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母の日の仰天プレゼント

小学3年生ぐらいのとき、同級生の男の子が母の日にプレゼントをしようと思い立った。「母の日のプレゼントと言えば花でしょう」と思ったかどうか、とにかく近くの公設市場に買いにいったそうだ。

「きれいな花がたくさんあるけど、何がいいかな。やっぱりカーネーションかな」なんて考えたのかしれない。でも、彼が見つけたのは300円ぐらいの小さな花束。「お小遣いにもちょうどいいし、これにしよう。」

「お母さん、いつもありがとう!」。彼が差し出した花束を見たお母さんはびっくり仰天!だってそれは、黄色や白の花が小さく束ねられた、「仏花」だったのだから。

「確かに小さい花がたくさん入っていてきれいだもんね」とお母さんが言ったかどうかはさだかじゃないが、当時わが家でも大笑いしたエピソードだ。

でも、これに似た経験をわたしもしたことがある。

「先生、日本語を教えてくれてありがとうございました。手紙を書きました」と留学生が手渡してくれた封筒。「え、うれしい。ありがとう!」とその封筒に手を伸ばし、思わず目をむいた。

だってそれは、白と黒の不祝儀袋だったのだから。

せっかく手紙を書いてくれた気持ちを無下にしたくはなかったけれど、そこは心を鬼にして伝えた。「あのね、これはね、お葬式のときに使うんですよ」。

留学生はびっくりして、「すみません!知りませんでした。クールだと思いました」と言っていた。そうだよね、確かにシュッとした感じがかっこいい。このときも大笑いしたが、こういう習慣も留学生に伝えなければならないなと反省もした。

ふと思い出した、仰天プレゼントの話。でも、どちらも「ありがとう」の気持ちは伝わってるよね。


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