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英語流のアウトラインは、科研費申請書にも使える(3/3):この「型」にこだわる理由

 前回、英語流のパラグラフの構成について図で解説しました。

 英語流のアウトラインは、日本ではあまり教えられていないようです。なぜなのかは知りません。大学において、英作文関連の授業では教えられていますが(当方も学部時代に習いました。1講座だけですが。あとは英語圏の大学院に留学した際の事前講座)、あくまでも「英語で書く」という文脈においてがほとんどのようです。繰り返しになりますが、英語流のアウトラインは、実務的な文書を書く上で役に立ちます。日本語でも、です。日本語のニュース記事なども、構造は英語のアウトラインに近いです。限られたスペース(文字数)で必要な情報(5W1H)を正しく、そして速く伝える上で有用だからです。

 ちなみに、文章を書く上での「型」として日本人が真っ先に思い浮かべる起承転結については、野口(2002)や黒木(2011)は勧めていません。私もまったく同感です。起承転結については、国語の授業で習いましたが、起源は漢詩であり、そこから転じて物語の型となったため、事実を端的に伝えることを目的とする実務的な文書には向いておらず、「文学的エッセイで用いられる形式」(野口2002:95)です。

 実務的な文書に文学的な「転」が入ると、木下(1981)言うところの「逆茂木(さかもぎ)型文章」(1981:78ほか)になってしまい、読み手はつまずくのです。木下も、「原著論文の伝統的な構成」には起承転結に似たところがあったものの、人はどんどん忙しくなり、「重点先行主義」(1981:31)になったとしています。1981年と比べ、現代の世の中は加速度的に忙しくなる一方ですので、後ろが重たい書き方は文学的な文章を除いては、読まれなくなると考えた方が良いでしょう。

 起承転結を実務的な文書に使わないなんて、当たり前じゃないかと思う方もいるかもしれません。しかし、木下や野口、黒木のような一線の研究者が、一般書とはいえわざわざ書いているところを見ると、型=起承転結の陥穽にはまってしまう人は学究の世界にも少なからずいるのかもしれません。

 なお、実務的な文書の「型」としてはこのほか、ビジネスの世界でよく使われる「ロジカルライティング」がありますが、理系の先生方が研究の申請書を書く上では、当方はお勧めしておりません。理由としてはまず、その手法を学ぶのに少々の時間を要することが挙げられます。さらに、自然科学的なものの見方や考え方に、「ロジカルライティング」がそもそもフィットするのか、判断がつきかねるためです。

 このように書くと、筆者(弊社代表の堀江)が英語流Academic writingの信奉者のように誤解されてしまいそうです。私は日本語で書き、且つ読むことを愛する者です。正直なところ、私個人も英語のAcademic writingの型を学んだときは、なんて退屈な構造なのだろう…と抵抗を覚えたものです。型に押し込められるような窮屈さを感じたからです。

 しかし当欄は理系研究者、特に書くことが苦手な方を想定しておりますので、競争資金が取れてナンボの世界。超多忙な査読者の目と頭に抵抗なく情報を滑り込ませ、申請者の研究計画が資金を拠出するに値するものであると理解してもらうためには、シンプルで直線的な英語のAcademic writingの構造はやはり有用であるという結論に至りました。

 また、研究者の宿命として、英語で論文を発表していくことが求められます。当然、同じ型に沿って書いていくことになりますから、その際にももちろん役に立つはずです。お手元にある、英語の論文にこの構造を意識しながら読んでみてください。かなり当てはまるのではと思います。

野口悠紀雄(2002)「『超』文章法」中央公論新社。
黒木登志夫(2011)「知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合」中央公論新社。
木下是雄(1981)「理科系の作文技術」中央公論新社。2017。

【お知らせ】競争資金対策・3月期
 誰にでも伝わる文書にまとめる「理系研究者のための文系伴走者」プロジェクト【3月期】を実施します。対象となるのは、4月中〆切の競争資金に応募する理系研究者の方です。
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Image by S. Hermann & F. Richter from Pixabay

ありがとうございます(^ν^)
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株式会社ポッセ・ニッポンによる、「理系研究者のための文系伴走者」プロジェクト。当プロジェクトのミッションは、文章で科学に貢献すること。https://www.posse-nippon.com/kaken