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【都知事選挙から思う探究心と批判的思考の重要さ】

7月7日のショックを乗り越え、真実を知る努力と批判的思考を持ち意思決定することが極めて重要と痛感しました。

今回の東京都知事選挙の結果は、有効投票数約6,800,000(棄権:約4,400,000)、投票率約61%となりました。

この有効投票のうち、評価できる資質と公約を挙げた候補者(主観ですみません、理由は後述します)への投票数は約1,813,000でした。有権者の約17%です(有権者数から投票困難者推定数を除く)。

勝手な解釈ですが、東京都の成人の約80%が思考力、意思決定力の水準が低いかもしれないと考えざるを得ない、極めて残念な現状です。


1.なぜ真実を知る努力と批判的思考を持ち意思決定することが重要であるか

都政に関する真実に近い情報を得て、それを解決するためにはどうしたらよいか、各候補者の公約は解決に貢献できるのか、と都民全員が考え、正しい投票行動に出たとしたならば、今回の選挙結果にはならなかったでしょう。

ただ残念ながら現実は約80%の有権者が問題認識が出来ていない、取引がらみ、他者に言われるがまま(一例:組織票)、好き嫌い、よくわからないから名前を知っている、お遊び程度、投票しても無駄だからしない、など十分な思考を経たと言えるには程遠い状態で投票(棄権)しているのかもしれません。

言っていることは本当?それ出来ていたの?ならその情報は?何故それが出来ると思うの?具体的にはどうするの?財源は?リソースは?外部機関にどう協力してもらうの?

各候補者の実績や公約を見て、自分が疑問を感じる様々な角度から問題点の認識や、公約の実現並びに評価可能性を考え、候補者を決める行動はさほど難しいことでは無いと思います。その理由は後述いたします。


2.なぜ東京都の成人の約80%が思考力(批判的思考力)、意思決定力の水準が低いと考えざるを得ないのか

そもそもそれらを養う教育がこれまでされていない(学校側が避けている?)こと、それが重要だと教える親が少ない(と思われる)こと。大人になってもそれが大切だと痛感させられる機会はいつでも巡ってくるものではないこと。

こうした環境を理由とした結果、上記数字が現れてくるのではないでしょうか。

批判的思考を養う教育についての問題は以下サイトを参照されると良いかと思います。日本はこの分野の教育の投資が少ないことがわかります。

ちなみに2012年の時点で批判的思考を養う必要性について文部科学省に提言がされたようですが、上記実態となっている事実が、学校側が教育を避けているのでは(そもそも教える素養がない?)と疑問が生じた理由です。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/09/20/1325670_03.pdf


3.思考力、意思決定力の水準を下げる他の要因は無いのか

残念ながら在京の大手メディア(主に新聞とテレビ)が有権者の思考力、意思決定力の水準の低下を加速させていると言えるでしょう。

労働に従事している方であれば薄々もしくははっきりとわかっていたことですが、今回の東京都知事選挙でそれは如実に現れました。

彼らが当選させたい候補が有利になる情報は出すが、不利になる情報やその他の候補に関心が行く情報は極力流さない(選挙戦終盤にようやく少し取り上げ始めるなど)。

故に真実を知る努力をする習慣と批判的思考を持ち合わせない有権者の多くは、バイアスのかかった情報に流されて今回の投票行動をしたのでしょう。
大手メディアがこうした行動に出た背景は後述いたします。

ただしウェブに掲載されている情報が全て正しいとは当然言えません。

4.評価できる資質と公約を掲げた候補者について

今回の都知事選挙でその対象となる方々は安野貴博氏と石丸伸二氏の2名のみでした(凡人が偉そう評価するんじゃねーというツッコミは一旦置いてくださいませ💦)。

理由は知事の機能をほぼ満たす技能を持っていること、東京都の問題を捉え、その改善を公約で掲げている、その2点です。

1)知事の機能とは
東京都のホームページに都知事の機能が掲載されています。

平たく言うと、税金を最も効果的に徴収し、それらをもとに将来にわたり無駄にならない投資を行う。その実行機関である都を健全な形で組織しマネジメントする。ということになります。

知事にはお金に関する知見や、組織をマネジメントする技能が第一に求められるということになります。


2)東京都(政)の問題とは
二元代表制(都の執行機関とそれを監視する議会を中心とした都政運営)が機能不全に陥っていることが都政の最も大きい問題でしょう。

その問題に対する解は、
イ)問題発生の根本原因を取り除き別の主体に置き換える(問題を拡大させる恐れがあるため)
ロ)監視機能の健全化と強化
と考えます。

すなわち問題となる原因を取り除き、次回の都議会議員選挙までに議会の機能を衰退させた議員側の主体も特定し、合法的にそれを置き換える準備をする。

シンプルですが、これが短期的な都政の問題解決の方法となるでしょう。そして問題に対して声を上げる有権者を味方につけた候補であれば、それが出来たでしょう。

一旦この動きを始めた後は、問題が発生しないための条例を制定できるか、にあるかと思います。その上でその他の問題に優先順位をつけて予算案をもとに執行していくことが妥当と考えます。

ただし都知事が先頭に立つ地域政党を作ることは否定します。それを行うと二元代表制を崩壊させることを繰り返すからです。

議会に与野党を作らない、予算案や条例案に対して是々非々で議論し、執行するか否か合理的に決議を行う。これが二元代表制を健全に維持する方法です。

この問題と解決方法について公約に掲げていた候補者も偶然かもしれませんが、上記2名でした(行政のみの監視は二元代表制の問題解決には当たらないので、そうした公約を掲げた候補者は除外しています)。

故に上記候補者を選んだ有権者を、一旦問題定義や解決方法の立案ができる有権者と位置付けました(投票した有権者が全てそうであるとは言えませんが)。

一方上記2名以外の候補者は都の基準に基づく都知事の機能や、都政の深刻な問題の定義と解決策を立案していないと思われるので、都知事として選任するにはいかがなものかなと考えました。

個別具体の問題を公約とすることは自由ですが、それらを執行する主体や監視機関が正常に機能していない状態を無視して執行する施策を、成果を出す可能性ありと言えるでしょうか。

「政治とは実行です。約束したことは必ずやり遂げる、そして次の課題を見つけ取り組む、その繰り返しが政治です。」
とある政治屋のお言葉です。実効性の乏しい公約はいけません。

また今回の選挙は4年後の評価が出来ない公約を掲げている候補者が多い状態でした。

一例を挙げますと、東京青年会議所主催による立候補者討論会に参加した今回主要候補となった4名のうち、配布された政策比較資料において、石丸伸二氏以外は自らが掲げる重要政策の数値目標を全ての項目では無いですが、まともに書けていない状態でした。

中には数値目標の欄に方向性(ビジョンのようなもの?)を書いている候補者もいました。(以下資料参照)

https://x.gd/YU8G2

私自身偶然にもこれまでのキャリアが営業、マーケティング、人事と3つの領域であったため、実現可能性があり、数値に置き換えることができる目標を立て実行する、またそれを評価する、恐縮ながらそれらの平均程度の技能を持っています。

故に上記政策比較資料を拝見した際に、失礼ながらすぐに3名は選択できないと判断しました。

またオンラインでの立候補者討論会はネタか、と思えるほど一部は滑稽な内容でしたが、この立候補者討論会を見てそれでも特定の候補者に入れた方がいたのであれば、それは何らかの利権に関わっているか、虐められている人が可哀想だから入れる、と言った問題を取り違えた甘さを持つ人なのでしょう。

これらを踏まえ、誰に投票すればよいか考えるには1〜2時間あれば十分と考えます。
情報収集や思考をめぐらせる、それ位の時間は忙しくても確保できそうなものです。


おまけ:なぜ在京の大手メディア(主に新聞とテレビ)が思考力、意思決定力の水準の低下を加速させているのか

関連する組織が東京都と契約もしくは許認可を受ける必要があるため、また東京都庁記者クラブで仕事をしやすくするため、必然的に既存権力を応援せざるを得ません。

故に真実や平等の観点を持って情報を発信することはあり得ません。

例えば築地の再開発に複数の新聞社が関与していますので、許認可を出す東京都の長に不利になる情報を流す訳はありません。そんなことをしたらプロジェクトが頓挫してしまう可能性があります。報道機関の矜持などは捨てて当然です。参考「日本民間放送連盟 報道指針」

その他のメディアも東京都庁記者クラブで仕事をしやすくし続けるならば、既存権力を応援した方が効率的です。新しい権力者が出た場合、新たな関係性を構築しなければならないからです。

フリーの記者が質問を遮られる、特定候補者の街頭演説場所が直前まで公開されない(在京の大手メディアは知っているが)など、既存権力との関係が薄いメディアやジャーナリストは非常に仕事がやりにくい状態とも言えます。

こうした背景があるため、有権者を在京の大手メディアにとって都合の良い候補者へ投票させるよう、バイアスをかけた情報を流したり、候補者の意思決定を左右する情報を意図的に流さなかったりと、法に抵触しない範囲での印象操作をすることは、彼らメディアが自己保存し生き続けるためには仕方がないのです。

例え市場を自らの行いで縮小させるとしても。

その結果、こうした在京の大手メディアを主な情報源としていた都民は都政の実態を知らず、能動的に情報収集することも難しく(ウェブメディアはこうした都民の日常には無い)、結果特に思考することもせず認知度の高い候補者に投票する。

こうして2500年前から続く衆愚政治は、今尚行われているということになります。

人間の衣食住環境や医療技術など、生命を維持する技術は2500年前から飛躍的に進歩しています。

一方日本人の思考力はどうでしょうか。

頭も体も進歩のためには探究心と批判的思考を磨く、その環境を皆で作る。これが大事だと思いました。



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