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【第4回ポリガレ『飛ぶ教室』】新型コロナウイルス・ワクチン接種に関するイギリスの行動インサイト活用

PolicyGarage

みなさん、こんにちは!
PolicyGarage行動科学チームのY.T.です。

最近、新型コロナウイルス・ワクチン接種に関して、ナッジを活用できないか?使うとしたら、何に気を付けたらよいのか?そもそも使うべきなのか?などなど、様々な声が聞かれるようになりました。

新型コロナウイルスのワクチン接種を促進させるため、世界各地の様々なナッジユニットや行政機関が行動科学を活用した方策を示しています。*
今回は、その中でもイギリスのLocal Government Association(地方自治体協議会)が自治体に向けにまとめた『地方自治体におけるCovid-19ワクチン接種率向上のための行動インサイト活用ガイド(Applying behavioural insights to improve COVID vaccination uptake: a guide for councils)』の一部を紹介します。

※こうした介入策を実施する際には、倫理的に問題がないか、個々の事情によりワクチンを打てない方など誰かが不快に思う表現がないか、地域の事情や国ごとに異なる受け止められ方、許容度を踏まえてナッジ活用を検討することが不可欠です。
(必ずしもワクチン接種を意図してもらうためにナッジを活用するのではなく、例えば、「ワクチンを接種したいと考えている人が、スムーズに接種できるようサポートすること」もナッジです。)


イギリス地方自治体協議会では、行動科学を活用した介入案を検討する前に、a) 変容を促すべき行動を特定すること、b) ターゲットが誰であるか明確化させること、C) そのターゲットの行動を妨げる要因が何なのか理解することが必要と述べています。

このようにワクチン接種に係る行動上の課題を把握した後に検討する介入案として、次の12の策を提案しています。

■ワクチン接種を意図することを促す介入策

1.簡潔かつ明確なメッセージを維持する。
-短い方がより伝わりやすく、記憶に残り、信頼されやすい。

2.新型コロナウイルスに感染することによる深刻さ、リスクを伝える。
-リスクを具体的に知らせ、ワクチン接種がそのリスクを低減させることを伝える。

3.ワクチンの効果と安全について、バランスの取れた情報提供をする。

-効果や安全性とともに、副作用についても透明性のある情報を伝えることが信頼につながこと

4.ワクチン接種による社会的な便益を強調する。

-集団免疫の獲得や、健康リスクの高い人たち、医療従事者を守るためなど。

5.社会規範を目立たせる。
-接種した人の数や接種を意図する人の増加傾向等を示す。

6.ロールモデルになる人物を活用する。

-自分達に似た人たちが既にワクチン接種した場合、接種の意向が高まる。

7.ポジティブなメッセージを送る。

-ポジティブなメッセージは広く共有されやすい。

8.コロナウイルス感染症に関する過去の対策と紐づけてワクチン接種の必要性を示す。

-過去のコロナ対策(マスク着用、外出自粛、社会的距離等)の延長線上と見せることで一貫性を持たせる。

■行動に繋げるための介入策

以下は、ワクチン接種を意図したものの、実際には行動に繫がらない「intention-action gap(意図と行動のギャップ)」を乗り越えるためのアイデアです。

9.ワクチン接種の計画を立てることを支援する。

-必要なステップを明示し、計画を立ててもらうことは行動へのコミットメントに繋がる。

10.ワクチン接種について、リマインドする。

-適切な広報チャネルを使った、信頼できる相手からの具体的な動作指示のリマインドが効果的。

11.行動を妨げる要因を取り除く

-接種会場の把握や移動手段を含め、ワクチン接種に係る行動を簡単にすることが重要。

12.社会的ネットワークを活用する。

-既にワクチン接種した人からの情報提供、接種に向けたサポートが効果的。

イギリス地方自治体協議会では、上記のような手法に加え、ワクチン接種を促進するメッセージを誰から、どのように(広報媒体)伝えるかもその効果に大きな影響を与えると示唆しています。


いかがでしたでしょうか?
行動インサイトを活用した介入策は、文化的な背景にも大きな影響を受けます。
日本の地方自治体で効果的な介入策を探し出すためには、検討した介入策を試して効果検証し、少しずつ修正していくことが求められます。また、上記の手法が日本の、あるいはそれぞれの地域社会のなかで、許容されるか、配慮するべき事項がないか、確認することも大切です。


*Covid-19のワクチン接種について、WHOやイギリスのThe Behavioural Insights Team、アメリカのideas42、Save the Childrenがレポートや社会実験に関する記事をウェブサイトに掲載しています。
-Behavioural considerations for acceptance and uptake of COVID-19 vaccines: WHO technical advisory group on behavioural insights and sciences for health, meeting report, 15 October 2020
-COVID-19 Vaccines in the United States - ideas42
-Four messages that can increase uptake of the COVID-19 vaccines | The Behavioural Insights Team (bi.team)
-The Little Jab Book:18 behavioral science strategies for increasing vaccination uptake | Resource Centre (savethechildren.net)

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『飛ぶ教室』は、ドイツの作家エーリッヒ・ケストナーの、知恵と勇気を題材にした児童文学小説です。
タイトルの『飛ぶ教室』は、小説内の戯曲の題名で、世界中を飛び回って現場から学ぶ、未来の理想の学校を描いています。
知恵と勇気を持って社会を変えようとする方のために、最先端で現場主義の学びの場を提供したいという想いを込めて、ポリガレの『飛ぶ教室』を開講します。
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