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人間の土地 / 王国 Domains展

たまたま通りかかった。

奈良原一高の展覧会。

訃報を見て、窓展で作品も見た。ゼミの同級生が、礼拝を研究しており、そこで名前が出ていた。

小さな展示スペースながらも、展示されている作品点数はとても多い。奈良原一高の初めての展覧会と二回目の展覧会の作品が展示されている。この展覧会と訃報は偶然であり、会期中の出来事に驚いている。そんな話をしている人があった。

モノクロの写真で提示された桜島の噴火で埋もれた島、そこで暮らす人々。自然の驚異、それを踏まえての人々の生活の力強さ。それと対比する端島(軍艦島)の生活。ほぼ人工物に見える島、そこに暮らす数多くの人たち。対照的な二つの暮らし、でも、そこには生活する人たちの姿がある。

火山と炭鉱、二項対立とは違う印象を持ったのだけど、何を提示したかったのだろうか。

もうひとつの展示、婦人刑務所と修道院の作品の対比。

婦人刑務所の作品群の前に、アルベール・カミュのヨナからの引用があった。5行くらいの引用、詩。

婦人刑務所の中で、刑に服す人たち。中には子連れの囚人も見られる。講堂で姿勢を正して観劇している様子、食堂の様子。独房から除く顔。

最初に感じたのは、カミュの詩の美しさ。この晩、奈良原のカミュの詩への応答の作品だと理解した。前者の感想と後者の理解は、僕の中で同時並行的に起こっていたことだと思う。それが、深夜、無意識に入るところで繋がった。こうなると、寝入りだったけれど目が覚める。何とも言えない興奮を覚える。

翌朝、この奈良原のカミュへの応答は、ロバート・フランクの星の王子様への応答と似ていると思った。



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