#66 拝啓、ピーマン。
拝啓、ピーマン。
私は小さい頃、あなたのことが大嫌いでした。
苦くて青臭くて、美味しくない。そう思っていました。
小学校3年生のころ、学校で野菜を育てることになりました。トマトとピーマンの2択。
もちろん、私はトマトの方が好きでした。トマトの苗が大きくなると森みたいでかわいいし、冷やしたトマトはさっぱりしていて美味しい。
でも、私はトマトを選びませんでした。理由は、
ピーマンを育てること=ピーマンが食べられる=大人♪
これが全てです。
そのとき、クラスの中でもピーマン嫌いが多数派で、ピーマンを食べられるとちょっと大人でみんなから一目置かれる傾向にありました。
私は人に褒められるの大好きマン。そして、目立ちたがり。一目置かれない手はありません。
あなたのことが苦手、いや嫌いなのにも関わらず私はあなたを選びました。
家に帰ってから後悔しましたが、あとから「やっぱりピーマン嫌いだからトマトにする。」など言えるはずもなく、私はあなたを育てる羽目になったのです。
育てている時もあなたの青臭さには悩まされました。しかし、私なりに頑張って育てました。
そしてある程度の大きさになった頃、私の先生は「育てた野菜を収穫してお家で食べてみましょう。」と言うのです。
ついに来たか…と私は覚悟を決めてあなたを収穫しました。家に持ち帰ると母が作ってくれたのはピーマンの肉詰めでした。
私は、肉だけを食べたい気持ちでいっぱいでした。しかし、まぁまぁ真面目な私はちゃんとピーマンの肉詰めをピーマンの肉詰めとして食べたのです。
口に入れた瞬間あなたの味が口いっぱいに広がります。
あぁー、えっと…美味しいかも?
私は知らなかったのです。あなたの美味しさを。
なぜあなたは私が9歳になるまでずっとあなた自身のおいしさを教えてくれなかったのですか?
あなたは美味しい!笑
それから私はピーマンが好きになりました。
ピーマンのおひたし。ピーマンを焼いただけのやつ。
いろいろ食べてきました。だけどやっぱり1番は母のピーマンの肉詰めです。
あなたは美味しいです。これからもよろしくお願いします。
と、野菜室に入っているピーマンを見て思うのでした。
以上です笑
今日も読んでくださってありがとうございました!
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