未曾有の事態とその先
「COOL BEAUTY TOUR 2020-2021」と題した全国ツアーはことごとく延期。
スケジュール通りなら今月末からのツアーに向けてリハーサル、新曲レコーディングとバッタバタな毎日を過ごしていた。
そもそも私生活と趣味と仕事が全て''音楽''で構成されたライフスタイルを送っている僕からしたら、ツアーがないとかレコーディングがないとかMV撮影がないとかは異常事態。
連日各ツアー先と連絡を取り合って、収束するか分からないタイミングにまた延期日程を置きそしてチームと呼んでいるメンバー・音響・照明・カメラ・スタッフたちに再度スケジュールを取っている。
ここだけ見たら本当に災難。
ただ、わりと救われていることがいくつかある。SNSの普及のおかげで配信を使って毎日2時間話している。
30日連続、しゃべり続けて60時間を超えた。
これがなんだか意外と功を奏してPortoneonを知ってくれている人がじわじわ増えている。
芸人になりたいわけではないが、なんだか面白いと言ってくれる方が増えた。
こんな事態が起きていなかったら絶対やっていなかったことだ。
そもそも、音楽をやる側の言い分は冷静に考えたらとても無茶苦茶だ。
「お金とかはお支払い出来ないのですが、よければ愛を込めて応援してください。あ、あとよかったらチケットやCDも買ってください。心は満たすようにするので、できたらあなたの1番になれたら嬉しいのですが。。」
これがまかり通る不思議な世界。
これを毎日配信で話して、毎日視聴者...うーん、小生意気にいえばファンの方々と話していて痛感している。
どんな感情バランスで成り立っているか解明不可のこの現象で僕は生活している。
とってもありがたい。本当に。
このことについてのありがたみを日々考える時間も増えた。
特別僕からあなたに何か出来るわけでもないのに、「音楽が好き」とか「パーソナリティ」とかそう言った見えない線引きの中で生かしてもらっている。
年間何億も稼げるトップアーティストでも何でもないけれど、特に不自由なく暮らせているのはこの画面の向こう側で2時間じっと僕の話を聴いてくれている方々やそれ以外でもPortoneonを聴いてくれている方々のおかげ。
なんならここにきてまた物販がオンラインで毎日売れている。なんてことだ。
これ、勘違いしてほしくないのはお金の話がしたいんじゃなくてむしろ逆。
こういった要素を踏まえて、音楽について考える時間が増えた。
今、Portoneonは新しい曲を作っている。
1日1曲ペースで書いている。
配信で話し終わったらシャワーを浴びてギターを手にして机に向かう。このルーティン。
これは飲食店が日々試行錯誤しながら、お客様に対して常に新しい満足度を追求することと同じ。
「COOL BEAUTY」という作品が完成した時に、全才能を一旦使い果たしたと思った。
ただまたすぐに書き出して思ったのは、煙を吹くほど1曲に対して向き合える時間が幸か不幸か今。
自分が知らなかった才能が開花した気がする。
自惚れるなと思った方、ごめんなさい。
こういうのは自分の尺度なので、本当にそう思っている。
「不在票配達員」とか「幽霊になった君とまたキスをする」みたいな楽曲で自分がギタリストの枠組みではない気がした。
そういえば昔、信頼してる人にそんなこと言われた。
「君はギタリストじゃなくてプロデューサーに近いよ。」
あの時結構まじか。と思ってしまっていた。
ギター大好き少年がギターで認められていない気がした部分もあったからだろう。
それは誤算だった。
ギターは変わらず好き。むしろその好き具合やこだわりは年々増している。
でもそれと同時に''楽曲''という作品の工程で不要ならギターは除いても良い。
こだわりがあるから場合によってはいらない。
ここにこの期間でたどり着いた。
今日書いた曲がまさにそれ。
ギターもベースもドラムも不要。現段階でだけど。
僕の中で不可欠な楽器は歌とピアノ。
ピアノはすごい楽器だ。弾けないけど、あれほどその人の感情が乗り移る楽器は他になかなかないと思っている。
実際ピアノ弾き語りの海外アーティストをかなり好んで聴く。
歌が身体。ピアノは心臓。
このイメージ。
ここが新しい気付きであって真骨頂な気がする。だから次の作品の中で、もしかしたらギターのない曲もあるかもしれない。
それは作品に対するこだわり。
全然それでもありだと思えるようになった。
この辺がもう少し先で折り合うのがきっと次の作品だと思っている。(もちろんギター入ってる曲ももう作ってる)
話を戻して、この期間を通して配信とかで観てくれたりそのほかの要因でPortoneonを好きになってくれたり多種多様な方々をさらに満足させるための方法が色々浮かんでいる。
この奇妙なバランスでどこまで生きていけるか。この次の作品を出し終えた時にこれを奇妙と呼ばず「そらそうだ。」と言い切れるのか。
これが、あなたに対するありがたみの解答だと信じて期待を必要以上にかけてください。
いつもお付き合いありがとうございます。
ただ本当に感謝。
そういう記事です。
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