見出し画像

【ハンター】人類に警鐘を鳴らす、現代アート界のカワイイやつ


これから論じる現代アート作家の名前は、抽象画が人気のハンターである。

ハンターのみで、ファミリーネームはない。しかし、だからといってペンネームでもない。ハンターだけで本名なのだ。いや、本名とはいっても、べつに戸籍に登録されているわけではない。なぜなら、彼には戸籍がないのだ。

どういうことなのか?

ひとことで言えば、ハンターは人間ではなく、犬なのである。



アートは人間だけのものと誰が決めたのか?


画像1

ハンター(Hunter/2013-)

カナダ・アルバータ州在住。オスの黒柴。
飼い主、ケニー・アウと、デニス・ロー夫妻のアイデアにより、3歳ぐらいのころに筆を持たせたところ、約1か月で処女作を完成させたという。2020年6月現在、彼のインスタグラムのフォロワー数は1万7千人を超える、インフルエンサーのひとり、いや、1匹となっている。

我が家には大きな壁があるので、そこに絵を飾りたかったのです。いくつかの絵を飾ってみましたが、しっくりきませんでした。
ハンターは私たちの生活の中でとても大きな存在なので、もし彼が絵を描いてくれたら、それは我が家にふさわしいと思いました。
そこでハンターに筆をくわえてもらい、紙に触れるように教えてみたら、驚きの結果になったんです。


通常、絵画作品は、作者のサインが必須となるが、ハンターの場合、サインまで行なうことはできないため、その足の型をスタンプにしたものをサインの代わりとして押すのだそうだ。

画像2

彼の描いた絵は、通信販売サイトのEstyで購入が可能となっており、高いものでは日本円にして約40万円ほどの高額で取引されることもあるという。

つまり、犬とはいえ、世の人々に認められている、立派な現代アート作家なのである。



ほかにもまだいる、人類に近づく動物たち


ハンターのほかにも、人間以外で、絵を描く生き物といえば、たとえば千葉県の動物園「市原ぞうの国」のアジアゾウ、ゆめ花が有名だろう。

ゆめ花の描いた絵は、園内のギャラリーに展示されたり、また購入することも可能となっているとのことだ。


さらには、京都大学霊長類研究室で飼育されている、チンパンジーのアイをはじめとする類人猿たちも、犬やゾウと同じか、それ以上に魅力的な抽象画をいくつも完成させている。

画像3


と、クリエイティヴな世界での動物たちの活動例を見てきたわけだが、実は、われわれ人類に対して、アート以外の手段でもアプローチをかけている動物が存在していることはご存知だろうか?

その手段とは、意外にも政治活動である。


デルモンテフーズのキャットフード「9 Lives」のCMキャラクター“モリス”はアメリカ大統領選挙に立候補したことで名をはせたねこ。初代モリスは’88年にブッシュ、’92年にはクリントンと争って敗退。’12年には5代目モリスが「すべての猫に終の棲家と自由、空っぽになることのない食事を」と公約に掲げオバマ大統領と戦って敗れたが、Facebookに掲げたポスターをダウンロードするたびに「9 Lives」1缶が動物保護団体に寄付されたという。


汚職まみれの既存の政治家に嫌気が差した市民たちが「市長」に推しているのは、生後18カ月のスコティッシュフォールド。名前はバルシクだ。
地域ソーシャルメディア「アルタイ・オンライン」で行われた非公式の市長選で、バルシクは6人の(人間の)候補をはるかに上回る5000票以上を獲得して1位となった。得票率は16日の時点で驚きの91.6%だ。


メキシコのベラクルス州ハラパ市で、市長選に立候補したのはなんとネコのモリス。飼い主が、政治に不満を持つ仲間とともに始めたのが、モリスへの投票を呼びかけるキャンペーンなのだ。




ネコと和解する日もそう遠くないだろう


ごらんのとおり、政治活動にいそしんでいるのは、主にネコである。

犬やゾウや猿たちが、人間に近づいているのに対し、ネコのほうは、もしかすると、ひそかに人間を超越ようとしているのではないかとすら感じさせる現象である。

これは一昔前、インターネット・ミームとして話題になった『ネコと和解せよ』の画像に通じるものがあるのかもしれない。

画像4


もちろんこれは「神」という文字の一部が消されて「ネコ」になっただけの、単なるジョークの類に過ぎない。

しかし私たち人類は、現在のこの地球上の頂点に立っている種族だと思い込んでいるが、実はそれは大きな大間違いで、ネコこそが、あらゆる生物の最上位に君臨する、神と同等の存在なのではないかということを、常に忘れてはならないのである。

ハンターの描く抽象画は、その事実を、婉曲的にわれわれに訴えかけているのかもしれない。



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
15
現代アートが大嫌いなので、ほぼ毎日、現代アートに関するnoteを書いてます。 連絡先⇒ngart2020@gmail.com

こちらでもピックアップされています

現代アートの脆弱性シリーズ
現代アートの脆弱性シリーズ
  • 27本

「現代アートは、現代アートであるがゆえに脆弱である」 この信念を元に、あえて独断と偏見と悪ふざけを交えた批評や、本来は現代アートとして認識されていない人物を、むりやり現代アート作家として論じるマガジン。 遊び心が行き過ぎて、ただのアイロニー、もしくはペダンティズムにしかなっていない雰囲気が満々だが、そこはご愛敬ということで。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。