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不思議の国のビスケットブラザーズ

noteと聞いております~!

先日ビスケットブラザーズがオールザッツで優勝しまして、
私の知っているだけでも賞レース四冠です!
おめでとうございます!

それはそうと、私はずっとビスケットブラザーズって不思議なコンビやなと思ってました。

不思議その1:全て思い出せない

とりあえず、2019年のキングオブコントのネタがもう1回見たいです。
私が初めて彼らを見たのが、2019年のキングオブコントでした。
悲しいことに、「全て思い出した!」と勢いよく言っていたこと以外、
ネタの内容が記憶から抜け落ち、
ただただおもしろかった衝撃だけが残っています。
私はあんなにおもしろかったネタが思い出せないことが、悲しくてしかたないのです。

他の芸人さんでおもしろいと思ったネタは
大体誰かにネタの内容を話せるので、
こんなに思い出せないことはありません。

その後も彼らのネタはいろいろなテレビ番組で見たと思うのですが、
合わせて200kg超の2人に、爆笑で頭を殴られ、
その幸せな衝撃以外あまり思い出せないのです。

不思議その2:気持ち悪くない

昨年彼らが優勝したキングオブコントのネタは、
2本ともYouTubeに上がっているので助かっています。
「キラキラリン」と「きんさんが可愛かったこと」が
爆笑とともに脳裏にしがみついているのですが、
原田さんがブリーフ姿の変態で、
きんさんが女の子or子どもっていうのが
彼らのネタでは割とデフォルトだと思います。
原田さんもしばしば女の子になりますね。
でも、不思議と全然、気持ち悪いとか思ったことがないのです。
オールザッツの決勝では王様が風俗に行くネタでしたが、
いやらしさも全然感じなくて、おもしろくて笑える。
むしろ可愛いし、どこかかっこいい。

不思議その3:切ない

この前、初めて見たネタがありました。
劇場で見たネタなので内容は書きません。
登場シーンからおもしろすぎて爆笑でしんどかったですが、
ラスト、ハッピーエンドなのにちょっぴり切なくなりました。
他のネタもそうなんですが、いつも泣くほど笑ってしまうのに、
どこか切なさや悲しみのようなものが残ります。
繊細な感情とは無縁であるような豪快さをみせながら、
哀しみとか懐かしさとか、不安定な感情がたゆたう。
それが不思議でならなかったのです。

私が出した答えその1:ファンタジー

彼らのネタはファンタジーです。
出囃子の「Cartoon Heroes(Aqua)」の歌詞がしっくりくるのですが、
2人の、誰かの、もしかして私の、幻想の中にいるようです。
私は、ドラマでも漫画でもお笑いでもそうですが、
これは誰かの妄想だなと強く感じると冷めてしまいます。
作り話は、設定を理解させるための説明がどうしても多くなるので、
内容と私との間に空間ができるというか、一歩引いて見てしまいます。
でも私は、ビスケットブラザーズのネタでその感覚を味わったことはありません。
彼らのネタは私にとって、童話です。
もしくは、少女漫画が嫌いだった私が夢中になったギャグ漫画です。
いつかの夢、狭い部屋での幸せ、校庭を見ながら想像した世界の延長にあるから、
気持ち悪く感じないのかもしれません。
そしてその世界が目の前に現れたとき、
私はその世界に連れ込まれ、戻ったときに記憶を失っているのかもしれません。

私が出した答えその2:言葉が武器

コントにはインパクトのあるキャラクターが登場します。
でも、その武器はビジュアル以上に、台詞だと思います。
ネタが覚えられない原因の1つだと思いますが、
ときどき、現実みのある言葉の、意味のない羅列があっておもしろいです。

散々想像の作り話だと書いておきながら、
まったく真逆で、全て「本当である」可能性を感じています。
だって、ファンタジーの常連、
ドラゴンや魔獣みたいな空想上のものは出てこないでしょう。
セーラー服にブリーフ姿で野犬と戦う男性は、
見たことがないだけで、存在し得るのです。

そう思わせてくれるのが、台詞です。
セーラー服ブリーフツインテールがこぼした
「まだ奨学金が残っているのに」
という台詞を、笑えるパワーワードで片付けることは、
私にはできません。

ビスケットブラザーズのネタを見ると、
登場人物の過去や未来、
コントで切り取られた前後の人生を、
想像してしまうのです。
そのときにどこか、切なくなるのかもしれません。
そして、この切なさこそが、
作り話と私との隙間を埋めているのだと思います。
リアリティのある言葉選びを介して、繋がっているのだと感じるのです。

まとめにかえて

私は「おもしろい話」を組み立てるとき、
楽しい笑いを原点にすることが多いです。
もしくは、失敗とかチクッと気になったこととか、
いずれにせよ、これを共有して笑いたいという感情から始まります。
でもビスケットブラザーズはもしかしたら、
哀愁とか、まだ言葉として自覚できないもの哀しさを出発点にしているのかもしれません。
その発露がファンタジーであることで、
手放しで笑えるコントになっている。
私はこのように考察しました。

私は基本的に、お笑いはネタしか見ません。
でもやっぱり好きな芸人さんになるとラジオとかYouTubeとかも気になってしまうわけで。
彼らの頭の中を知りたいと思いつつ、
ずっと私にとってのファンタジーであってほしいなとも思うのです。
もしかしたら今、どのアイドルよりも私生活を知りたくない人たちかもしれません。
それでは、さよーなら!
た、コ、焼、ki!

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