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コンセンサス調査&分析 2021年5月号

Summary
景気循環のコンセンサスは想定より早く「好況」へシフトか?!USGDP回復を最後のエビデンスに景気循環ステージは本格的に回復ステージへ突入。好況の前兆も散見されるためコンセンサスの好況へシフト開始は違和感はない。株価予想は前回予想を据え置く。当面は6月FOMCでテーパリング議論の早期開始が顕在化するかどうかに注目が集まろう。個人的にはインフレに対するFEDの対応にも注目。

目次
①5月アンケート結果
②現在の景気循環ステージの考査
③今後のコンセンサスの行方
④株価方向の予想
⑤日経平均テクニカル分析
⑥最後に

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①5月アンケート結果
 景気循環の結果はわずかではありますが少し変化が見られました。「回復」が52%→46.5%と減少し「好況」が18.4%→21.7%と増加。「後退」と「不況」は合わせて29.6%→31.9%と微増。事前予想では6月まで「回復」の答えが増え続けると見ていたのですが、早くも「好況」へのシフトが始まったようです。感染再拡大による3度目の緊急事態宣言があったにも関わらず上記の結果になったので有意義な結果だと考えます。
 次に経済指標ですが、かなり順位が入れ替わりました。「インフレ/消費関連」が36.8%→40.9%となり2位から1位になった一方、4月1位だった「実質金利」は44.8%→20%と急減し3位という結果に。4月3位だった「Money supply」は14.4%→36.4%と大幅に増加し2位へ。テーパリングへの意識が急速に高まったと解釈していますが、日銀のETF買い入れ額の実質減やカナダ中銀のテーパリング決定などのニュースが相次いだことが原因なのでしょう。ちなみにブルームバーグによると、エコノミストのFEDのテーパリング発表予想コンセンサスは3月調査では2022年発表でしたが、4月調査では今年10-12月と変化した模様です。5月5日には利上げに関するイエレン財務長官の発言等もあったので今後は「Money supply」の投票率が1位になるかもしれませんね。

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 アセットクラスの結果は特にサプライズはありませんでした。アップサイドで「株」と「コモディティ」の順番が入れ替わり、ダウンサイドの順番は4月同様です(ビットコインのバイアスはさらに強化w)。しかし、コモディティのさらなるアップサイドを期待していながら、株やビットコインなどのリスク資産へのアペタイトがほぼ変わらずというのはやはりFEDのインフレ抑制策を期待していないということなのでしょうか?木材をはじめ色々な原材料の価格が急騰している中、FEDがいつまでインフレを無視してワクチン接種率や失業率を語り続けられるか個人的には興味深く注目しています。
 今回のアンケートから新しくファクターのアップ/ダウンサイドの質問も加えました。とりあえず今回は初回なので変化を捉えるというよりはセンチメントの確認として使っていきたいと思います。
 まずアップサイドですが、かなりバランスよく票が分散しており、方向感はわかりづらいですね。わずかではありますが、「グロース」一番人気です。順位に関しては景気回復局面なので特に違和感は感じません。一方でダウンサイドも「グロース」が43.3%と1位となっています。程よい好センチメントに極端な売りバイアスという組み合わせという意味でビットコインに似ていますね。
 今年は2010年型の業績重視相場になると予想しているので、本当はクオリティの高いグロースがアウトアウトパフォームすると見ていましたが、今のところはシクリカルが圧倒的に強いです。よく考えてみればシクリカルはそもそもバリュエーションの過熱感などなかったので、原材料高騰によるガイダンスミスを警戒したところで誰が売ってくるのかと、、、w。ハイバリュエーションはそれなりにポジションが重いはずなのでガイダンスミスは今のところ致命的になっています。

②現在の景気循環ステージの考査
 少し想定より早いですが、本格的な回復ステージに突入しました。GDPの大幅回復が最後のエビデンスでしたのでこれで全て揃ったと言えます。まず、一番大事なUSGDP(QoQ)が予想を上回る6.4%の大幅成長、US新規失業保険申請件数も予想を上回る減少、US建設許可数も予想を上回って着地となりました。4月は指標がいくつか予想を下回ったのですがやはり一時的だったようですね。
 次はいよいよ「好況」ステージです。不況になった原因であるパンデミックがワクチン普及によって完全に終息すれば、割と早い段階でスムーズに好況に移行する可能性が高いでしょう。注目するエビデンスは堅調な民間消費住宅着工の急増企業設備投資の増加在庫積み増しなどです。書いてみれば既に好況のエビデンスが出ているような気もします、、、w。US消費者信頼感指数の強さは近い将来の消費の堅調さを示唆しますし、US建設許可数の増加も近い将来の着工数の増加を示唆します。また半導体関連の設備投資ニュースが相次いだり、原材料が高騰による企業の在庫積み増しが話題になったり既に好況の前兆がいくつか出ております。コンセンサスがシフトしそうになっているのも納得ですね。

③今後のコンセンサスの行方
 今後は「好況」ステージを織り込みに行くと思われます。上記で既に申し上げました通り、既に好況の前兆は少しずつ出てきております。しかし、本格突入には上記で申し上げました指標以外にも雇用統計の大幅な改善も必要になってきます。これら指標の3か月平均が上向いてきたら「回復」から「好況」へのシフトが本格化すると予想します。ワクチン普及が今のペースで順調にいけば、早くて10-12月期辺りで「回復」と「好況」の回答率が半々くらいになるイメージを持っています。

④株価方向の予想
 既存のレンジ(27,000~30,000円)という予想を据え置きます。好決算でも上値を追う動きはあまり散見されず、原材料高騰やサプライチェインリスクを意識したガイダンスリスクを警戒する姿勢が強まっており、やはり30,000円以上は上値が重くなっております。下値はここ最近28,600円辺りになっておりますが、もしも6月FOMCでテーパリングの議論の早期開始が顕在化すれば一旦ここを抜けて27,000円までは下値を掘る可能性がある見ています。
 30,000円台の上限を突破するには一度27,000円まで下落し、ポジションが軽くなる必要があると考えます。コンセンサスが好況へシフトしていくと同時に株価にも弾みがつくでしょう。

⑤日経平均テクニカル分析アップデート
4月号で載せたテクニカル分析のアップデートです。上が日経平均の月足チャート、下が日経平均の日足チャートです。月足を見ると、4月の足はチェネル上限で反落し、3月に続いて上髭陰線となりました。日足では4月後半チャネル下に下落した後1度もチャネルの上へ回復しておらずの状況です。見方は4月号から変更ございません。

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⑥最後に
 やっとアンケート結果にわずかながら変化が出てきました。コンセンサスがシフトしていく時は株価が大きく動いたり、ファクターが大きく効いたりする可能性が高いのでわずかな変化ではございますが、引き続き注目していきたいと考えます。
 今月もお忙しい中、アンケートにご協力していただき誠にありがとうございました。また来月もよろしくお願い申し上げます。

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