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拝啓、アルテサナル・ロマ・デ・ラ・クルス公園で会ったニコラスとメラニー、いまも元気ですか

コロンビアのカリという街を、おそらく世界でいちばんあいしているとおもう。
もちろんわたしは旅人だったし、住めばいいことばかりではないのは承知だけれど、それでも、泣けてしまうほど愛おしい宝物のような思い出がつまった街、それがカリなのだ。

カリのことはあと何記事も書く予定でいるので、きょうはニコラスとメラニーの話。

カリ滞在も終盤になり、わたしはおみやげを探しにアルテサナル・ロマ・デ・ラ・クルス公園へ行った。
この公園にはおみやげ屋がずらりと並んでいて、とてもたのしい。
まずはひととおりおみやげを物色し、すこし疲れたので公園のベンチでやすんでいた。

そこへ、ちいさなかわいらしい少年が声をかけてきた。
「ハポネサ?(日本人なの?)」と。

わたしはびっくりして、だって、中南米をあるいていると、チナ、チナ(中国人)とばかり声をかけられ、日本人だなんて言われたことがなかったからぽかんとしてしまった。
が、すぐに嬉しくなって「シ!シ!(そうだよ!)」と返す。

少年はにっこり笑い、ニコラス、と名前を教えてくれた。
わたしも「アヤカ」と。
少年ニコラスは、そのあと別れるまでの小一時間、ずっと「アヤカ、アヤカ」と名前を呼んでくれた。

そこへ、ニコラスを探しに今度は少女がやってきた。
彼女はメラニー。メラニーも旅行者のわたしがめずらしいのか、たくさん質問をしてくる。

ここでの会話はすべてスペイン語だった。
わたしは中南米に合計2ヶ月半ほどいたのだけれど、後半のコロンビアでやっとスペイン語の単語や数字をちらほら覚えたくらいだった。
彼らが何を話しているのか、何をわたしに聞いているのかはほぼわからなかったが、それでも自分の知っているスペイン語を総動員フル活用して会話をした。

いちど、メラニーが言っていることがどうしてもわからず、Googleさまに助けてもらった。
メラニーに聞きたいことを打ってもらい、翻訳。
すると出てきた日本語をみてわらってしまった。

「あなたはどうやって生まれましたか?」

ふふふ。あまり見ないアジア系の顔のわたし(でもコロンビアにも日系のひとがいるはずだけれど)は、宇宙人かなにかにでも見えていたのだろうか。
かわいい質問に癒され、「あなたたちと同じだよ」と返した。

スペイン語がわからないなりに1時間ほど会話を楽しみ、メラニーが先に帰り、そろそろ行かなきゃ、とニコラスも立ち上がった。

もうお別れか、さびしいな、とおもった。
公園の広場から道路にさしかかるあたりで、ニコラスがこちらをふりかえり、「アヤカー!」と大きな声でわたしを呼び、満面の笑みでぶんぶんと力いっぱい手を振ってくれたすがたがわすれられない。
なんて尊い時間だったのだろう。わたしの、愛しい思い出。

あれから3年がたつ。ニコラスとメラニーは、いまも元気だろうか。
またいつかアルテサナル・ロマ・デ・ラ・クルス公園に行って、ふたりに会えたらいいな。

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