見出し画像

読書家の僕がおすすめする教養の名著6冊

こんにちは。このnoteでは、僕がこれまで読んだ名著について紹介します。今回は、教養にまつわる良書を6冊取り上げます。

・学ぶことの大切さってなんだろう。

・自分の頭で考えることとはなんだろう。

 改めて、人間の土台になり、幅を広げてくれる教養を問い直したいと思います。教養やリベラルアーツの意義を語るうえで、古典から最新の本まで取り上げます。

1学問のすすめ(福沢諭吉)

 中学一年のとき、たまたま手にとった「現代語訳 学問のすすめ」を読んでみたら、心揺さぶられました。思えば、中学で勉学に励んだきっかけでした。

 明治の青年にベストセラーとなったのが、福沢諭吉先生の『学問のすすめ』です。有名なのは、その冒頭部分です。

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり。
されども今廣く此人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、其有樣雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや。

人は生まれながらにして貴賤貧富の別なし。
ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

 福沢諭吉は世間は皆平等といっているのではないですね。これからの時代は、学ぶか学ばないかで差が開く、と言っているのです。

 本書では、一貫して「実学」の意義を説きます。仕事や国家運営に役立てる学問のことを指します。『福翁自伝』では、儒学は親の仇だ、みたいな逸話もありますよね。

 章によっては、スピーチが大事とか、身なりが大事とか、人格や愛国心が大事とか、読んでみて印象が変わりました。

 前向きに好奇心をもって進歩していこう、とのメッセージ性が伝わります。中学生の僕も、ポジティブに受け取りました。


2仕事としての学問(M. ウェーバー)

  Wissenschaft als Beruf  (Karl Emil Maximilian Weber)

 およそ100年前、ヨーロッパの著名な知識人による講演の記録があります。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』でも知られる、マックス・ウェーバーです。

 講演は「仕事としての学問」と題します。学業を修了して、大学での研究生活に入って仕事することとはどういう状況になるか、を語ります。

 まず、ドイツの大学とアメリカの大学のシステムの違いをのべ、教員が専門家するにつれ、学問のあり方が変容していることを話します。当時大学はしだいに大衆化していきますが、教室で教員の立場を押し付けてはならない、と述べています。

 生計をたてるのにとどまらず、知性とは何か、学問に何ができるかを力説します。

 僕は大学院に入ったときに読み、多少なりとも実感を持ち得ました。西洋の思想が前提としてわかっていると、なお読みやすいと思います。


3ファクトフルネス (H. ロスリング)

   FACTFULNESS  (Hnas Rosling, 2018)

 2019年、世界でベストセラーになった本があります。

 タイトルは『ファクトフルネス』、副題は「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」とあります。ビル・ゲイツやオバマ元大統領も絶賛しました。

 本書の面白いところは何より、冒頭に読者に問いかける13の質問です。一部抜粋して紹介します。

質問1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう? A;20%、B;40%、C;60%
質問4 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう? A;50歳、B;60歳、C;70歳

 皆さんは何問正解できるでしょうか。ちなみに僕は9問でした。

 筆者はこれをチンパンジーテストと呼んでいます。TEDの講演でも、一流の知識人たちが世界のことを知らなすぎる、と皮肉っていました。

 なぜ人は世界を歪んだ目で見てしまうのでしょうか。著者は、陥りがちな思い込み本能を紹介します。例えば、

・単純化本能 「世界は一つの切り口で理解できる」

・パターン化本能 「一つの例がすべてにあてはまる」

などです。実際のデータをみることで、認識をアップデートしようと述べます。

 著者は、世界の所得をレベル1からレベル4にわけ、貧困や生活水準など、世界はだんだん良くなっているといいます。この主張にはさらなる検証が必要ですが(本当にファクトフルネスなのかなど)、事実にもとづく世界の見方を示してくれます。


4知的複眼思考法 (苅谷剛彦)

 研究にも、仕事にも、基本的なリテラシーが必要です。

 大事なのは、自分自身の視点より、「自分の頭で考える」ことです。考え方の様々なパターンを身につけるために、『知的複眼思考法』は特におすすめです。

 欧米の教育に関わってきた筆者は、正確に情報をつかみ、自分で論理の筋道をたてる意義を強調します。

 常識やステレオタイプにとらわれないよう、批判的な読書術、作文術を伝授してくれます。実際の文章を見ながら、行間や筆者のねらいをよみ、著者と対話することを学びます。

 そして、「問いをたてる」ことが出発点だといいます。一度立ち止まり、「どうなっている?」「なぜ?」と問い続けることで、多面的に物事を見る目が養われます。

 この本では、疑似相関を見抜く、抽象化する、関係のなかでとらえる、パラドックスを見つける、メタの視点にたつ、隠される問題を発見する、など知的複眼思考法を学べます。

 僕は大学一年のときに読んだのですが、確実にいまの自分に活かされています。何度も読み返したい本です。


5答えのない世界を生きる (小坂井敏晶)

 混迷の時代に、誰もが世界も人生も、今後どうなるのでしょうか。

 この本は、自分の頭で考え、問いをたてることで、人生の指針となることを語っています。

 読書家で知られる出口治明さんの書評で知りました。著者はフランスの大学で教鞭をとる日本人です。彼の処女作の『社会心理学講義』に続く良書です。

 著者は海外の大学に在籍していた経験から、学問とは何か、大学とは何か、知識とは何か、を探求します。

 多くの人は、世界の正しい答えがわからない、教養が役立つかわからない、独創性をどう出したらいいかわからない、と嘆きます。しかし、著者によると、

 「答えがあると誰もが勘違いしている。だから、社会問題を扱う本の最後には処方箋が出てくる。だからハウツー本がもてはやされる。だが、『本当の答えはどこにもない』」

 つまり、「答えより問いが大事」「型こそが自由な思考を可能にする」「古典から型に学ぶ」ということです。人文科学や社会科学の意義を改めて語るのです。

 本書は実際に読むと、面白く、そして濃いメッセージが伝わってきます。答えのない世界を生きる、いやあ、かっこいい。


6ファジー・テッキー (S.ハートリー)

  The fuzzy and Techie (Scott Hartley)

 日本では文系・理系ってありますよね。

 スタンフォード大学でも、人文科学・社会科学を学ぶ学生をファジー、工学・自然科学を学ぶ学生をテッキー、というみたいです。

 最近はテクノロジーの発展がめざましく、STEM教育の意義が謳われます。ですが、『ファジー・テッキー』は、文理融合のタッグがイノベーションを生み出すと力説します。

 本書はいろいろなキャリアで活躍している人が出てきます。自動運転、予防医療、デジタル教育などなど。ただ彼ら彼女らは、大学院でリベラルアーツの研究をしていた人ばかりです。

 どうやら、機械やアルゴリズムを学ぶだけでは不十分みたいです。AIのカーテンの向こう側には人間がいて、人の欲求や人と人の関係性を考察することが大事です。データリテラシーをもって、ビッグデータやアルゴリズムに人間的要素を加味することが必要なのです。

 著者は、テクノロジーを身近なものにしつつ、リベラルアーツの意義を問い続けることを説きます。そのための仕事のあり方、学習のあり方を掲示してくれます。

 近年は、学問もビジネスも垣根がなくなり、多様な組み合わせがイノベーションを生み出します。文系分野と理系分野のコラボ、文系人間と理系人間のコラボが求められているのです。

 東工大のリベラルアーツ研究教育院の上田紀行先生がこの本を新聞の書評で紹介していました。これらの時代を生きる勇気を与えてくれる本です。


おわりに

 以上、教養・リベラルアーツの名著6冊でした。

 もともと、古代ギリシアでは「文法」「論理」「修辞」という三学と、「幾何」「算術」「天文」「音楽」の四科をあわせて、自由七科が重視されました。リベラルアーツとは、人間を奴隷から解放し、自由にさせてくれるものです。

 最近、書店でも教養に関する本はブームですよね。東工大の先生方のご尽力でしょうか。改めて、社会で見直されているのだと思います。

 僕もいずれ学問の場から離れても、人生をかけて教養を磨いていきたいと思っています。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。



この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

この記事に共感していただけたらスキ、フォロー&サポートお願いします!

"スキ"ありがとうございます!励みになります!
19
1998年生まれ。現役大学院生。

こちらでもピックアップされています

私の読書三余 ~読書家の僕がおすすめする名著シリーズ~
私の読書三余 ~読書家の僕がおすすめする名著シリーズ~
  • 13本

読書家の僕が、おすすめする名著をシェアします。分野ごとに更新していきます。

コメント (2)
読ませていただきました!
ファクトフルネスは驚かされるようなことが多い内容を含んだ本ですよね!
コメントありがとうございます!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。