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#バードロック

以前、バードロック・ポイントの名前の由来を聞いたことがある。

ココのポイントを観察してみてわかったことだが、波の割れ始めるピークに”でぇーん”と大きな岩が海面から顔を出している。この岩に向かってウネリが入ってきて波が割れる。岩の前が波のピークになっているので、ココからしか波には乗っていけない。岩を避けてテイクオフしようとすると波のスピードに置いていかれてしまう。イメージとしては、沖からパドルする時にこの岩めがけてめいっぱいパドルして、テイクオフと同時にすぐに少し横に走って、そこからボトムに深く降りた方が、岩もかわせてスピードを殺すことなく推進力を得られるというイメージだ。

サーファーにとっては、何とも邪魔な岩なのだが・・波のない日は海鳥にとって、この岩はちょうど良い休憩場所になる。海鳥はこの岩の上にのって、遠い沖合を日がなジィーっと眺めている(その姿が何とも可愛らしいのだが・・)。海鳥がとまる岩ということで ”バード・ロック” と名づけられたようだ。

肝心なこの日の波は、胸〜肩ぐらいのサイズ。それでいて、ベルズビーチの波ほどは荒々しくはなく、どこかフレンドリーな空気がただよっていた。サーファーの人数は5〜6人といったとこだろうか?全員に行き渡るぐらいの波かずもあって、みんなが”のぉ〜ンビリ”と波乗りしている感じだった。

日本のポイントで見かける波の取り合いなんてことは、ここではまったく無い。波質もとても良い。ショルダーの張ったメンツルな波は、バードロックから規則正しく割れていく。ボトムは完全なリーフなので、いつも同じ場所から波が割れだし岸までずぅ〜っと一本の波にのっていける。

昨日、一昨日(おととい)とあれほど激しくベルズビーチの波で ”もみくちゃ” にされ体はバッキバッキなはずなのに・・バードロックのこのメローな波をみたら途端に元気になってきた。

駐車場に車を停めて急いで濡れたウエットスーツに着替える。みんなも、昨日、一昨日(おととい)とどこかしらで波乗りしているので、ギラギラした雰囲気はまったくなかった。それは海の中のサーファーたちも同じだった。交代に波を譲り合い、とてもピースフルな時間だった。と、いっても波がショボかったわけではなかった。

胸から肩のサイズながらもショルダーがピンっと張ったリーフの波なので、パワーはすごい!と感じた。ローカルサーファーにとっては、普通のことでも・・普段、ビーチブレイクで波乗りすることが多いオレにとっては、波のパワーとカレントの早さに慣れるまで少し時間が必要だった。

さすがローカル・サーファーのロイやティムは、しっかりとレールを使ったターンをしてスピードに乗った波乗りをしていた。『みんな上手いもんだなぁ〜!』とにかくオージーの誰もがサーフィンが上手いことに改めて衝撃を受けた。

実際、ベルズビーチのようにサイズのある波だと、波に乗ってるというよりは、波に乗せられている。って感覚に近かった。けど・・

今日のバードロックの波だと、自分で素早くレールを切り替えして加速していかないと波とのリズムが合わなくて失速してしまう。オレは、まだまだレールの切り替えが上手くできなくて途中で失速してしまっていた。波に乗っている!って感覚がまだつかめていなかった。とにかく練習あるのみだ。

さすがに3日目ともなるとオレも疲れていたし、ティム、ロイ、アンディらオージー・サーファーも疲れていたようだった。2時間ぐらい波乗りしてサッと上がった。みんな3日間でタップリ波乗りしたぜぇー!って感じの大満足な顔だった。

どうやら・・数日後には、また大きな低気圧がかすめていくらしい。その日の夕食を食べながら見ていたニュースでお天気お姉さんがそう言っていた。

『このうねりの方向だと今回は、バードロックがヒットするかもな!?』この時、ティムが放ったこの一言が、ホントに数日後に現実となるのだった。


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