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RESONANT (RESN)ってどんな会社?

今年に入り、株価が急上昇している5G銘柄があります。聞き慣れないResonantという会社です。この会社がどんな会社か、9月に発行されている投資家向けプレゼンテーション資料、1/11に行われたカンファレンスコールの内容をもとに見てみたいと思います。

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年初来の株価はこちら
比較対象
 赤:QQQ
 紫:ARKK
 黄色:QCLN

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事業概要

時価総額:287M
本社:テキサス州オースティン
IPO : 2014年

製品・サービス

無線のフィルターデザイン用ソフトウェアとレゾネーターが主力製品

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これから5Gの時代が来る。現在初期DeploymentのWave1にいると認識している。現段階では、まだインフラ投資が追い付いていない状況で、端末レベルでフルに5Gのパフォーマンスを享受するところまでは来ていない。今後数年でWave2と呼ぶ5Gのパフォーマンスをフル活用できる時代が来る。その時代にパフォーマンスを最大化する無線フィルターが必要になる。


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フィルターデザインソフトのISN。これにより、ソフトウェアでのシミュレーションで設計を行う部分が増えることにより、開発期間短縮・コスト削減につなげる(試作の回数を減らせるということかな?)

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5Gスマホ用のレゾネーターであるXBAR。3-7GHZで動作、これは従来の4倍の帯域で動作。4Gのタイプの改変でも対応できるがパフォーマンスを犠牲にすることになる。5Gの通信速度を最大限生かそうとすると5G用の新規設計が必要となる。

Resonantは300以上の特許を出願、取得している。これは昨年に比べて50%増加している。このうち150が5G, XBAR、高周波数で利用する特許。

WiFi6, 5Gの共存。5G 3.3-5GHz WiFi6 5.1-7.1GHz。高品質なフィルターがないと、干渉によりパフォーマンスが低下する。現在5GではSpecificなバンドしか使われていないが、本格展開されるWave 2でサブバンドも使うようになった時でもすべてのバンドで動作するフィルターが必要となり、Resonantであればそれを実現できる。他社の場合、必要となるすべてのバンド(あるいは複数バンドずつ)でそれぞれフィルターを設計する必要がある。

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2018初頭デザイン
2019初めのWMCでデモ
2019年末初の契約 =>村田製作所

4 deviceのデザインを契約
契約により、4.5Mを既に受け取っており、残り4.5Mをプロジェクトの進捗とともに受け取る予定

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RF FIlter市場は 9Bから15Bに増加する

ロイヤリティ製品のタイプ
1) カスタムデザイン
2) 既存デザイン
3) 顧客に対してFoundry Partner含めた製造支援

課金の方法
1) Per unit loyalty model
2) Pre paid loyalty + Follow up loyalty
3) Fully paid up license

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村田製作所の株主説明会でResonantが提携先として記載されています。

7デザインを今のところ提供している。このデザインは2021年に売上となって認識される。これは、売上となって認識される期間が以前は20-40か月かかっていたのに比べて20か月以内となる。既にこれは支払いを受け取っている。

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村田のフィルター、モジュールに採用。伸び行く市場の中で村田はトップシェア。

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財務状況

まだ売上が全然立っていない状況で開発費用で赤字の状態が続いています。カンファレンスコールでは25Mの売上でBreak Evenとなると言及しています。

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直近八期の売上はこちら

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雑感

村田製作所の契約獲得は既に夏頃にわかっていたニュースですが、実際に売上が入り、Q4は6.9Mのレコードセールスとなるというニュースが流れたことなどにより、最近株価が急騰を開始した様子です。

リスクは村田製作所への一社依存になっている点です。村田製作所が内製に切り替えた瞬間に他の顧客がいないと終了してしまうので、村田製作所以外のビジネスを今後どのくらい積み上げていけるのか、注目したいと思います。ただ、村田は株主総会でキーパートナーとして発表しているくらいなので、直近で内製に大幅切り替えするというシナリオは可能性としては少ないのかもしれないとは感じました。内製に切り替える前提で、最初のお勉強用に契約しているのであれば、わざわざ株主総会で発表などしないのかなと思いました。

Yahoo FinanceのRev forecastを見ると2021年 9.38Mとなっています。

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数字の遊びで、何となく売上予測してみたのですが、

・村田製作所との最初の契約 9M (4 design)の残り半分
・現在取り組んでいると言われている7designで売上額が言及されていない3 design分(1 design単価を9M契約と同じ比率で計算)
・Q4で村田製作所以外の売上2.4Mあったことから、Quarterごとに同様の売上が計上できたと仮定
・全部足すと20.85M

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村田との契約は単価が下落している可能性もあります。また村田以外がたまたまQ4は売上があったが、今後はそんな売り上げが望めない可能性もあります。村田との契約形態が明らかではなく、村田の製品の出荷数の伸びに合わせてライセンス料が入るのかどうかはわかりません。もしそのような形態をとれているのであれば、5Gの普及に合わせて徐々に村田からのライセンス料も積み上げていくことが可能になると思われます。CEOは5年くらいのスパンで100M規模まで行きたいというようなことを言っているので、このくらいは期待したいところではありますね。

5G x 半導体というマクロトレンド、パワーワードに乗って、どこまで株価を伸ばせるでしょうか。




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