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#ジュニア・サーファーとの出会い

2月に入り、平日はクラブハウスに来る人はめっきりいなくなった。

たまに人が来たかと思えば、業者の人が仕事で来たりするぐらいだった。

更に毎日のようにオンショア風(南から北に向かって吹く風)がビュービュー吹いていて海面もザワザワして、あまり波乗り向きのコンディションではなかった。

ここJanJucは、赤道を挟んで日本とは正反対の南半球になるので、南極から赤道に向けて吹いてくるオンショア風はとても冷たく寒い。夏休みが終わったとたん物凄いスピードで秋がやってきた!って感じの毎日だった。

ここ1週間ほど、波は決して良くなかったが1日1回は波乗りしようと決めて毎日、海に入り続けた。

その日の気分によってクラブハウス前のポイントで入るか!?歩いて移動してトーキー・ビーチで入るか!? の二択だった。このあたりは広大なので、生活するには車がないと何かと不便を感じるのだが・・こと波乗りに関しては、この二択のポイントで満足していた。

毎日、同じ場所で波乗りしていると段々と顔ぶれもわかってきて、少しづつあいさつを交わすようになってきた。平日の顔ぶれは、そのほとんどがアフター・スクールのジュニア・サーファーが多かった。

その中でも、ひときわ波乗りの上手いジュニア・サーファーと知り合うことができた。

オレはこの時、バックサイドの波にうまく乗ることができなかった。

オレのサーフ・ボード上での立ち位置は、左足を前方にセットし利き足の右足を後方にセットするレギュラー・スタンスだ。波に乗って行く時の進行方向が、体の正面側なのか?それとも背中側なのか?によって得意不得意(とくいふとくい)が分かれるところではあるが、体の正面側がフロントサイド。背中側がバックサイドと呼ばれている。

個人差はあるだろうけど・・オレは視界の広いフロントサイドが好きだったし、ここのポイントの多くがフロントサイド側に波が割れていくレギュラー・ウェーブを中心とした地域だったので、圧倒的にレギューラーの波に乗っている時間が多かった。

反対に背中側の波に乗って行くバックサイドは、どうしても視界が狭くなってうまく波に乗れず苦手意識を持っていた。なので、時折はいってくるバックサイドの波には”あたふた”してしまっていた。

オレは思い切って ”どうしたら!?バックサイドの苦手意識を克服できるのか?”  という疑問を知り合ったばかりのジュニア・サーファーにぶつけてみた。

『バックサイドが上手くなるには、どんな事を意識して練習したらいいかな?』

それまでは、あいさつを交わす程度だったので、キチンと言葉をかわしたのはこの時が初めてだった。

その時のジュニア・サーファーたちの受け答えにはとても感動した。と言ったら大げさかもしれないが・・受け答えや考え方がシッカリしていて、とても驚いた。

あまりこの辺では見かけない東洋人から、何やらよくわからないカタコトの英語で話しかけられて、むしろ驚いていたのは彼ら3人の方だったと思うのだが・・

オレの質問の内容に抽象的にではなく、具体的にバックサイドの攻略法について身振り手振りをまじえて語ってくれた。

更に3人にはそれぞれ波乗りに対する持論というか”こだわり”というか”スタイル”というのがあるようで、時には3人の意見が分かれることもあり熱く激論を交わしながらも、オレにわかりやすいように噛み砕いて教えてくれていた姿がとても印象的だった。

ジュニア・サーファーたち3人の名前は・・マイク! サニー! シェーン!

この日を境にして、オレは・・3人のサーフィン哲学に触れることによって波乗りの奥深さに更にハマり込んでいくことになった。


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