いままでとこれからと自分と

自分の年齢が30を越えた。
ヲタク活動も20を越える手前まできた。

子供の頃に何になりたかったか、具体的には忘れてしまったけれど、あの時夢見ていた理想の大人になれなかったことだけはわかる。
スーツをきっちり着こなしてさっそうと歩く。
テキパキ働く姿は部下から憧れの的で、なにか問題がおきても自分さえいればすぐに解決!
優しい恋人と一緒に過ごすときだけは、素の顔をのぞかせる…。

そんな未来は2次元でしかない。

仕事のときにスーツなんて着ていない。
朝も夜も、さっそうどころかぐったりだ。
ラクーンシティに溢れてるゾンビ並みの機動力しか、身体には残されていない。
デスクでバリボリお菓子をむさぼり過ごし、問題がおきそうならいかに責められないかを追求する。
何度か転職しており、部下はおろか後輩や同期すらいた経験はない。
唯一叶ったのは、優しい恋人がいるという1点のみである。

自分は、貴重な10代をヲタク活動に費やした。
イラストは上手く無かったので同人誌こそ出していないけれど、友人とのイラスト交換、ペーパーの作成にHPの作成はやっていた。
もちろん即売会にも行ったし、好きな絵師さんのもとには新刊を求めて足しげく通った。
コスプレは衣装を1から作り、いつの間にか武器や鎧まで作れるようになった。
レジンに手を出してからは、作品やキャラのイメージアクセサリーでサークル参加も果たした。
10代なんて短い期間で足りるはずがなく、ヲタクという不治の病はいま現在絶賛進行中だ。
新しいアプリが出ればインストールし、Twitterで好きなジャンルのイラストを探し、本屋に新刊が並べば買いに行く。
今期アニメはイマイチと言いながらリアタイし、友人たちと次のコスプレ合わせについてLINE会議を開く。
コロナで世界の動きが緩やかになっている中でも、ヲタク部分の自分は相も変わらず元気に活動している。
自分は、貴重な10代どころか貴重な今この瞬間でさえ、ヲタク活動に費やしていると言っても過言ではないだろう。

夢女子、腐女子、声豚、グッズ厨…ヲタクという括りはあれど、その種類は多い。
趣味趣向を煮詰めたような集団なのだから、活動範囲が広いのも頷ける。
もちろんジャンルの流行り廃りも早い。
それに合わせて腐女子のジャンル移行も多い。
Twitterで知ってるけど実際に会ったことはない、なんて良くあることで、長い付き合いなのに本名も知らないという友人が、画面の向こうに沢山居る。
レイヤーなんて、コスプレしていないと誰か分からない、ということも多い。
「あなたと私は友達じゃないけど、私の友達と彼方は友達」が身近に溢れている。

そんな奇妙な世界でも、友達と呼べる人たちに恵まれた。
普通に生活していたら体験出来ないようなことも、沢山あった。
それは今の自分を形成する上で欠くことは出来ない事であり、笑いあり涙無しでは語れない、血のかよった宝物である。

ヲタクという少し特殊な場所で築いてきた人間模様。
忘れたくない出来事も忘れられないことも、山ほど抱えたまま、いつの間にか自分は30歳を越してしまった。
人生の半ばも過ぎただろう。
だから、いままでのことを少し書き留めておこうと思う。

気分屋で飽き性なので、いつまで続くかはわからない。
出来るだけ長く、多く、書けたら良いと思う。

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