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髪色の話

日本だと、髪色を表すときには黒髪(又は緑髪)や茶髪、金髪のように「色+髪」で表すことが多いですよね。髪を染めている場合は、毛染め液や美容院で言われた色で答えるかもしれません。また、日本人の大半は黒っぽい髪を持つので、染めていない地毛を指して「黒髪」と言うこともありますね。

英語の場合もblack hair、brown hairと「色+髪」で表現することが多く、例外としては金髪を表すblond(e)がありますが、これは日本語でもブロンドと言うので日本人からすればとても覚えやすい表現です。というか、「色+髪」のパターンも、ブラックヘアー、ブラウンヘアーなど、すでにカタカナで定着しているような気もします。

一方、フランス語の場合は「髪+色」で表し、色の部分は普段使う色を表す単語以外にも、髪色を表すための単語があります。私が最初に学習したのは、大学の第二外国語としてフランス語を習っていた時でしたが、つい先日écrit(ライティング)の授業でクラスメイトのポートレイト(肖像、人物描写)を書く際に授業内で復習しました。

フランス語で髪色を表すと

  • 金髪→les cheveux blonds

  • 栗色→les cheveux châtains

  • 茶髪・褐色の髪→les cheveux bruns

  • 黒髪→les cheveux noirs

  • 赤髪(赤毛)→les cheveux roux

  • 灰色の髪→les cheveux gris

  • 白髪→les cheveux blancs

です。髪は基本的に複数形で表すので、全部複数形で書いています。灰色、白以外は髪色専用と言っても良い単語です。brunは瞳の色にも使えます。

フランス人は地毛が茶色っぽい人が多く、栗色は日本だと「茶髪」にまとめられそうですが、フランス語でははっきり区別されています。ちなみに日本語では栗色と訳すchâtainは茶色にやや金色が混ざったような色(黄土色?)なので、鬼皮のついた栗を連想すると茶髪の髪色になってしまうので注意してください。

復習が終わった後、フランス人の先生が各生徒に「あなたの髪は○○色だと思う」と教えてくれたのですが、私はbrunとのこと。クラスメイトの中国人や日本人がnoirと言われる中(確かに綺麗な黒髪でした)、クラス内の東アジア系で唯一のbrun判定でした。ちなみに私は生まれてこの方、髪を染めたことがありません。面倒なので……。染めたことがないという意味では「黒髪」です。

枕元の蛍光灯の下で撮影。
暗めの部分もどう見ても黒ではない。

ちなみに、brunは幅広く暗めの髪色を指します。そのため、黒髪でもbrunと言われることもあります。これに関してはおそらく、noirに対しあまり丁寧でないという感覚があるからだと思います。直接的に人に対してnoirは使えないのでご注意ください。

さてさて、このbrun判定に私自身、身に覚えがあるかないかといえば、十分すぎるくらいあります。なにせ両親共に地毛の髪色が茶色がかっているので、その間に生まれた私ももちろん茶色っぽい髪色。ついでに顔の横など一部が他の部分に比べてワントーン明るかったりします。

明るい横髪を少しわかりやすく撮るとこんな感じ。
これでも幼少期よりは落ち着いた……。

ちなみに目の色は焦茶色で、肌の色はやや濃い目なので、私は特別色素が薄い人間ではありません。というか、髪を除けばむしろ色素濃いめだと思います。

となると、日本での学校生活で面倒だったのは頭髪検査。特に私の場合、髪が茶色がかっているとはいえ、色素が薄い子のように明らかに茶色いかと言われるとそうではなく、全体的な色味は地毛証明が要るか要らないかの瀬戸際で、先生によって判断が分かれます。しかも天然のメッシュが入っているので、これまた説明が面倒。

幸い、中学校に関しては小学校からこの面倒な髪色について上手いこと伝達されていたようで、特段何か言われることはありませんでした。他の生徒も大半顔見知りなので、私の髪色を特段変わっているとは思っていなかったと思います。

問題は高校。入学式の際は先生たちからは特に何も言われず、地毛証明も必要ないと言われたのですが、数ヶ月後の頭髪検査で「明るいところ切ってきて」との指示が。

いや、地毛だが?染めたわけでも、ドライヤーで変色したわけでもなく、根本からして明るいんだが?

ちなみに検査後教室に戻って担任の先生に言えば「うーん、地毛だよね……」と検査結果に首を傾げていたので、先生ごとに判断が分かれる結果でした。ちょうど頭髪検査の日がよく晴れていて、明るい自然光に照らされた廊下で行われたので、余計に茶色く見えたのではないかと思います。

とはいえ、茶色い部分を切るわけにもいかないので(なにせ横髪の一部がごっそり消える)、母親に言えばすぐさま学校に電話をかけていました。「地毛です。遺伝です。なんならアルバム持っていきましょうか?あと私の髪の毛見ます?」と。この話を知った父親も少々キレていました。後日、長年通っている美容院にこの話をしたら「これは天然だからね……何かあったら地毛証明出してあげるからね」と言われました。

ちなみに当時の母親は白髪が少なく白髪染めをしていなかったので、髪色は地毛のまま。私と同様、母親も顔の横の髪色はワントーン明るいです。多分父親も大分白髪が増えてきたとはいえ、もみあげを伸ばせば他の部分に比べてワントーン明るいのがわかります。

そう、完全なる遺伝。

というわけで検査結果はチャラになったわけですが、以降やはり頭髪検査の日は妙な緊張感があったので、「頭髪検査消滅しろ」と常に思っていました。日本人の髪色が黒って誰が決めたよ……こちらはフランス人判定でも褐色/茶髪だぞ……。

まぁ、毛染めすると手入れが面倒なのはもちろんのこと、染めたばかりだと色落ちして、体育等で不意にぶつかった際に相手の服や道具を汚しかねないので、身体接触の多い高校までは毛染めしないのが無難な気はします。もちろん黒染めも反対。数年後の母親が初めてセルフ白髪染めトリートメントをした日、枕に敷いていたタオルにまだらに色がついていて、こんなにも色落ちするのかとびっくりしました。なんで色々汚れるのにわざわざ黒く染めさせるのかわからない……。

とまぁ、最後は話がやや脱線した気もしますが、髪色の表現がフランスはちょっとユニークで、私の髪色はフランス人が見てもbrunだったという話でした。
度々話題になる変な校則に関しては、早く無くなることを祈っています。

トップ画像はみんなのフォトライブラリより。
素敵なイラストを投稿してくださった方、ありがとうございます。

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