議事録を作成する業務

1. 作成方法(+課題)

会社の経営層の会議が月に1回開かれる。その時に議事録を作成しているが、議事の記録というよりも、会話の記録になっていることが、
今の会社に入社してからずっと気になっている。

3時間半ほど、グループ子会社の代表、部署ごとの管理職が発表資料に沿って発言し、それに対して役員が質問をしたり、議題に対して決定事項を決めたり、todoを確認したり。
ここはどの会社もこのように議事進行していることが多いかもしれないが、
本当ならば、事前に配布した発表資料に目を通し、議題を事前に参加者に共有するくらいの準備がほしいと思っている。

ただ、現在はそうではないので、当日出た質問やtodoがわかるようにはするものの、どんどん会話を記録している。
そのため、絶対的に記録が追い付かなくなる。
遠隔地からの参加者もいるし、コロナ感染防止対策の一環として
ZOOMでオンライン会議なので、動画を録画しておいて何度も聞き返しながら会話録を作成する。
初校完成まで2営業日×3名:ほかにも仕事はあるため、集中して取り掛かることができない。

課題

  1.  作成する文章はA4 50ページ以上になる。作成する方も読む方も大変。(参加していた管理職や役員にも発言を修正するためにチェックする負担がある)

  2.  会議時間3時間+(会話録作成時間:1人約3時間×3人×2日間)=約21時間もかけている。

  3.  複数の人が初校作成にかかわることにより、担当部分ごとに表記ゆれ、表現の不統一感、力量の差が出てしまう。

  4.  2日間、誰かが休むと残りメンバーの負担が大きくなってしまう。

2. 改善提案

  1.  文字起こしをAIに託す 議事録作成ツールはずいぶん前から見かけていた。1年前にも有料のソフトをお試ししたことがあるが、精度がよくない。単語の読み取り、文章の流れ、段落わけもできないし、もっとお金かけたら精度がいいソフトがあるかもと言われたが、お金かけても役員の承認が下りるとは思えず断念したことがあった。文字起こし精度はまだ日々進化していて、今回2社トライアルさせてもらったが、1年前の会社より断然よかった。これなら撮った会議動画を読みこませたら、5分から15分程度で数時間の文字起こしが一瞬で終わる。

  2.  会議参加者の意識変革 正直、これが難しい。文字起こししたものをそのまま議事録、会話メモにすることはできない。話の流れや議題、結論、ToDoが埋もれているし、話は前後する。社内用語や一般的な使い方をしていない略語などは、変な単語に変換されている。どんな話をしたのかは、文字起こしの単語が多少おかしくても、AIが起こした生データで満足してもらいたい。そして、人が手をかける部分は、会話の中の

  • 議題ピックアップ

  • 決定事項

  • ToDo

上記をまとめること、ここに集中できれば、
おそらく当日に議事録は完成する。・・・というか当日に完成させて、
業務を翌日まで引っ張りたくない。

この2点は、まず議事録作成者の目標に議事録を短時間で仕上げるということを入れて、評価項目とすることで、世の中に出ているソフトくらい使ってもいいよね、業務効率化するんでという大義名分を作る。

そしてトライアルをして比較検討するという名のもとに、
管理職・役員を巻き込んで、
全員にシステムのアカウントを発行し、見てもらうことにする。
総務がやっている業務(他人事)ではなく、
自分たちの作業も効率化できることを意識してもらいたかったから。
比較検討すると打ち出すことで、どちらかを使うという
ツールの導入は前提感も出せた。
(もちろん、その前に取締役に根回ししておくことは重要!)

3. トライアル結果

 2つのシステムは一長一短があるように見えた。
A社:単語の文字起こし精度はB社に比べて落ちる。
  ただし、別の単語に置き換わらずにそれっぽい発音の文字になっている
  ので、正しい単語を推測しやすい。
  話者分離はB社よりもきれいにされているので、
  誰の発言がスタートしたのかわかりやすい
 
  AIによる文字起こしの画面と議事録作成エリアの二画面構成。
  これがかなり使いやすい。AIの文字起こし部分で単語が間違えて変換  
  されていても直せない。そこからコピペして議事録エリアで修正する
  仕組み。
  アジェンダを先に登録しておくと、会議中ワンクリックで、議事録画面
  に音声が紐づいていくので、あとから編集する際に頭出し不要。
  →これも、地味にというかかなり聞き直しのストレスを減らしてくれる 

B社:「あー」、とか「えーっと」などの話すときに出てしまう言葉は、
  文字起こししない。単語がA社よりも正確に文字化されている数は多い。
  一見、意味不明な単語に変換されていることがない分、綺麗に見えた
  が、例えば「売上が達成できないと・・・」という発言が発言者の
  話し方が聞きとりづらいと「リビングで水が・・・」というように、
  全然別の話をしているように整えられてしまい、この文章を見ると、
  本当は何の話をしていたのか、もう聞き直さないと皆目見当がつかなく
  なる。きれいにわかる単語に整えすぎだ…という印象を持った。
  話者は分離できておらず、誰がどこから話したかがわかりづらい。
  
  また、文字起こしした文章をそのまま編集していくので、元の文章は
  残らない。編集作業中に、カーソルがトップに戻ってしまうため、
  どこまで進んだか、一瞬見失うことが多々ある。
        動画そのものをそのまま記録として取り込んでいるので、
        まあ、どうしても聞きたいなら動画を見直してください、、、
        とは言えなくもない(わざわざ動画を見直すほどの余裕のある役職員はいないと思いますが…)。
  

一長一短と書いておきながら、私は完全にA社のシステム推しだった。
上司が交渉して、B社の方が月額料金を下げてきたが、それを理由に
こちらもA社と利用範囲を制限するなどして、B社ほどではないにしても、
相見積で極端な差が出ないように調整してからA社を利用したいという
稟議を申請した。

A社もB社もお互いをライバルと捉えているらしく、A社とB社がそのほかの
システム会社よりは、格段に文字起こし精度はいいとお互いに認識していた。
お互いにそう思っているならば、前年トライアルした会社よりも断然いいし、それ以上検証する意味は無いと判断。

そこそこの値段をかけてでも、人件費をかけて議事録を作成している以上、
人にはもっと違う仕事をさせたい。
すべて人の手で文字起こしする必要はない。

システムはツールなので、それぞれ使いやすいものを選択すればいいと思うが、ライバルと思う会社があれば、切磋琢磨して技術は進歩していくので
期待したい。
B社もA社の機能のよいところを実装しないのか?
と、相談されることが多いので、
開発中と言っていた。

今回、時間をかけてトライアルさせてもらえたおかげで
自分たちに合ったシステムを導入することができたと思う。

コスト削減のためと安い方を使うだけでは、当初の目的である
業務効率化ができない可能性がある。
目的は見失ってはいけないと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?