楽しみなことがあるとさびしいね。

　楽しい日が終わってしまうと思うとさびしい。
　だけどさびしい日もいつか終わると思うと少し楽しいのかも。そういうふうに考えたほうがいいのかも。

　どんなにつらくても少しの嬉しさがあるのは、そのつらさもいつか終わるから？　嬉しいときにもふとつらくなるのは、嬉しいときも始まったからには終わってしまうから。

　だからつらいときに笑ってもいいし嬉しいときに泣いてしまっても大丈夫。

　楽しいときにつらくなって嬉しいときに悲しくなって、もう全然自分がわからなくてだめになってしまったのかななんて言って、始まりも終わりも無いようなことを求めてしまうのがぼくらの性。

　まだ始まってもいないという一番やさしい恋。もうほとんど終わってるよという一番やさしい愛。始まってもいないのにこんなに恋していて、終わりだというのにまだ愛し足りない。

　恋に恋して愛を愛した。

　面白くもなくて笑えもしないから悪いといつも思ってるんだけど、そんなふうに、
　さびしいからさびしくない。
　つらいのはつらくない。
　笑いたくないなら笑わなくてもいい。

　何もない空洞を風が駆け抜けるだけ。
　生きたくなくても生きていていい。
　だめなあなたとわたしでいてもいい。