投資とは?リスク?キャピタルゲイン?コモディティ?【簡単に】
「投資」と聞くと、何となく危険なイメージを持っている人がいたり、何となくお金持ちがするイメージを持っている人がいたり、何となく難しいイメージを持っている人がいたりと様々ですが、
そもそも「投資」とは何なのか。
0. 「投資」とは、
1.収益(①利子、②配当、③賃料収入、④キャピタルゲイン)を
2.受け取ることを期待して、
3.資産(ⓐ金融資産、ⓑ実物資産)を購入すること、
を言います。
巷では、「投資」と「投機」の違いがネタになったりしていますが、少なくとも経済学上、これらを区別して議論することはありません。
1. 「収益」について
「収益」には、①利子、②配当、③賃料収入、④キャピタルゲインの4つの方法で受け取ることができるとされています。
④キャピタルゲイン、
①~③をまとめて、インカムゲイン(Income Gain)、
と言ったりできます。
2. 「受け取ることを期待して」について
2.1. 要件の意味
この「受け取ることを期待して」という要件は、
「投資」の本質的な要素かもしれませんが、
この要件は、得てして「資産」が「収益」をもたらすことが確実ではなく、
その「収益」にも幅があるということを暗に意味しています。
つまり、「収益」の幅とは、いわゆるハイリスク・ハイリターン(high-risk high-return)なのか、ローリスク・ローリターン( low risk low return)なのか等という「リスク」に関することを意味しているとイメージできます。
ただ、「収益」の幅について、
例えば、ある資産が、金融関係者からハイリスク・ハイリターンと評価されていたとしても、「本当にそうなのか?」「どのように判断しているのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。
つまり、「リスクをどのように判断するか」という問題です。
2.2. リスクの基準
当然、「株式」一つとっても、銘柄によって、「期待」できる収益は異なりますし、企業の規模や企業が無名か有名か等の基準で、幅を評価することはできません。
リスクを判断するために重要な2つの観点は、
1.期待収益
2.期待収益から大きく外れる可能性
です。
2.2.1. 期待収益
期待収益とは、資産がもたらす「収益」が、高収益となる場合と低収益となる場合の平均、といえます。
例えば、100万円の時計が、将来60%の可能性(期待値)で150万円となり、40%の可能性で120万円となる場合、
・60%の可能性で50万円の(高)収益(150万円ー100万円)
・40%の可能性で20万円の(低)収益(120万円ー100万円)
という収益を、その時計は、もたらすと言い換えられます。
そこで、
60%(0.6)✖ 50万円 +40%(0.4)✖ 20万円
=38万円
期待収益は、38万円ということになります。
2.2.2. 期待収益から大きく外れる可能性
(リスクの計算)
そして、どのようにリスクを判断するかというと、
上記の、「期待収益」から大きく外れる可能性が大きい資産は、リスクがあると判断することになります。
この「期待収益」から大きく外れるというのは、上記の例でいえば、収益がマイナス100万になるということのみならず、収益がプラス200万になってしまうことも含みます。資産全体を減少させることのみをいうわけではありません。
ですので、期待収益の等しい複数の資産のうち、
リスクの高い資産を好む「危険愛好的投資家」
リスクの高い資産を嫌う「危険回避的投資家」
期待収益が等しいなら無差別の「危険中立的投資家」
の3パターンが存在します。
基本的には、多くの人が、「危険回避的投資家」かなと思われます。
この点は、行動経済学における「回避」の考え方が参考になります。
もし、経済学部とかで行動経済学を学んでいる人ではなく、
単に、行動経済学的なことを優しく知りたい方は、この以下の本がおすすめです。参考までに・・・
2.2.3. 注意点
このリスクの考え方は、リスク(risk)を、日常語の「リスク、危険」と置き換えて考えると、勘違いを起こす人がいます。
仮に置き換えるとしたら、このリスクは、不確実性( uncertainty)と考えた方がいいかもしれません。
例えば、
・50階建てのマンションの屋上から、地上に飛び降りる場合
・学校の3階のベランダから、地上に飛び降りる場合
上記の2つの場合、リスクは大きいでしょうか?
正解は、マンションの例は、リスクはゼロとなるでしょう。
なぜなら、50階建てのマンションの屋上から、地上に飛び降りれば、確実に死にます。不確実性はないわけで、
上記の用語に当てはめれば、
「期待収益」=死亡
に対して、
「期待収益から大きく外れる可能性」=生存
ということになりますが、50階建てのマンションの屋上から、地上に飛び降りれば、生存する可能性は、ほとんどありませんから
リスクはゼロ(小さい)ということになるのです。
3. 「資産」について
「資産」の捉え方は、まず、上記ようなリスクの観点からの捉え方があります。つまり、「資産」を、リスクの大きい資産とリスクの小さい資産といったようにとらえていくという方法があるということです。
しかし、「資産」の捉え方は、リスクの観点だけではありません。以下の3つの観点からの捉え方が、「資産」の評価には重要です。
つまり、その「資産」が魅力的なのか、という判断に当たって、以下の3つが重要ということですね。
1.「資産」のリスク
2.「資産」に対する税法上の優遇の有無
3.「資産」の流動性
3.1. 「資産」のリスク
「資産」は、その特徴ごとに、様々に区別することができます。
そして、その特徴は、期待利益の算出やリスクに直結する、又は期待利益やリスクと相関が生じることがあります。
例えば、「資産」には、金融資産(手で触れられないもの)と実物資産(手で触れられるもの)の区別があります。
具体的に、株式は、株券をイメージすると実物資産となりそうですが、株式投資は、株主たる地位(手で触れられないもの)を購入しているので、金融資産の例ということになります。
他方、コモディティ投資などは、実物資産を購入しているともいえます。
このように、金融資産を(収益を受け取ることを期待して)購入することを「金融投資」といい、実物資産を(収益を受け取ることを期待して)購入することを「実物投資」といったりします。
この点、例えば、実物資産に対する投資である実物投資は、インフレ傾向のある状況下では、投資対象である実物資産の価格が、得てしてインフレに従って上昇するため、インフレの状況に従った利益を予測しやすい(=リスクの小さい)「資産」といわれるわけです。
このように、当該「資産」のリスクの観点から、当該「資産」が、魅力的かを把握することができるわけです。
3.2. 「資産」に対する税法上の優遇の有無
多くの国において、特定の「資産」に対する税制上の優遇がなされることがあります。
例えば、日本では、株式によって生じた配当に対して20%の課税がされるわけですが、この課税は、配当額が1億であっても20%なわけです。
サラリーマンが、必死に働いて1億稼ぐと、課税によって約40%以上が収税されてしまいますから、日本における株式という「資産」に対しては、税制上の優遇があるといっていいでしょう。
このように、税制上の優遇の有無の観点から、当該「資産」が、魅力的かを把握することができるわけです。
3.3. 「資産」の流動性
「資産」の流動性とは、資産を現金に交換する際の容易さを言います。
言い換えれば、その「資産」を、どれだけ簡単に現金にできるか、ということですね。
例えば、皆さんが、100億円のピカソの絵画を持っていたとします。では、そのピカソの絵画をすぐに100億円に替えることはできますか?
たまたま、隣の家のおじさんが、100億円で買ってくれれば、すぐにできるかもしれませんが、普通はそうはできません。
町の画商レベルでは、100億円の購入することも出来ませんし、100億円で購入してもらえないでしょう。多くの場合は、世界的に著名なオークションに出店する等するしかありません。
お分かりの通り、非常に手間がかかるわけです。
これは、家やマンションという資産も同じです。他にも、抵当権が設定された土地を売ろうとしたら、非常に手間がかかります。
このような手間のかかる「資産」は、非流動的な「資産」といえます。
ちなみに、非流動的な「資産」は、基本的に投資家に好まれません。
このように、「資産」の流動性の観点から、当該「資産」が、魅力的かを把握することができるわけです。
4.まとめ
今回は、「投資」について、概観しました。
本質的には、その投資対象である「資産」が魅力的なのか、という問題が、投資家にとって、自分の資産を増減させる重要なメルクマールになります。
投資家というと、なかなか遠い存在のように思うかもしれません。
しかし、魅力的な「資産」を、よくよく考え、熟慮のうちに、その「資産」を購入したら、その購入額がどれだけ小さくとも、その時から、あなたも立派な「投資家」です。
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