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従業員が定着しない10つの理由


「従業員がなかなか定着しない」

従業員数が急激に増えるタイミングや、20名、50名、100名に差し掛かるタイミングで退職者が相次いでしまう、ということはよくあります。

様々な理由が複合的に合わさることで退職者は発生すると思いますが、今回は、なぜ定着しないのかと言う理由を考え、10つ挙げさせていただきながら解説していきます。


(1)従業員の価値観ペルソナが明確になっていない

根本的にある要因としてはこれです。「ペルソナ」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、わかりやすく言うと、求める人物像のことです。人物像というのは、業務スキルであったり、人間力(謙虚さ、思考力など)のことを指しますが、それ以前に重要なのは「価値観」です。
人間には価値観があります。価値観は新卒入社した会社も大きく起因していると言われますが、社会に出るまでに概ね形成されております。つまり、あなたの会社の価値観に合わない人材を採用し続けているのであれば、入社後の定着は限りなく難しいといえるでしょう。異なる価値観を同じ空間に置いて、うまくいく場合もありますが、それには価値観の違いがあったとしても支障が出ない文化形成が必要になります。もちろん、価値観を重視し、採用活動を進められている企業様も多いかと思います。

では、あなたが在籍する企業様の価値観を3つ挙げるとすると、何が思いつきますか?そして、目の前にいる候補者様の価値観をどのように見極めていますでしょうか?(ペルソナ設計については下記をご覧ください)


この2つがずれると入社してからの定着は難しいと言えるでしょう。何故かと言うと、次の(2)に影響するからです。


(2)一応取り組んでいるエンゲージメント調査

モチベーションクラウド、weboxなどエンゲージメント測定ツールを導入する企業は徐々に増えています。これは良いことではありますが、上記の(1)を軽視したまま(2)に取り組んでも、良い結果になる事は少ないです。
エンゲージメント測定ツールは、従業員が会社に定着するためのあらゆる側面を点数化し、ランク化するものです。異なる価値観の従業員が多いと、会社(働くこと)に対して求めることがバラバラになるため、点数がばらつきます。なので何の点数を上げていくのか、と言う議論においても意見がまとまらない事がよくあります。
エンゲージメント測定ツールの点数により、経営や人事が、改善をするアクションを取ると思うのですが、全員納得するアクションをとることができるケースは少ないです。なぜならば価値観が違うからです。
繰り返しになりますが、価値観が異なる従業員を集めてうまくいくケースもあります。ただ強烈な福利厚生、多様性を受け入れる価値観、文化形成などがうまくいっているからこそ定着をしています。ポテンシャライトが主戦場としているベンチャー企業、大体2桁位の人数の企業において、価値観がばらついてしまうと、エンゲージメント調査をいくらやっても見せかけになってしまうケースが多くなってしまうでしょう。


(3)ミッション、ビジョン、バリューの不明瞭化

これは言うまでもないかと思いますが、会社の思いの根幹の部分を言語化できていない場合、どこかのタイミングで退職者が増えてしまう傾向があります。
とりあえず作成したミッション、ビジョン、バリューに従業員が共感することはなく、風化してしまうことがあります。そのため、「結局当社のミッション、ビジョン、バリューって何だっけ?」と言う会話が発生してしまう状態を「不明瞭化」と呼んでいます。
ミッション、ビジョン、バリューは会社の思想であり、方向性を示すものです。前述をした(1)は「個人」の価値観の話をしましたが、この(3)は「会社」の価値観のことをいっています。つまり、会社の価値観を強く打ち出さないままに採用活動、事業活動を行うことにより、社員が方向性を見失ってしまう事が大いに考えられます。文章にしてみると当たり前なことですが、なかなかうまくいってない企業様も多いのではないでしょうか。そして、人によっては、会社の価値観を重要視しない会社選びをしている方も事実として多いです。
少し話が飛躍しますが、人が会社を選ぶ/転職をする際に重要視をしている項目は、4つに分けられると言われています。これは俗に言う、「4P」と言われるものです。

福利厚生や職務内容を軸に会社を選ぶ候補者は、会社の思想はそこまで気にしていない傾向もあります。個人の自由ですので、会社選びの基準は特に肯定も否定もしませんが、福利厚生や仕事内容だけの理由で会社選びをしている方は、そんなに重点的に採用はすべきではないと個人的に思っています。なぜならば、福利厚生に重きを置いている場合、さらに福利厚生が整った企業が見つかったら転職をしてしまいますし、職務内容に重きを置く方は、現在の職務内容に飽きてしまった場合、転職をしてしまうことがあります。
個人的に、会社の思想(ミッション、ビジョン)を重要視した採用をすべきだと考えていますし、それをすることによって定着率も上がるのではないかなと思っています。


(4)ミッション、ビジョン、バリューの浸透ができていない

ミッション、ビジョン、バリューが固まっているのであれば、それらが「浸透」しているのかを確認する必要があります。みなさんいろいろな施策を立てて動いていらっしゃると思うのですが、結果的に「浸透」や「共感」をしていなければ、あまり大きな意味を成すことがありません。
そのために、主に経営層から、ミッション、ビジョン、バリューの話はし続けるべきでしょうし、事例を交えて日々発信し続けることが重要になるかと思います。せっかく作成したものも浸透しなければ効果は無いのです。


(5)バリューの不明瞭さ

どんなことに取り組んでいる人を会社として評価するのか、スポット当てるのかを明瞭にしておくべき必要があります。これは「成果」と言うわけではなく、「バリュー」に近しいものです。
会社として、どのようなアクションをとっているメンバーにスポット当てるのかを明瞭化する事はものすごく大事です。それがないと不満が出ることが多くなるでしょう。


(6)成長実感の欠如

このブログはポテンシャライト界隈の企業様を意識して書いておりますが、主にベンチャー企業を志向する方は、成長意欲が高い人材が多く、成長するために働いている、と言う価値観の方が多いです。そのため、成長実感の欠如感があると、退職リスクも高まります。優秀な方であればあるほど新しい業務のキャッチアップスピードも速く、かつ精度高くこなします。そういった方にルーティン業務を依頼するのはよくないです。飽きがきてしまい成長実感がなくなってしまいます。常に成長してもらうために何をしてもらった方が良いのかを考えるべきですし、少し背伸びをするような依頼を出すのも良い策だと思っています。


(7)他者からのお誘い

これは一定仕方がないことではありますが、優秀な方であればあるほど、常にいろいろな企業様から声をかけられている事を認識しておくべきです。声をかけられることに慣れていない人の場合、誘われると、大体話を聞いてしまいます。そして、良い話であればなびいてしまう可能性も大いにあります。
個人的な意見だと、そこでなびいてしまうのであれば致し方ないかなと思います。一方で、その企業よりも当社の方が良い環境を提供できなかったのかなと反省をします。
これは防ぎようがないことではありますが、定期的な1on1ミーティングである程度回避ができる可能性はありますし、上記(6)の内容にもありましたが、常にチャレンジングな環境を与えることによって、成長実感を与えるのはものすごく良いことだと思っています。

別のブログでも記載しましたが、この辺はサイバーエージェントさんが上手で、優秀な社員は会社を立ち上げさせたり、いわゆる「登用」をすることによって制御している場合があります。他社から声をかけられやすいのは年齢で言うと24歳〜32歳くらいまで。年収帯で言うと400〜600万円くらいまでです。それ以上になるとその会社での役職、役割は大きなものになり、安易に声をかけづらくなるのです。ハイレイヤーな方に満足してもらえる環境を、声をかけた側が提供できるかというと、そこまで自信がない企業も多いです。そのあたりは注視すべき点ではあるかと思います。


(8)人事制度の不明瞭化

何をしたら給与アップにつながるのか、評価基準は何なのか、などです。 個人的な意見を言うと、ベンチャー企業のフェーズにおいて、シード期、シリーズAくらいまでは人事制度は整えなくて良いと思っています。それよりももっとやるべきことがあります。

もし数名、十数名規模の企業で人事制度を構築したとなると、その当時に所属していた社員の「能力」を軸として制度が作られることになります。少数で事業活動していた際にハイパーなメンバーが揃っていたら、そのメンバーが軸になり制度が作られることになります。つまり後から入ってくるメンバーはそのメンバーを超えなくては年収アップが難しいです。一方、少数の頃にもしローパフォーマーが固まっていたのであれば、そのメンバーを軸に制度が作られると、簡単に昇格ができるような制度が生まれます。これは経営にとってリスクです。
人事制度は職種によって異なると思うのですが、サンプル数もなく、事業ニーズが市場に対してどれだけあるのかを図っている中で作る事は、得策ではなく、経営にとってもよくありません。転職活動において制度が整っている会社に行きたいのであれば、少なくともシリーズC以上、もしくは老舗企業を選ぶべきです。設立時から年数が経過している企業は、顧客への価値提供が安定化しており、人事制度が作りやすい環境にあります。設立してから間もない(3年以内など)企業に入社したとして、「人事制度が不満」と言う方がいるのであれば少しずれています。その点だけ認識しましょう。


(9)マネージメントの問題

ベンチャー企業向けにいうのであれば、そもそもマネージメントがなくても「自走」できるメンバーを採用すべきです。ただ、そんなことを言っているとなかなか規模拡大もしないため、マネジメントが効いた状態で活躍できるレベル感の社員も採用すべきです。
マネジメントと言うのは、いわゆる業務マネージメントとピープルマネージメントに分けることができます。前者は業務管理側面、後者は成長促進と仮定するのであれば、前者については、概ね取り組まなくても良い人材を採用すべきです。後者についてはどんなに優秀な人材であっても、その企業のマネジメントメンバーが道を照らす必要があります。
ですので、業務管理側面のマネージと言う意味ではなく、その従業員の未来を照らすことができるようなマネージメントをできるメンバー、ないしはそういったスキルを経営側、マネージャー側が身に付けられていないのであれば危ないかと思っています。
個人的にも、マネージメント能力にものすごく自信を持っているタイプではなく、実績/成果で背中で見せるタイプです。未来を照らすこともある程度得意ではあると認識をしていますが、マネージメントを体系的に勉強をした経験は多くありません。これを機に別のタイプのマネージメントも勉強していきたいと思っています。


(10)給与

給与が理由で退職をする方は一定出ますが、これは事業活動においてどうしても出せる額と出せない額が決まっていると思いますので、難しい問題ではあります。
出せる額であるにもかかわらず出せていない、という事象が発生してしまうのであれば問題視すべきです。各企業によって利益額も異なるでしょうし、どうしても出せないのであれば別の角度で会社にいる理由を見出してあげる必要があります。

転職の1番のきっかけが給与になる機会はそんなに多くなく、別の理由が引き金になり、給与も同時に不満を感じ退職に立ってしまうケースが多いです。もちろん他社から声をかけられたときに現職から100万円多い給料提示をされる機会もあるかと思うのですが、給与だけで会社を決めている人はほぼいません。別の複合的な要因も合わさって、かつ100万円アップとなり転職を決意する方が多いのではないでしょうか。


最後に

今回はなぜ人材が定着しないのかと言う理由をいろいろな角度で記載しましたが、最も大事なのは「採用時の価値観見極め」と「エントリーマネジメント」この2つです。

前者は、(1)に記載した通りで候補者の価値観がわかった上で採用することが重要です。不明瞭な状態で採用している場合はとでは、定着率に大きな差があります。そして入社後の調整もすごく難しくなります。
(採用時の見極めについては下記をご覧ください)

後者は、入社前に、入社後に起こりうる事をできるだけ説明しておくことが重要となります。つまり、入社前後のギャップを限りなくゼロに近づかせるためのアクションになります。これができていないと「こんなはずじゃなかった」となることが多く、もったいないミスマッチが起きます。エントリーマネージメントをしっかりと実行していて、その上で新入社員が「こんなはずではなかった」と感じたのであれば仕方がありません。
 (エントリーマネジメントについては下記をご覧ください)

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