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ザ・プロム

豪華キャストで話題になった、Netflixオリジナル作品の「ザ・プロム」。配信が決まった時からそれはもう楽しみにしていたので、早速鑑賞。賛否あると思いますが、私は大好きな作品でした!

ミュージカル好きが好きな要素がいっぱい

煌びやかな衣装とセット、派手な演出、ダンスに歌、もうミュージカル好きなら絶対好きだよね!っていう要素がたくさんあってワクワク。オープニングもしっとり始まるんじゃなくて、早速フルスロットルで始まる感じも良い。タイトルカットがネオンっぽくなってる演出は全編通して使われているのですが、これもまた作品の雰囲気にあっている気がしていいんですよねえ。

キャストがみんな最高

メリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマン、アンドリュー・ラネルズの落ちぶれた俳優4人はみんなぶっ飛んでいて魅力的で最高!

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メリル・ストリープはさすがの貫禄で、かっこよかった…まだそんなに歌えるのか…と驚き。彼女が序盤に歌う「It's Not About Me」は私のお気に入りナンバーです。

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ジェームズ・コーデンは、コメディアンっぽいイメージが強かったので正直こんなに歌えてお芝居ができる人だとは思わなかった…

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この人、イギリス人なのにアメリカンアクセントめっちゃ上手でしたよね。普段、結構ゴリゴリのブリティッシュなのにさすが役者…私が知らなかっただけでトニー賞の受賞経験もあるそうで。すんません、今までなめてて…笑

ニコールキッドマンとアンドリュー・ラネルズはもっと見せ場があっても良かったのにな〜!ニコール・キッドマンは「ムーラン・ルージュ」以来の美声が聞けると期待していたのですが、いまいちパッとしない曲のみで…もっと歌って欲しかったなあ。

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(めっちゃ美しかったですけどね。)
アンドリュー・ラネルズは「Love Thy Neighbor」があるけど、まあそこだけだし…劇中通して影が薄いというか…活躍が少なくてほんとに残念。
物語のきっかけになるレズビアンの主人公、エマを演じたジョー・エレン・ペルマンは存じ上げなかったのですが、ナチュラルで透明感のある、でも意思がはっきりした魅力的な女性でした。歌も上手いし、変に肩肘はってない不思議な魅力がありました。メリル・ストリープやジェームズ・コーデンと並んでも遜色なかったですね。

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(恋人のアリッサと過ごしている時の笑顔よ…かわいい)

ケリー・ワシントンは、「ジャンゴ 繋がれざる者」でのイメージが強かったのでこんなに嫌な役もできるんだとびっくり。

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エリート思考のちょっといや〜な感じのPTA会長の雰囲気がうまかったですね。(日本でもいそうですね、こういう人…笑)

口ずさみたくなるキャッチーな曲

「It's Not About Me」や「Love Thy Neighbor」「Just Breathe」などなど、予告編でよく聞くナンバー以外にも良い曲がいっぱい!ベタなミュージカルらしいストレートな曲が多くて、これこれ!という安心感がある。ミュージカルって曲がしっくり来ないと、どんなにダンスが上手くて演出がステキでも楽しめないと思っているので、やっぱりそこは大事。もともとのブロードウェイ版から大きく変更する事もなく、でも映画らしい演出を足して良い感じに仕上がっていたと思います。さすがライアン・マーフィ。もちろん役者さんたちも上手い人ばっかりなのでどれも名曲に仕上がっています。ニコール・キッドマンにはもっと歌って欲しかったけど…(まだ言う)
サントラに全曲入っているのでいつでも楽しめますよ!

ストーリーは薄め&疑問もある

正直、テーマとしては扱いにくいよなあとは思います。「レズビアンのカップルがプロムに参加できない」「反対しているPTA会長はマイノリティ(有色人種)」「そのPTA会長の娘が実がレズビアンの子の彼女」「ナルシストな落ちぶれたミュージカル俳優たち(しかも1人はゲイ)」ちょっと要素盛りすぎでは?と思わなくもないけど、これが多様性ですかね。私がそのあたりの問題にかなり疎くて知識不足なのですが、最近アカデミーが発表した新しい選考基準みたいな違和感を感じなくはないんですが…でも、そもそもこういう「多様性」がなければ生まれなかった作品だと思うし、もとのブロードウェイミュージカルにはアカデミーの選考基準は関係ない事を考えると、これがスタンダードであって良いんですよね。ただ、ジェームズ・コーデン演じるバリーも実はゲイで、エマと同じ様に学生時代に辛い思いをしていたとか、メリル・ストリープ演じるD.Dが結婚生活がうまくいかず、実は寂しい思いをしているとか、ホーキンス校長がD.Dの大ファンで最終的には良い感じになっちゃうとか、ちょっとそこの要素はなくてもいいんじゃない?っていう寄り道が多々あって…そのせいでエマの真っ直ぐな気持ちや恋人アリッサの葛藤が霞んでみえたし、アリッサの母であるミセス・グリーンがなぜそんなにエマを邪険にするのか、そしてなぜ最後そんなにあっさり受け入れるのかもよく分からなかった…各シーンの演出はめちゃめちゃ良いんですけど、全体を俯瞰して見た時にずいぶん薄味というか、あれ?なんかまとまりないよね?という気持ちになってしまう。ラストは終わりよければ全て良し!って感じで締め括るので、「おお〜!」と満足した気持ちにはなるのですが、ちょっと経ってから疑問を感じるというか。
あとは、「プロム」が大テーマというのも、日本人的にはあんまりピンと来ないテーマかも。そもそもプロム文化がないし、プロムに参加できないって事がいかに大事件なのかっていうのも私たちの捉え方とは温度差がある様な気もするなあ。

とはいえ、やっぱりミュージカルは良い!

まあ、ミュージカルに関してはストーリーは二の次でも良いとは思っています。笑
私が好きな作品でいうと「ムーラン・ルージュ」「シカゴ」「ヘアスプレー」あたりがありますが、まあこれらもご都合主義というか、そんなにうまくいく訳ないだろう…という演出は多々。(特にヘアスプレー。笑)
なんだかんだ、ミュージカルは派手な演出と歌、ダンスが圧倒的であればなんとなく見れちゃうし楽しいっていうのが良いところでもあり悪いところでもあり。「RENT」なんかは登場人物も多いし、各キャラクターに事情があるけどうまくそれぞれを描きますよねえ。こういう作品はもしかしたら稀なのかもしれない。

ブロードウェイ版

本家のブロードウェイ版はトニー賞を受賞したのもあって、YouTubeでもパフォーマンス動画が上がっていたりします。映画と少しずつ違う部分もあったりするので見ていると面白いです。

来年上演予定の地球ゴージャス版

岸谷五朗&寺脇康文の演劇ユニット「地球ゴージャス」が来年、「ザ・プロム」を上演するそうで!主演は葵わかな。そしてなんとD.D役には大黒摩季、草刈民代、保坂知寿のトリプルキャスト!3人とものD.Dが見たい…個人的には大黒摩季が似合いそうな気もしますが…
岸谷五朗は、三浦春馬&小池徹平の名作「キンキー・ブーツ」で日本版の上演台本と演出協力と担当していたので、こういう作品をやるのはお得意なのでは?と期待しています。地球ゴージャス自体もいつも派手で華やかな舞台が多いし、「ザ・プロム」の世界観を再現するのにもハマりそう。来年4月5月頃の上演なので、その頃には何の心配もなく舞台に行けているといいんですけどね…


ザ・プロム

The Prom
2020年 アメリカ
監督:ライアン・マーフィ
出演:メリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマン、アンドリュー・ラネルズ、ジョー・エレン・ペルマン、キーガン=マイケル・キー、ケリー・ワシントン、他


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