら、ルビッチはある日ツワネガーさんから預かった手紙のことを思い出しました。
ルビッチはツワネガーさんから窓越しにハロウィンの飴をもらった日から仕事帰りにツワネガーさんの病院の建物の前を通って挨拶をして帰るようになりました。
病院でひとりぼっちで、とても寂しそうに見えたからです。
ある日ルビッチがいつものようにツワネガーさんの病室の窓を見上げると、ツワネガーさんが窓の下に布袋を下ろしながら「ちょっと待って」と合図をしました。
ツワネガーさんは、ルビッチがその布袋を手にしたのを確認すると、「開けて」と合図しました。布袋の中にはハロウィンの時のように沢山の飴と、その中にはメモが入っていました。ルビッチがツワネガーさんを見上げると、ツワネガーさんは「メモを見て」と合図しました。
メモには次のように書いてありました。「このメモをアダムという人に届けてほしいです。住所は以下です。急ぎです。すみませんが、よろしくお願いします。」
ルビッチは大きく頷いて「分かりました」と合図すると、アダムの家を探しはじめました。大きなコンクリートの塀が長く続く道を街頭を頼りに歩いていったところにアダムの家がありました。玄関を叩くとアダムの奥さんが赤ちゃんを抱っこして出てきました。奥さんの名前はガリナと言いました。ガリナはアダムはもうすぐ帰るので、中で待っているように言うと、ルビッチは遠慮して外で待っていると言いました。夜の遅い時間に訪れたこともあって、ガリナは家の中からルビッチの様子を見守っていました。ようやくアダムが帰宅するのが見えると、ガリナはドアの方に向かいました。ドアを開けると、アダムとルビッチが話をしていました。

「君もツワネガーさんを知っているのかい?」

「はい。ハロウィンの飴をたくさんいただいたんです」

「そう」アダムが微笑むと、ガリナが言いました。

「温かいスープがあるから、体を温めてから帰るといいよ。

アダムと一緒に送って帰るから、安心してください」

ルビッチは中に入れてもらいスープをご馳走になりました。

「この番号は何なのでしょう、アダム」

「これは、スーさんが梱包して配達を手配している心臓につける番号なんじゃないかな。ツワネガーさんがそれ以上言っていないということは、言えないんだ。」

アダムが心臓という言葉を口にすると、ガリナはルビッチを心配して話題を変えようとしました。

アダムが小さな声で話しを続けました。

「ゾルターンが聞いてしまった話によると、病院の下はトンネルになっていて、スーさんの家に繋がっているということだった。

きっと、そこで心臓に番号をふるんだよ。ツワネガーさんがこの番号を急いで見せる必要があるのは、

生きているからなんだきっと。

この番号をつけられる予定の人がいる。番号をつけるために殺されるのか、死んだから番号をつけられるのか、死んだ後では誰にも確認ができない」

そこまで言うとアダムははっとした顔つきになり、

言いました。「これから病院に行って、誰のベッドにこの番号がついているかを見てくる。きっと連動していると思う」

「心臓とカード。。。」とガリナがつぶやくと、ルビッチがはっとした顔つきで聞きました。

「カード。。。」

するとアダムが食い入るように聞きました。

「ルビッチくんは、スーさんのカードのことを知っているのかい?」

ルビッチは言いました。

「はい。僕、仕事帰りにプペルと。。あ。。僕のともだちのプペルと歩いていた時に、

スーさんの家の窓から、あ、いえ、のぞいたらスーさんだったんです。

えっと、その、プペルのブレスレットが光って、その光を追いかけたら、

カーテン越しに光が漏れていて、その光の反射だったんですが、

プペルと中をのぞいてみると、

スーさんは目の玉から点文字のようなものを、放っていました。

スーさんはそれらの点文字と、カードから放たれる光の点とを一致させようとしていました。

点が完全に一致すると、スーさんの目の前にいろんな文字や暗法の浮かんだボードが浮かび上がりました。

「そうか!沢山教えてくれてありがとう!

よく分かった。お母さんが心配しているね。今日はもう帰ろう。」


アダムは赤ちゃんを抱っこするガリナを抱きしめてキスをすると、

再びコートを羽織り、ルビッチを送るため、病院に行って番号を確認するために

外に出ました。


(続く)









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